こんな資料が、その内に中医協に登場する。
9月3日に日本医師会総合政策研究機構(日医総研)から、いつもの女性が、いつもの様に、薬局に関するレポートを出している。
タイトルは「大手調剤薬局等の2019年度決算とその後の状況(新型コロナウイルス感染症の影響)」である。
内容は単純だが、問題は日本医師会から出されているってことにある。
興味深く拝見させていただいた。
このレポートが何らかの形で2022年度の調剤報酬改定に影響を与えることは間違いない。
ターゲットは大手調剤薬局とドラッグストアにあるようだが、当然のこととして中小薬局も巻き添えを食らうことになる。
これに対する日本薬剤師会に対応策はあるのだろうか。
ちょっと興味を引いたのは、この資料で取り上げている企業の筆頭株主である。
個人もあるが銀行関係も多い。
中でも「マスタートラスト信託銀行」や「日本トラスティ―・サービス信託銀行」などの聞きなれない連合艦隊の銀行が目立つ。
その他にイオンの存在も大きい。
ここから言えることは、当たり前ではあるが薬局は投資の対象だってことである。
そして薬局は医療提供施設ではない。
興味がある人は検索して欲しい。
次に調剤関連事業の割合も気になる。
調剤主体のいわゆる調剤薬局と呼ばれる大手会社の売上比率は90%前後となっている。
ところが中堅会社になる40~70%と意外に低くなる。
もともと違う事業からの参入組ではないかと思う。
さらにドラッグストアになるとスギHDが19.4%で最も高く、次がウエルシアHDの17.9%、ココカラファインが15.9%で、他は10%前後となる。
そのスギHDの調剤売上は1,053億円、ウエルシアHDでは1,555億円となっている。
大手調剤薬局と肩を並べる売上があっても20%にも満たない。
全体の売上比率は低いが薬局業界全体としての存在は大きい。
何か不気味さを感じさせる。
さらに脅威を感じるのは、大手調剤薬局の売上は調剤報酬改定があった年にほぼマイナスに陥っているが、ドラッグストアは報酬改定に関係なく7~15%の幅で伸びている。
単純にM&Aの影響とは言えないものがある。
日医総研では「『門前』『チェーン薬局』をターゲットとした従来の調剤報酬適正化手法が通用しなくなっている」として、従来の報酬改定のやり方ではダメだとしている。
終りの方に大手4社(アイン、日本調剤、クオール、メディカルシステムの合計)の内部留保について書かれている。
この部分は中医協でも資料として採用されている。
2019年度末の内部留保が1,340億円で前年より150億円が増加しているとしている。
要は、儲かり過ぎだと指摘している。
初めにも書いたが、この資料の良いとこ取りが中医協で使われる。
このブログで何度も書いているが薬局業界は3極分化が進んでいる。
成績のいい2極を取り上げての議論では、大幅な引き下げがあってもしかるべきとなる。
その結果、残りの1極が割を食う。
反論できる資料の作成を早急に望む。
これも後出しじゃんけんになるけどね。