小説の孵化場

鏡川伊一郎の歴史と小説に関するエッセイ

おススメ本・徳田武「幕末維新の文人と志士たち』

2014-09-08 16:30:37 | 読書
この本はもっと早く読んでおくべきだった。第3章の清河八郎の項目で、八郎と土佐の間崎滄浪との交流の、その親密さを検証した記述の新鮮さに、そう思ったのである。
 あと注目すべきは、大庭松斎の生涯をたどった第6章と7章である。大庭は会津藩が尊攘派志士のグループに潜入させたスパイ(とみなされている)の会津藩下士大庭恭平のことである。明治まで生きて、役人にもなったが、飲んだくれて鬱屈した晩年であったらしい。
 第5章の「大橋訥庵逮捕一件」はざっと斜めよみしただけだが、第4章の『町井台水の「南封紀略」も注目すべき記事だった。天誅組を逮捕者側からみた貴重な史料が紹介されている。なんと安積五郎の逮捕時の様子がわかるのである。あらためて安積五郎はいい男だと感じた。

幕末維新の文人と志士たち
徳田 武
ゆまに書房

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。