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ちあきなおみ

 なぜだか急に昔の歌を口ずさんでいることがある。昨日は掃除機をかけながら、ちあきなおみの
「四つのお願い」を歌っていた。

 ♪たとえば私が恋を恋をするなら
  四つのお願い聞いて聞いてほしいの
  一つやさしく愛して
  二つわがまま言わせて
  三つさみしくさせないで
  四つ誰にも秘密にしてね

  四つのお願い聞いて聞いてくれたら
  あなたに私は夢中 恋をしちゃうわ♪ (白鳥朝詠 作詞) 

ちあきなおみは1947年生まれで1969年に歌手デビューをした。この曲は1970年4月に発表されたから、私が小学校6年生の時に流行ったことになる。もう今から36年以上も前になる。それなのにまたなぜ突然口ずさんだりしたのだろう。歌詞の内容を小学生の私が十全に理解していたとは思えない。今読み返しても、四つ目の願い「誰にも秘密にしてネ」がどういう理由からなのかよく分からない。曲調から言って、世間をはばかる恋を歌っているのではあるまい。それどころか、オープンな求愛の歌のような気がする。当時としてはかなり先進的な内容ではなかっただろうか。(2番の歌詞になると、考えようによっては過激とも取れる内容が歌われている)
 記憶の襞に隠れていたものが唐突に沸き起こって来る、それはまるで深い湖底に沈んでいた物が長い年月を経てある日ポッカリと浮かび上がって来るようなものだ。その理由を考えても仕方がない。ただ、沈んだ時からその日に浮かび上がるように決められていた、と考えるより他はないように思える。不思議だが、不思議なままにしておきたいこともある。
 
 ちあきなおみと言えば、1972年の「喝采」に言及しないわけには行かないだろう。その年のレコード大賞は早くから小柳ルミ子が受賞するものと大方の予想があり、私もそうだと思い込んでいた。ところが、秋口から「喝采」が猛然と大ヒットし始め、あっという間にレコード大賞をかっさらっていってしまった、そんな印象が今でも鮮明に残っている。あれほど劇的なレコード大賞受賞は空前絶後であろう。ドラマ仕立てになった歌詞を、ちあきなおみが哀しくも力強い声で熱唱する姿が今も目に焼きついている。愛する人の死を知りながらも、喝采を受けるべくステージに向かうその歌の主人公とは違って、ちあきなおみ本人は愛する夫・郷治が亡くなるとともに芸能界から身を退いてしまい、残念ながらその後一切私たちは彼女の歌声を聞けなくなってしまった。爾来、彼女を惜しむ声は已むことはない。2003年に通販のみで発売された10枚組CDBOX『うたくらべ』が1万セット以上の売り上げを記録したそうだが、それも彼女の歌声をもう一度聴きたいと願う人が多いことの証左であろう。
 しっとりとした情感を込めて歌う彼女の曲もいいが、私には「四つのお願い」に続いて発表された「X+Y=LOVE」も忘れられない曲となっている。

 ♪Xそれはあなた Yそれは私
  プラスイコールラブ
  ラブラブアイラブユー
  愛しあっていれば二人はいつもプラス
  お別れなんていやよ
  マイナスはいらないわ
  XプラスY XプラスY
  イコールラブ イコールラブ
  ラブラブアイラブユー♪  (白鳥朝詠 作詞)

こんな曲を小学生の頃から喜んで歌っていたんだから、おませなクソ餓鬼だったんだろうなあ、きっと。
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