議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

一般廃棄物の広域認定

2008年09月29日 05時37分11秒 | ニュースクリッピング
 古い話で申し訳ないのですが、一般廃棄物の広域認定として、コピー機、プリンタ、携帯電話が加わります(化学工業日報8/21)。こちらが関連するパブリックコメント(締め切っちゃってます)です。
 ご紹介が遅くなったのは、「環境省にちょっと確認をしてから」と思っていたのが、環境省の担当者と連絡が取れずにズルズルときてしまったからです。

■一般廃棄物の広域認定の告示
 さて、一般廃棄物の広域認定の告示を受けるには、これまで市町村から適正処理困難物(適困物)とされて、処理ができないという声が上がっていることが事実上の条件となっていました。しかし、先の家庭系PCリサイクルの指定を皮切りに、今回の一連の指定を見る限り、どうも様子が変わってきたようです。PCや携帯電話は、処理困難物ではないはずだからです。これについて環境省に確認をしたところ「別に基準は変わっていない」とのことでした。曰く、
*****
製造、加工又は販売の事業を行う者が処理を行うことにより、当該廃棄物の減量その他その適正な処理が確保されるもの
*****
というのが明文化された基準で、そこは変わっていないということです。そうはいっても、我々としては、運用・解釈が変わったんだな、と受け取るべきでしょう。まぁ、よい変化であることは確かです。
 さらに、「メーカーが回収の要望を出してくれば、市町村の要望がなくても検討する」とのこと。これも以前とスタンスは変わっていない、ということなのでしょうが・・・。

 そこで、
「でも、結局は全都清との調整とかは入るんですよね」
と確認したところ
「それは、そんなこともあり得るでしょうね」
とのことでした。そりゃ、そんな答えになるんでしょうね。

 ということで、消費者から回収した一般廃棄物と思われる廃棄物でも、メーカー、おそらくはできれば業界として回収したいのであれば、交渉の余地アリ、ということのようです。

■総合判断説
 もうひとつ確認したのは、
「そもそも、携帯電話の回収って、あれは廃棄物の回収だったんですか?」という点。使用済みのインクカートリッジも同様ですが、あれほど昔から大々的に堂々と回収していたのに、いまさら何故なんでしょうか。環境省としては、消費者が使った後のものなので、あれはやはり廃棄物ということだそうです。「環境省が総合判断した!」ということなのでしょう。放っておいてくれれば良かったのですが。

 おかげで今後はメーカーによる“有用物”の回収がしにくくなるかもしれません。

 ということで、現時点で携帯電話やインクカートリッジを回収すると、廃棄物処理法違反ということになるのでしょう。無許可営業で5年以下の懲役1000万円以下の罰金、法人は1億円の罰金の対象です。もちろん、目をつぶってくれるのでしょうが。ただし、消費者が委託する分には委託基準の適用はないので、こちらは違反になりません。

 ちなみに本件、環境省に電話でしたところ担当者がいないということで、質問を伝言していただき、後日改めて回答いただきました。したがって、ほぼ公式見解と考えて良いかと思います。
コメント
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