酢豚のひとりごと

楽しい芝居と映画探しつづけま~す!

読書三昧(28年4月)

2016-05-01 17:35:49 | BOOK



読書三昧(28年4月)

先日の診察は代診の若い先生だった。パソコンの私のデータを見たとたん、えっ!こんなに何回も抗がん剤やっているのですか・・・とびっくりされてしまった。
怖くて聞けなかったけれど、どういう意味なんだろう???

4月に読んだ本

黒名ひろみ『温泉妖精』
本谷有希子『異類婚姻譚』
西尾維新『掟上今日子の備忘録』
黒川博行『勁草』
ジャンボール・絹子『俳諧師園女の生涯』

☆黒名ひろみ『温泉妖精』
2015年すばる文学賞受賞作。
「細かいことはどうでもいいや」と思わせてくれる小説。整形を続け今は外人を粧う20代の主人公、つぶれかけた旅館のおかみ、お金持ちでマニアックな中年男の三人が東北の旅館で出会う。登場人物の関係はちぐはぐだけれど、どこかで許し合っているのが、読後感のいい理由だろう。好みは分かれるかもしれないがお薦め。

☆本谷有希子『異類婚姻譚』
今年の芥川賞受賞作品。面白いといえば面白いが、そうでないと言えばそうでない。この感性に合う人は、はまるだろうが。
私はこの著者を10年ぐらい前「劇団、本谷有希子」の方でまず知った。作・演出の芝居はエネルギーにあふれ、毒があり面白かった。今回の小説にも怖さはあるのだが、どこかソフト。心の内面に向かっているような内容は、一女をもうけた作者の生活の変化と関係あるのかもしれない。単行本では他に短篇3編を収録。

☆西尾維新『掟上今日子の備忘録』
2月に読んだ『掟上今日子の推薦文』より前の作品で、これが「忘却探偵シリーズ」の最初の作品のようだ。なんとなくくどい文体、もう一つすっきりしない推理。読みながらもやもや状態が続く。しかし前回もそうだったが、このもやもやは、ラストの3行ぐらいの微笑ましさで解消させられてしまう。不思議な作家である。

☆黒川博行『勁草』
2年位前に読んだ『破門』ほどではないが、この作者はやはり面白い。
オレオレ詐欺に関わっていた橋岡と矢代の二人、ある時殺人まで犯して多額の預金通帳を手に入れたのだが、いつか刑事達に追われる身に・・・。
オレオレ詐欺の内幕や預金の払出に苦戦する銀行とのやりとりに切迫感があり、大阪弁もいいアクセントになっていて飽きさせない。

☆ジャンボール・絹子『俳諧師園女の生涯』
園女亭で詠まれた芭蕉の「白菊の目にたてゝみる塵もなし」という発句は有名であるが、俳人園女の生涯は余り知られていなかった。幅広い資料を丹念に読み解きそれを解明しようとするもの。はっきりとした結論までには至っていないが、園女研究のためには貴重な一書である。


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