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大学入試の概要

 息子が受験した公立大学の合格発表が8日あり、息子にとっての大学受験はすべて終了した。センター試験で思わぬ大失敗をした日から考えれば、よくぞ気持ちを立て直し、自らの第一志望大学に合格したものだと感心する。この体験がこれからの人生の大きな糧となってくれるものと期待している。
 大学全入時代を迎え、選びさえしなければ誰でも大学生になれるようになった。3年間自宅で一度も机に向かわなくても、高校を卒業すれば大学進学ができてしまう。そうした者たちを大学生と呼んでいいのか甚だ疑問ではあるが、制度上は大学生なのだから仕方ない。大学側もそうした時代を生き残るため、少しでも優秀な生徒を獲得しようと必死になっている。そのため、入試制度も私たちの時代とは違って、少々複雑になっていて分かりにくいものとなっている。そこで、以下に大学入試の概要を私の知る範囲で書いてみたいと思う。

 大学入試は大雑把に分けて、「推薦入試」「AO入試」「センター試験」「国公立大二次試験」「私立大一般入試」がある。
 まずは「推薦入試」。これには、「指定校推薦」と「一般公募推薦」の2種類がある。「指定校推薦」というのは、ある大学への入学実績の高い高校に対して、大学側が推薦枠を設け、高校側が推薦した生徒を面接などの試験を課した上でほぼ100%合格させるものである(付属高校の内部推薦もこれに含めておく)。一方、「一般公募推薦」は、大学が提示した推薦基準(多くは内申点で示される)を満たした者なら誰でも出願できる。したがって、一般入試の前哨戦のようなものとなり、不合格になる場合もかなり多い。この推薦制度はいくらかの国公立大にもあるが、私大はほとんどすべての大学が行っており、青田買いの様相も呈している。というのも、推薦試験が10月末から12月初めまでに行われるからである。
 これとほぼ同時期に「AO入試(アドミッションズ・オフィス入試)」が行われる。これは、学力試験では評価することのできない出願者自身の人物像を学校側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める入試方法であるが、どういう基準で合否が決められるのか私にはよく分からない。したがって、自分をアピールできる能力を持った生徒にはお勧めなのかもしれない。私立大は勿論、国公立大学でも実施する大学が増えている。
 年が明けると、本格的な入試が始まる。毎年1月20日前後に2日かけて「センター試験」が行われる。国公立大学を志望する生徒にとっては一次試験のようなもので、必ず受験しなければならない。私立大学志望者でも、センター試験の結果だけで合否を判定する「センター出願」もあり、センター試験突破を第一目標として勉強することが大切であると私は思っている。東大・京大など偏差値の高い国立大学はセンター試験よりも「二次試験」の得点に重きを置いているので、そうした大学の志望者はセンター試験を軽んずる傾向があるが、高得点を取って私立大学に「センター出願」をすれば合格が出て、「二次試験」の勉強に没頭できるから、ゆめゆめおろそかにしてはならない。
 センター試験が終了した翌日には、大手予備校が「センター試験」の成績を各高校を通して集計し、そのデータを基にして3日ほどで各大学の合格ボーダーラインを発表する。(「センター試験」は全問マークシート形式であり、問題用紙も持ち帰れるので、印をつけておけばほぼ正確な得点が分かる)各生徒はそれを参考にしながら、国公立大学の「二次試験」出願校を決める。勿論あくまでも参考資料なのだが、何十万人ものデータを集めたものだけあって、それに逆らって志望を貫き通すのはなかなか難しい。現に私の息子は、この時点で本来の第一志望国立大学をあきらめた。
 「センター試験」を利用する私立大学には、「センター試験」を受験する前に出願しなければならない学校と、受験し結果を見てから出願できる学校がある。息子はセンター前に4校「センター出願」してあったが、センターの失敗によって全敗してしまった。全くの無駄だった・・。私立大学には、「センター試験」での高得点科目を持ち点として、さらに当日の試験の得点と合計して合否を決める「センター併用」という試験もある。これは各大学によって細々した設定がしてあるので、すべてを把握するのは神業に近い。
 この後は、1月下旬から昔ながらの私立大学の一般試験が行われる。難しい大学と簡単な大学との二極化が進んでいる現在、その間のいわゆる普通の大学が減っている。私立大学の入試ランクを0から13に分ける河合塾のデータによれば、さらにその上にM(Max)があるかと思えばBF(Border Free)の大学もある。両者の差は天文学的な距離だ・・。
 そして、私立大学の合格発表が佳境を迎えた2月末、「国公立大学の二次試験」が行われる。「センター試験」での得点と「二次試験」の得点の合計で国公立大学の合否が決まる。まだ、前期・後期制をとっている大学が多く、このときは「前期試験」であり、「前期試験」の発表後、すぐに「前期試験」不合格者を対象に「後期試験」が実施される。近年は後期試験を廃止する大学が増えているため、近い将来前期・後期制は全廃されるだろう。
 さらには私立大学の欠員を埋めるための「二次試験」も多くの大学で行われているが、ここまで粘ればもう確実に大学生になれる。要はお金と根気さえあれば、必ずや4月からは大学生になれるのである。

 もう来年度入試に向けて戦いは始まっている。
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