最近伸縮ポールについてのご質問が相次ぎましたのでまとめてみたいと思います。
以前伸縮ポールの代用品として「のぼりポール」などをご紹介したことがありますが、今回はアマチュア無線用として販売されている伸縮ポールに限ってご紹介します。
[現在手に入る伸縮ポールのメーカー]
コメット、第一電波、フジインダストリ、アンテナ工研の4社ではないかと思います。これら4社の製品の特徴はのちほどご紹介します。
以前はアンテンやマルドルなんかも出していたのですが、撤退や倒産などで入手できなくなっています。比較的最近に倒産したマルドルの製品なんかでもネットオークションで見かけることはほとんどないので(年に1回出品があればラッキーくらい)中古品はよほどの運がないと入手困難です。
マスプロのウェーブハンターなんかもそうですが、ベストセラーであっても生産中止から日が経てば経つほどネットオークションに程度の良好な出物が出る可能性が低くなります。
[とりあえずは4.5mの製品を]
以前からスタンダードなポールとして販売されているのが4.5mの製品です。
これは
・昔から販売されており実売1万円以下で手に入る
・4.5mあれば7MHzのアンテナなどでも何とか実用になる
・縮長が1.2mクラスなので車のトランクに入り、船や飛行機での輸送も問題ない
・重量も1.5kg以内なので担ぎ上げも可能
・地上高が高すぎず風の強い移動地でも比較的耐えられる
という特徴があるためだと思われます。
私も実際に4.5mを使っていますが、少なくとも国内向けであればこの地上高で実用上十分であり、それ以上の高さが必要なのは入賞狙いの国内コンテストですとかDXの場合とかになるだろうと思われます。
ということで移動用として最初に買う1本としては4.5mのものをお勧めします。
[長いポールは要注意]
長さ6m以上のポールは地上高を高くできて飛びそうに思えます。その反面値段が高く、思ったほど実用にならない製品があることも知られています。
お買い上げになる場合は以下の点をチェックしてみてください。
(1)重量は大丈夫か?
長いポールほど強度を要求されます。その分ポールに使うアルミの肉厚が厚くなり、重くなる傾向があります。担ぎ上げの場合重いポールは徐々に体力を奪いますのでアンテナを合わせたトータルの重さには特に注意が必要です。飛行機の場合もリグなど他の機材を合わせた重量制限(国内線ですと1人20kgまで無料)に引っかかることがあります。
(2)縮長に問題はないか?
車のトランクに入らないような長いポールは取り扱いに苦労します。購入前に車のトランクに入るか確かめましょう。飛行機や船の場合、一般的には120cm台の長さなら無料での持ち込みに問題はなく、それ以上ですと追加料金を取られたり載せられないこともあります。
(3)強度は十分か?
重量・縮長で条件をクリアしても強度不足のポールであればアンテナを上げることができません。中には50MHzの2エレ(1kg前後)を上げただけでもフラフラするような強度に問題のあるポールも市販されています。ステーを張ることで少しは風に強くなりますがステーを張ったとしてもこのようなポールに50MHzの6エレを載せることは無謀な話です。お買い上げになる前にメーカーに問い合わせてみるのもよいと思います。
[Radixのアンテナにはスリーブ付きが必須]
移動運用向けのアンテナメーカーRadixのアンテナをお使いの方も多いと思います。同社のアンテナはクロスマウントと伸縮ポールを2カ所で固定するようになっており、スリーブ(補助リングと呼んでいるメーカーもある)が必須です。Radix製品をお使いの場合はこの点も確認してみてください。
[風の強い日は無理しない]
伸縮ポールを使う上で注意が必要なのは風への対応です。ステーを張っても風でポールがしなるような場合は危険ですから一番上の細い段を縮めてしまう、あるいは使用をやめるなど無理しないことが大切です。事故が起こらないよう配慮をお願いします。
特に標高の高い山、伊豆諸島など風の強い移動地では注意が必要です。
[コメットの製品]
現在4.5m・6m・8mの製品があります。
値段は比較的安価で性能も良くもなく悪くもなくですが、CP-80L(8m)のように縮長が1.72mと長すぎる製品があり注意が必要です。OEM供給のため特注等の対応は難しいでしょう。全国のハムショップで入手・取り寄せ可能で、スタンダードな4.5mのCP-45ですと在庫を持っている販売店が多いと思います。
[第一電波の製品]
現在4.5mと6mの製品があります。
コメットよりも後から参入したため使い勝手の向上が図られていますが、その分値段が高いのが惜しいところです。OEM供給のため特注等には応じられないものと思われます。
全国のハムショップで入手(ない場合は取り寄せ)可能です。
[フジインダストリの製品]
約5m~12mまであり、HFの八木を上げるようなDXのPedi、50MHzの8エレなどを上げる移動局には定番です。このようなアンテナでも耐えられる頑丈さで知られ製品の強度は十分ですが、その分値段が高く重いのが欠点です。最低でも4kgと重いため担ぎ上げには不向きですし、飛行機で預け荷物とする場合は他の荷物によっては追加料金が必要となります。
またポールが倒れた際には大きな破壊力が働きますのでくれぐれも無理な設置はしないでください。
秋葉原などにある富士無線などで扱っています。富士無線は通販も可能です。
[アンテナ工研の製品]
撤退したアラキの技術を受け継いで生産しており、知名度が高くない割に意外とラインナップが豊富です。4.5m・5.5m・6m・7m・8mの製品があります。この分野では珍しく特注品の受注にも応じるとしています。また標準的な4.5mの製品の縮長が他社より短く(1.24m:他社製のは1.3m前後)輸送時に便利です。
スタンダードな4.5mタイプは秋葉原のロケットなどで販売しています。それ以外の長さは東京明三(Aマート)という会社が扱っており通販可能です。