平成10年に施行された新民事訴訟法で、最高裁への上訴は、以前はフリーパスに近かった高裁判決に対する上告の範囲は狭められ、逆にほとんど閉ざされていた高裁決定に対する抗告の範囲は広げられました。
その結果、最高裁が判例統一は時期尚早ではないかと考える場合、318条の上告不受理決定(法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められない)という形で先送りするケースが出て来たようです。
他方で、337条の許可抗告(法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合)は、高裁の判断で許可してしまうものですから、最高裁が時期尚早と思われる判断を迫られるケースもあるようです。
一種の逆転現象が生じかねないかも知れません。
それにしても、下記は同一事案で同日決定、かつ同一小法廷だそうですから、かなり珍しいケースではないでしょうか。
当ネットワークにもお付き合い戴いている馬場先生が提起された裁判です。(チェックメイト)
(神戸新聞から抜粋)
「体罰教員の情報公開訴訟 最高裁、判断を二分」
兵庫県教委が体罰の報告書の大部分を非開示とした決定に対し、神戸大大学院教授が取り消しを求めた訴訟で、最高裁が十一月、県教委の上告を退け体罰を加えた教職員名などの開示を命じた判決が確定したが、同じ日、同様の事案を争った別の訴訟で、最高裁が教授の上告を棄却し、教職員名などは個人情報に当たるとの判決が確定していたことが四日、分かった。体罰教職員の名前は開示か非開示か-。司法判断が分かれ、県教委の幹部らは頭を痛めている。
神戸大大学院の馬場健一教授(45)=法社会学=が二〇〇一年一月、一九九五-九七年度の報告書で大部分を非開示とした県教委の処分取り消しを求め提訴(訴訟A)。さらに〇四年一月には、〇一年度の報告書を対象に提訴(同訴訟B)した。
加害教職員名や校名の開示の是非が争われたが、訴訟Aの高裁判決は「(体罰で教職員が)懲戒処分を受けたことなどが分かると、公務員の立場を離れた個人の評価も低下する」との理由で「個人情報に該当する」と判断、非開示が妥当と結論づけた。
一方、訴訟Bの高裁判決では「県の諸活動を県民に説明する責務は、違法・不当と評価されるような公務員の情報についても向けられている」と指摘。「懲戒処分を受ける立場に置かれた情報だから非開示というのは県の条例の趣旨に明らかに反する」とした。
訴訟Aは馬場教授が、Bは県教委が最高裁に上告したが、いずれも十一月二十二日、「上告理由に当たらない」などとして棄却され、両高裁判決が確定した。
その結果、最高裁が判例統一は時期尚早ではないかと考える場合、318条の上告不受理決定(法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められない)という形で先送りするケースが出て来たようです。
他方で、337条の許可抗告(法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合)は、高裁の判断で許可してしまうものですから、最高裁が時期尚早と思われる判断を迫られるケースもあるようです。
一種の逆転現象が生じかねないかも知れません。
それにしても、下記は同一事案で同日決定、かつ同一小法廷だそうですから、かなり珍しいケースではないでしょうか。
当ネットワークにもお付き合い戴いている馬場先生が提起された裁判です。(チェックメイト)
(神戸新聞から抜粋)
「体罰教員の情報公開訴訟 最高裁、判断を二分」
兵庫県教委が体罰の報告書の大部分を非開示とした決定に対し、神戸大大学院教授が取り消しを求めた訴訟で、最高裁が十一月、県教委の上告を退け体罰を加えた教職員名などの開示を命じた判決が確定したが、同じ日、同様の事案を争った別の訴訟で、最高裁が教授の上告を棄却し、教職員名などは個人情報に当たるとの判決が確定していたことが四日、分かった。体罰教職員の名前は開示か非開示か-。司法判断が分かれ、県教委の幹部らは頭を痛めている。
神戸大大学院の馬場健一教授(45)=法社会学=が二〇〇一年一月、一九九五-九七年度の報告書で大部分を非開示とした県教委の処分取り消しを求め提訴(訴訟A)。さらに〇四年一月には、〇一年度の報告書を対象に提訴(同訴訟B)した。
加害教職員名や校名の開示の是非が争われたが、訴訟Aの高裁判決は「(体罰で教職員が)懲戒処分を受けたことなどが分かると、公務員の立場を離れた個人の評価も低下する」との理由で「個人情報に該当する」と判断、非開示が妥当と結論づけた。
一方、訴訟Bの高裁判決では「県の諸活動を県民に説明する責務は、違法・不当と評価されるような公務員の情報についても向けられている」と指摘。「懲戒処分を受ける立場に置かれた情報だから非開示というのは県の条例の趣旨に明らかに反する」とした。
訴訟Aは馬場教授が、Bは県教委が最高裁に上告したが、いずれも十一月二十二日、「上告理由に当たらない」などとして棄却され、両高裁判決が確定した。
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