企業の自由度を奪うと資本主義から社会主義になる。
後発医薬品の供給が未だに不安定だ。
国は「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」を開催し、5月22日に報告書を出している。
安定供給などと言うが、そもそもが国が統制することではない。
企業は利益の追求を行っている。
あえて不採算を覚悟で奉仕する余裕などない。
大手製薬企業なら利益に余裕があるかもしれないが、残念ながら稼いだ利益は経営者の報酬に回る。
後発医薬品メーカーは、2009年には225社あったのが2023年には190社になっている。
その6割の105社が後発医薬品を主体に扱っている。
この6割で後発医薬品の約74%を占めている。
取扱品目が9品目以下の企業が51社と規模の小さな企業が担っている。
190社のうち上位9社で後発医薬品市場の約半分を占め、残りを分かち合う形になっている。
要は、後発医薬品業界は脆弱な企業で成り立っていることになる。
ここに安定供給を求めるのがおかしな話だ。
この少量多品目生産を可能にしたのが2005年施行による薬機法の改正である。
医薬品製造の委受託が可能になったことと、後発医薬品の共同開発が認められたことらしい。
そのことは報告書に記されている。
そうなると元を正せば国の政策ミスじゃないかと思う。
先ほどの報告書は当たり前のことを今さらのように書かれている。
ガバナンスの強化や管理体制の見直しなど、今までだって言われてきたことだ。
”絵にかいた餅”は食えぬ。
そこで厚生労働大臣は主要な後発医薬品メーカーを集めて「大臣要請」を行っている。
1つは安定供給の観点から「1成分5社」である。
競い合ってお互いのつぶし合いではなく、効率を考えて集中させる。
この5社から漏れたらどうなるのか。
変な話だ。
次に少量多品種に対応できるように企業同士が連携する「コンソーシアム構想」を持ち出している。
どうも最近は「コンソーシアム」が流行っているようだ。
企業同士の連携と言うが、そうはうまくいかない。
要は小さな企業はどこかの傘下に入って統合しなさいってことだ。
そんな自由主義の中で、国が誘導して統合させるって話はおかしい。
さて、こんなことで後発医薬品の安定供給は保てるのだろうか。
”事件は会議室で起きているんじゃない!現場で生きているんだ“
いささか疑問だが”お大臣様”の仰せの通りになるかどうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます