酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(26年6月)

2014-07-01 22:15:28 | BOOK


読書三昧(26年6月)

体調は特にかわりはないのだけれど、癌の勢いを示す「腫瘍マーカー」という数値が毎回悪くなっていくのが気がかり。正常な細胞が戦いに負けているのかもしれない。副作用に耐えられなくなるまでは、医者の言うとおりでいくしかないか・・・。

6月に読んだ本

千早茜『あとかた』
三田完『俳風三麗花』
香納諒一『無縁旅人』
小山田浩子「いたちなく」「「ゆきの宿」(単行本『穴』より)
谷津矢車『蔦屋』
シェイクスピア『テンペスト』
松井周『脚本・十九歳のジェイコブ』(原作:中上健次)
中上健次『十九歳のジェイコブ』

☆千早茜『あとかた』
うまい小説なんだけど、ちょっと感性が勝ち過ぎかな。
7編の短編がそれぞれ独立しているが、一方で微妙にかかわっている。私は各編を時間をかけて読んだけれど、これは一気に読んだ方が味わいが深まるかも。

☆三田完『俳風三麗花』
俳句の先生と三人の若くて美しい女性の弟子3人が、巻き起こす物語。作者が俳人であるだけに句会の臨場感は半端ではなく、自分も参加しているような気分にさせてくれる面白い小説である。実在の人物も登場するため歌舞伎をはじめとする時代考証なども大変だったことだろう。
女性の描き方がいかにも男性目線であるような点が唯一気になった。
(この本を読む機会を与えてただいた、月子さんに感謝です)

☆香納諒一『無縁旅人』
警察小説の形をとるが、「題名」でわかるように作者は生きることの孤独さを言いたかったのかもしれない。丁寧に描かれていて面白いのだが、迫力不足。「ネットカフェ」・「伊達直人」・「NPO法人」・「援助交際」・「投資金詐欺」など現実の題材を入れようとしたのがかえって現実感を弱めたように思える。

☆小山田浩子「いたちなく」「「ゆきの宿」(単行本『穴』より)
雑誌で芥川賞受賞作の『穴』を読んだ時は、不思議な小説を書く人だと思っただけだったが、今回二篇の短篇を読んでその文章力は凄いと思った。登場人物がそれぞれ独特の個性を持ってイメージが浮かびあがってくるのである。それも愛すべき人物として。短篇といって侮れず。

☆谷津矢車『蔦屋』
前月に続いて、蔦屋重三郎関連の小説を読んだ。読み比べが面白い。
蔦屋の元気に活躍する前半の快調さに比べ、後半のしめっぽい部分をちょっとひっぱりすぎたかも。