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争点整理書面の行方

2018年02月22日 | 瑞祥

 争点整理書面は,弁論準備手続などの争点整理手続中に,議論のまとめをして,主に,争いのない事実等と争点及び争点に関する当事者の主張を整理する書面であることが多いですね。当事者と裁判官の認識を共通のものとし,集中審理の準備となり,また実は和解を促す機能が生じる場合もあります。高名な井垣敏生元裁判官(20期)が始めたものと認識しています。現行民訴法施行前に一時ブームとなり,その後も重要な事件を中心に使用され,今も合議事件で作成されることがあるでしょう。単独事件でも作成する裁判官もおられると思います。ただ,この作成の負担があって,かつてほどは作成されていないのではないかと思います。ただ,度々投稿している「民事訴訟のIT化」の下では,この書面の作成が容易になるのではないかと思っています。データが揃っているだけに,争点を裁判官が項目建てすれば,当事者の代理人が準備書面から項目ごとに切り貼りしていけばいいからです。でも,項目建てをしなければ,情報が混乱したまま載ることになるでしょうね。その意味で,データの交換だけをしていてはだめで,データをもとに議論して大体の目安をつけ,裁判官が項目建てをするのが大事だと思います。そうすると,当事者代理人がどんどん争点整理書面をつくって交換していけるのではないでしょうか。量的な目安(例えば,最大で5頁など)も作ると,引き締まったものになるような気が経験上します。最後は,裁判官が手直しをすればよいのです。「民事訴訟のIT化」は,「争点整理書面の復活・拡大」になるかもと思いますが,皆さんいかがでしょうか。ご意見があればコメントしてください。


2 コメント

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裁判所が無駄な争点を排除できるかどうかでしょうな。 (ツンデレ)
2018-02-23 10:42:55
裁判所は争点をまとめるだけなら、IT化しようがしまいが、効率は大して変わらないと思いますね。民事裁判の非効率は、当事者がどうでもいいところで論争するからです。そして、なぜ当事者がどうでもいいところで論争するかというと、相手の性格の悪さかどうでもいいはずの話が、なぜか判決に影響することがたまにあるからです。判決に影響する可能性がゼロでない以上、当事者としてはどうでもいいところで論争せざるをえないのです。
裁判所が民事裁判を効率よく進めたければ、くだらない論争が始まった時点で立証趣旨を明確にさせ、そのうえで、その論争は判決に影響しないと宣言し、約束を守ることです。
ただし、それでも控訴審で約束が守られる保証はないのですから、裁判所は約束したことを調書に残し、控訴裁判所に守らせる必要があります(控訴裁判所が違う考えのときはそれを宣言し、控訴審でくだらない論争をさせればいいのです。)。
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無駄な争点を省くために (瑞祥)
2018-02-24 01:32:54
ツンデレさん コメントありがとうございます。ご指摘のように,当事者が争点ではないところでヒートアップして,本筋から審理が離れてしまうことはありますね。やはり,裁判所が整理するのが大事です。最近は,この整理を,現行民事訴訟法が予定したように,もっと口頭で議論しながらしようということが叫ばれています。現行民事訴訟法導入時の頃の活発な議論をする弁論準備手続を復活させようという提案です。少し前に投稿したノンコミットメントルールもこの関係です。書面の交換だけで進めていくと,争点が拡散するだけでなく,審理期間もながくなります。実際に長くなっているようです。
その他,争点の調書化(同意の上)も必要でしょうね。
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