3月19日2時 JST に行われた「the 44th Lunar and Planetary Science Conference(LPSC)」でCuriosityの先週13日のnews conference で発表されなかったデーターがたくさん出てきました。
'Yellowknife Bay'で見られる堆積岩は、初め玄武岩質の岩が破片になり、運ばれ、堆積粒子として再堆積して、そして、水に晒されることで鉱物学的な変成を受けたことで形成されたものだろうとのことです。
1.APXSによる'Yellowknife Bay' の岩の測定結果
静脈状の部分、ブラシを掛けない岩、ブラシを掛けた岩といろいろな部分の測定をした結果です。
静脈状の部分は、硫黄とカルシウムが顕著に多いです。岩の表面は、ブラシをかける前と後とで硫黄の含量に変化が見られますね。
2.MastCamのフィルターによる測定
下図は、Sol133にMastCamによって撮影された "Knorr."と呼ばれる部分の画像です。
明るいトーンの結節や静脈が見られます。画像の幅は、約25cmです。
下図は、MastCamによって"Knorr."の母岩と静脈部分を測定した結果です。測定位置を図の下段の画像で示しています。
横軸が光の波長(可視光から赤外まで)で縦軸が反射率です。
右にある縦長のカラムは、静脈部分の750~1050nmの範囲の測定結果と含水鉱物のスペクトルと比較したものです。
参照スペクトルは、the U.S. Geological Survey's Spectral Library と the University of Winnipeg Planetary Spectrophotometer Facilityからのものです。
下図は、"Knorr."でMastCamによって撮影された近赤外分光分析強度の画像です。
近赤外分光分析強度の比率によって鉱物の水和の量を示します。
右側のカラースケールは、水和の計算された相対的強弱度の色の割り当てを示します。
画像は、岩の中で水和のより強いシグナルが青白い静脈および光の調子をもった結節に関係していることを示します。
この画像は、Sol133に撮影されました。
下図は、"Tintina," でローバーの車輪によって壊れた岩の断面を示します。
明るい物質は、静脈部分のものと同一かもしれません。
岩の大きさは、約3cm×4cmです。Sol160に撮影されたものです。
下図は、上図と同じTintina," でMastCamによって撮影された近赤外分光分析強度の画像です。
近赤外分光分析強度の比率によって鉱物の水和の量を示します。
Sol162に測定されたこのデータは、Mastcamによる一連の狭い周波帯のフィルタを通した観測結果です。
下図は、"John Klein"での反射率の測定場所と測定結果を示したものです。
左図の撮影は、Sol183に"John Klein"で行われたものです。
左の画像は、測定場所を示しています。
右の図は、可視光から赤外の12枚のフィルターを使用して反射率を測定したものです。
下図は、ラボで測定された鉄含有鉱物のスペクトルと上図の測定結果とを比較の為並べたものです。
左のグラフは、ラボのデーターで、酸化鉄鉱物(赤いカーブおよびオレンジのカーブ)のスペクトルと典型的玄武岩質火山岩の比較的酸化されていない鉱物(輝石:緑のカーブおよび青いカーブ)のスペクトルを示します。
3.DANによる測定結果
下図は、横軸がCuriosityの走行距離で縦軸がDANによる測定値です。
また、青い折れ線が「Active data」で赤い折れ線が「Passive data」です。
*Active data:DANが地面に中性子を打ち込んでその反射を測定。
*Passive data:銀河宇宙線等による中性子の地面からの跳ね返りを測定。
下図は、DANが0.5mの深さまで測定可能なことを利用して、測定場所ごとに表面近くに水分が多いか深いところに水分が多いかを示しています。
下図は、Curiosityの移動に沿って検知された水の深さにおける変化を示します。
最下段のグラフを見ると"Yellowknife Bay" エリアで60cmの平均含水量が約3パーセントと見積もられることがわかります。
下図は、岩露頭(spot#39)と固まっていない土(Spot#40)で水の存在の比較をしています。
結果は、岩露頭より土の方がより多くの水があることが分かりました。
今回の報告を見ると、良い準備の元に計画されたことを着実に積み重ねることが大切だと改めて思います。
そしていろいろ見えてきたわけですね。