小説の孵化場

鏡川伊一郎の歴史と小説に関するエッセイ

ヒロインの変名の仕方

2004-07-28 11:44:25 | 小説
「月琴を弾く女」は、あるマイナーな会報紙に連載した。
24字詰めの34行で846字が一回。週3回で275回の連載だった。一回、一回をショートな読みものになるよう心がけ、いわばパッチワークを重ねたように書きついだ。
 龍馬の変名の梅太郎とおりょうの寺田屋時代の変名春は、おりょうが西村松兵衛と再婚したとき、鶴と名のったこととリンクしていると気づいたときから、この作品を書こうと思っていた。
 梅に春、松に鶴、おりょうが鶴と変名したことに、すでに龍馬の影がある。このヒロインの変名の仕方に、ある感銘を受けたのである。横須賀の彼女のお墓に今年もお参りに行く。