議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

排出事業者のみの義務

2008年11月11日 06時09分28秒 | コンサル日誌
■排出事業者のみの義務
 セミナーで廃棄物処理法を解説するときによく言うのですが、契約書の作成もマニフェスト交付も排出事業者のみの義務です。つまり処理業者は、契約書を作成していない、又はマニフェストを受け取らないまま産業廃棄物を引き取ったとしても、廃棄物処理法上の問題は全くないということです。

■よくある運用
 契約書もマニフェストも、収集運搬業者などが印刷済みの雛形を持ってきて、排出事業者は「ハンコやサインをするだけでおしまい!!」という運用がよくあります。雛形をもらって運用すること自体は法的な問題はないでしょう。しかし、排出事業者は自分だけに課せられた義務であることを認識して、契約、マニフェストの内容を十分に確認する必要があります。記載ミスがあった場合、排出事業者のみがその責任を負います。とはいえ、「ハンコやサインだけでおしまい!!」、というのではそんな意識が薄れてしまうでしょう。できれば、どちらも自社で準備したほうがよいと思います。

■ちなみに・・・
 もっとも、「契約、マニフェストがないと引き取りをしない」という処理業者もいますし、行政も「排出事業者に契約、マニフェストの運用指導をしてください」と処理業者に言うこともあります。
 なお、処理業者は、マニフェストを受け取った場合には、適切に運用することが求められています。つまり、受け取ったときには返送するなどの義務が発生しますが、受け取らなかった場合の規定はないのです。
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契約書作成演習

2008年11月10日 05時44分16秒 | ウィークリー・トピックス
■新コンテンツの作成
 先週は、この先3週間セミナーが多めに入っているので、それに向けた資料作成がほとんどでした(とはいえ、JMAのセミナーがありました)。新しいコンテンツとしては、契約書の作成演習が注目です。これまでは、契約書についての良くある間違いやミスを、演習用のサンプルを使って探し出すというワークをやっていました。しかし今回は、「処理委託のフロー図に基づき、契約書を実際に作成してみる」という演習です。

■契約書作成演習
 この演習の目的は、契約書作成実務を体験してもらうという点にあります(当たり前ですね・・・)。ゼロエミッションを達成した会社の多くでは、「新しい処理先を探して、契約を締結する」という業務をしばらく行っていません。そのような中、担当者が異動や定年で変わってきており、この基本的なノウハウが失われ始めています。
 実は、これと同様の問題意識をお持ちの排出事業者は、最近増えているような気がします。なかには契約書作成だけでなく、その前後の処理業者の探し方についても触れて欲しいという要望もあります。

 この演習の結果については、今月末辺りにはご報告できると思います。どうぞお楽しみに。
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長時間労働を犯罪に

2008年11月07日 07時09分35秒 | ベーシックインカム
■家族崩壊の原因は働き方が原因
 「家族崩壊」を特集のテーマとした週刊東洋経済の2008年10月25日特大号を読みました。サブタイトルは「考え直しませんか?ニッポンの働き方」です。働き方が家族崩壊を招いているということです。

■長時間労働が引き起こす問題は多い
 読んでない方も、上記リンクページの目次からある程度内容は分かると思いますのでご覧ください。記事を読んでいただくと「長時間労働、少子化、非正規雇用、貧困、介護・・・問題はすべてつながっている」と銘打った図解ページ(40ページ)があります。他につながっている事柄として、過労死、自殺、ワーキングプア、高齢者単独世帯の増加なども挙げられています。

 この記事では、環境問題には触れられていません。しかし、上記のような社会には、LOHASだとか、少々高くても環境によい製品を買うとか、ゴミの分別を徹底するとか、地域ボランティアに取組むとか、そんな余裕はないはずです。つまり、長時間労働は、結果的に環境問題への取組みを阻害しているのだと思います。

■長時間労働を犯罪に
 長時間労働(サービス残業)とは、実は労働というサービスのダンピング販売なんだと思います。ダンピングとは、比較的余裕がある側が大安売り(短期的には赤字)をして、余裕がない側をつぶし、結果として市場を独占する(社会的な悪)というカラクリです。一方、長時間労働というダンピングも、結果として既述のような問題を引き起こしているのです。であれば、長時間労働(サービス残業)は社会的な悪であるため犯罪として規制する、という考え方もアリだと思います。規制の対象は雇用主ではなく、労働者にしてもよいでしょう。
 どうも、長時間労働している人は、良いことをやっていると思っているようです。会社は喜ぶかもしれませんが、会社以外のすべての場所で悪影響を引き起こしていることを自覚して欲しいものです。そのためにも、長時間労働をしている張本人に「これは犯罪なのだ」としてブレーキをかけることはできないでしょうか。

■ベーシックインカムは
 ベーシックインカムは長時間労働と、長時間労働が引き起こす問題を緩和してくれると思います。ただ、完全に解決はできないような気がします。ベーシックインカムは徐々に体質改善をする漢方薬みたいなものです。一方の長時間労働の犯罪化は、さしずめ抗生物質の投与にあたりそうです。強烈ですが、抜け道(耐性菌)が見つかりそうですから。。。
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ロゴ付き有価物

2008年11月05日 05時37分11秒 | コンサル日誌
■窓口の問題
 廃棄物と有価物で、社内で管理窓口が異なっていることがよくあります。例えば、有価物は販売部門が管理しているような場合です。廃棄物管理部門の管理でも有価物のチェックは甘くなりがちですが、販売部門ではもっと甘くなってしまいます。

■有価物の売却リスク
 例えば、そのモノが単なる在庫処分品やほんの少しだけ不具合がある製品であれば、そのまま再利用できてしまうことがあります。裏市場に不良品が流れることになります。また、売れる金属部分だけ抜き出して、他の部分は不法投棄されてしまうこともあります。そこに自社のロゴマークが入っていたら大変です。もしかしたらe-waste問題にも巻き込まれるかもしれません。このように、有価物であっても安心できるとは限りません。
 ところが、販売部門にはそのような意識はあまりないことが多いようです。何しろ、相手は“得意先”ですから、与信管理はしても売ったものの使い道を詮索するなんてことは通常しないはずです。

■どうすればよいのか?
 まず、有価物であっても副産物の管理は廃棄物管理部門に任せることをお勧めします。廃棄物管理部門はこのリスクをしっかり認識し、内部監査の対象とするとよいでしょう。また、売却先の現場を確認するとともに、不適正な処理がされないように契約書に記載しておくべきです。結局は、廃棄物の処理委託並みの注意が必要と考えるべきでしょう。

 余談ですが、資源価格の下落により、これまで売れていたものが、実は売れなくなっていることもあります。特に少し前までの資源価格の高騰の折に「売れる」ということで考えていたものが、今はダメかもしれません。ご注意ください。
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ブッチギリ

2008年11月04日 08時40分30秒 | ウィークリー・トピックス
 先週は色々あったのですが、諸事情により最も印象に残ったことを簡単に。

 日経BP社で日経エコロジーに連載中の「廃棄物処理法Q&A」の打合せをしていたところ、このコラムの担当ではないほかの方ともご挨拶をしました。女性記者の方なのですが、曰く「あの白黒ページではブッチギリのコラムですよね」とのこと。女性でもブッチギリって使うんだな~と感心?驚き?ました。

 つまり、特集ページはともかく、それ以外のページではとってもよく読まれているということのようです。忙しいときでも、「とりあえずこのページには目を通しておこう」という位置づけになっているようです。ありがたいことです。できるだけながく連載しましょう、ということで、半年先のネタまで案をほぼ固めてきました。

 では、今週もよろしくお願いします。
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