読書三昧(26年7月)
体調はそう悪くないのだけど、腫瘍マーカーの数値だけは着実に悪くなっている。打つ手もないので、知人からもらったロイヤルゼリーの錠剤なんかを飲んで気を紛らわせている。
7月に読んだ本
三上 延『ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~』
黒川博行『破門』
東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』短篇5編
鈴木勝秀『上演台本・錬金術師』(原作:ベン・ジョンソン)
三田完『草の花―俳風三麗花』
内田康夫『浅見光彦殺人事件』
山東京伝『先開梅赤本』
☆黒川博行『破門』
『破門』は「疫病神」シリーズの第5弾だそうだが、黒川博行の小説を読むのははじめて。今年の直木賞候補作というので読んだ。
筋もおもしろいのだが、ともかくヤクザの桑原と堅気の建設コンサルタント二宮の会話が抜群に面白い。普段本を読んで笑うことはないのだが、この本ばかりには顔の筋肉がゆるんでしまう。たださすがに終盤には、大阪のおばちゃんの会話をずっと聞かされていた気分でちょっと疲れた。
読んだ後に今年の「直木賞」に決定した。
☆三田完『草の花―俳風三麗花』
『俳風三麗花―草の花』は先月読んだ『俳風三麗花』の続編である。前巻が句会という小さな世界からのびのびと巣立っていく三人の女性が情感豊かに描かれたのに対し、続編は戦争に向かう時代の社会情勢に翻弄され苦闘する女性俳人の姿をダイナミックに描いている。
登場人物も川島壽美子、甘粕正彦、永井荷風、高浜虚子など多彩で楽しい。ただ小説とは言え、人と人の出会いが余りに都合よく行くのには多少違和感も感じるが・・・。
小説の中で六代目菊五郎の食べる「桃屋の花らっきょう」が、余りにおいしそうに書かれているので、何十年ぶりかで買ってしまった。