本来の姿を歪めると複雑過ぎて迷路に入る。
長年の懸案事項である「参照価格制度」が本来の姿を見失いそうだ。
今までも浮上しては消え、浮上しては消されていたが、ここに来てさすがに背に腹は代えられぬようだ。
ただ、今さら「参照価格制度」を導入するとは言い難いのかもしれない。
6日に厚生労働省は自民党社会保障制度調査会医療委員会に「参照価格制度」をもじった仕組みを提示した。
今回は参照価格ではなく、長期収載品と後発医薬品の差額の一定割合を選定療養にする案のようだ。
後発医薬品は全て同じではないので、どのレベルの後発医薬品を対象とするのか。
具体的に長期収載品の薬価が100円とし、後発医薬品の薬価が40円とする。
その場合、長期収載品と後発医薬品の差が60円になる。
この60円に一定割合として「2分の1」「3分の1」「4分の1」を患者負担とする。
厚生労働省的には「2分の1」を予定しているようだ。
ここも「5分の1」から始めてはとの意見もあるようだが、何だかそんな姑息なことをせずに、やるなら100で行けばいい。
例えば「2分の1」」だとすると60円だから30円となる。
ところが、ここからが面倒になる。
選定療養は自費扱いなので消費税が発生する。
従って33円になる。
ムム、待てよ!
薬価にはすでに消費税が含まれているはずだ。
こうなると消費税に消費税がかかる二重課税になりそうな気がする。
この辺から難しくなる。
保険適用になるのは100円から「2分の1」の30円を差し引いた70円が相当する。
その70円の3割負担で21円となる。
従って、長期収載品を選択すると差額負担分の33円に、保険の自己負担分の21円が加わり54円となる。
単純に、後発医薬品を選択すると薬価が40円なので3割負担が12円で済む。
“どうする患者“となる。
ところで、合っているよね。
因みに、厚生労働省の試算があるが、何度計算しても示された数値が出てこない。
私の算術ではたどり着けなかった。
選定療養として想定される成分数は「上市後5年以上で置き換え率50%以上(約440)」「上市後5年以上で置き換え率50%未満(約420)」「上市後5年未満で置き換え率50%以上(約40)」の合計約900成分になる。
ただし、上市後5年未満で置き換え率50%未満に関しては選定療養の対象にはしないようだ。
正直なところ、約900品目を選定療養にしてどれだけの財政効果が期待できるのだろうか。
厚生労働省の試算では「400億円、500億~1,000億円の間」としているようだが、すでに後発医薬品に切り替わっている品目が多いので…どうかな?
それよりも後発医薬品になだれ込む需要に耐えられるのか。
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