先週は、報告書作成、日経エコロジー原稿作成(ほとんど進まず・・・)、セミナー準備と実施(これまでにない内容だったので、少々時間を掛けました)をしましたが、何と言っても処理業者の近くに住む方のお話を聞けたことが大きかったです。
■住民の方の感じ方
現地確認で重要なことは、「基準を守っているかより、周辺の住民の方がどう感じるか」であると常々強調していますが、今回はその意をいっそう強くしました。工場、現場では当たり前にある騒音、悪臭、粉塵は、「悪い業者と比べれば相当マシな方」であっても、そこにずーっと住んでいる人にとっては想像できないくらい迷惑に感じるものです。特に、自分の勤務場所が工場だったりすると、「少しくらい騒音があっても当然」と、感覚が麻痺してしまいがちです。山の中であればまず問題ない業者であっても、街中にあると問題が発生しやすいので要注意です。
実際、埃っぽくて窓を開けられない、洗濯物は天日で干せないという生活上の支障だけでなく、喘息、結膜炎、アトピー、そして精神的な苦痛という健康上の被害を受けている人もいます(因果関係は完全には立証されていませんが・・・)。特に低周波騒音については私も余り認識がなく、例えば、「
低周波騒音にたいする一時的な対策」というサイトによると、「不眠、気分が優れない、頭が痛い、気持ち悪いなど普通、訴える気分の悪さよりもはるかにしんどく、寝る際も寝たいが寝れないなどその症状は深刻である」とのことです。おかげで、重機が動いている昼間は自宅では休まらないので、外出してようやくホッとしているそうです。
これって、立派な人権侵害です。
■コミュニケーション
もうひとつのポイントは、コミュニケーションです。近所の騒音と同じで、相手の顔が分かっていて、話が分かる・信頼できる相手で、苦情に真摯に対応してくれるかどうかで、同じ騒音であっても感じ方は大きく変わるはずです。
■まとめ
つまり、現地確認では
①そこにずっと住むとしたら、どう感じるか
②住民とコミュニケーションはうまく取れているか
の2点を重視して欲しいと思うのです(もちろん、これで全部ではありませんが)。
もしかしたら、その処理業者は法律上問題ないのかもしれません。悪臭、騒音、振動の基準値はクリアしているかもしれません。放流する汚水の基準値はそもそもないかもしれません。
でも、委託している業者が周辺住民を苦しめているのであれば、それを良しとはできないはずです。会社にとってリスクであるだけでなく、人としても倫理的に容認できません(よね)。
こんな視点で処理業者を選別していけば、上記のような被害がなくなり、業界のレベルがもっと上がってくるはずです。そのためには、各自のちょっとした意識がけの積み重ねが大切だと思います。