CheMin(Chemistry & Mineralogy)は、X線回析分析と蛍光X線分析を備えた分析機器です。
鉱物の同定と定量を行います。また、周期表でMg以上の元素の検出を行います。
例えば、石膏は、カルシウム、硫黄および水を含んでいる鉱物で、無水石膏は、その結晶構造中に水を持たないカルシウムと硫黄の鉱物です。CheMinは2つを識別することができます。鉱物によって、それが生成した時点の環境が推測できます。
科学者は、生命を維持したかもしれない過去の火星環境を示す鉱物の手掛かりを探索するためにCheMinを使用します。
X線回析分析=XRD(a powder X-ray Diffraction)
蛍光X線分析=XRF(X-ray Fluorescence)
XRDでサンプルの結晶構造を測定して、XRFでサンプルに含まれる元素を確認します。
この情報からサンプルがどのような鉱物であるかを特定する訳ですが、鉱物に関する膨大なデーターベースを使用する為、地球からの支援が必要です。
(注)CheMin。(左)CheMinの機器構成、(右上)X線源の回折された光子のXRD 2つのシータ・プロット、(右下)CCDによって検知されたX線のエネルギー分散方式ヒストグラム。
XRD検出限界:複雑な混合物中の3%レベル以上存在する個々の鉱物を検出することができます。
XRD正確さ(accuracy):サンプル中に12%以上(最小の検知レベルの4倍、4x MDL))ある鉱物について、絶対量±15%で測定できます。
例えば、12%の濃度で存在する鉱物は12%±1.8%となります。
XRD精度(precision):報告される鉱物濃度の精度の目標は、4xMDL以上の量の場合で、±10%です。
正確さと精度が目標に達するためには、測定の間のセルへの粒子の流れが改善されるかどうかに掛かっているようです。
XRF検出限界、正確さおよび精度:XRFの必要条件は、今回除外されており、そのため「 "best efforts" (最善の努力)」方式となっています。
Si-PINダイオードの使用が認められなかったため、周期表の12(Mg)以上の原子番号の元素を検出します。
CheMinは、SA/SPaH (Sample Acquisition/Sample Processing and Handling) systemを通してサンプルを受け取ります。
SA/SPaHは、漏斗、サンプルホイールそして分析済みサンプルを溜めて置くサンプル溜めから成っています。
サンプルは、SA/SPaHへ投入される前に150μmのふるいに掛けられ、量は65mm3以下となります。
その内の約10mm3が試料セル(直径8mm、厚さ175μm)へ投入されます。
試料セルの窓は、6μmマイラーあるいは多少厚いKaptonで塞がれています。
試料を通過したX線をCCDで検知します。CCDは、マイナス60℃に冷やされる必要があるので、測定は夜間実施されるようです。
下図は、CheMinの構成図です。