今年の司法十大ニュース
1位 大阪地裁の国家賠償請求事件で,手錠,腰縄姿を見られたくないとする被告人の利益を法的利益と認める判決(5月)。以後各地で,手錠・腰縄姿が見えない配慮措 置 が広がる。
2位 湖東病院事件,再審開始が確定(最高裁が特別抗告を棄却)(3月)。その後検察が有罪 立証放棄の方針。再審公判は令和2年2月(2回),判決は3月の予定で協議中との 報道(12月)。
3位 司法研修所,養育費の新しい算定基準発表。16年ぶり。(12月)
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4位 勾留却下率(平成30年),5.89%と発表される。過去最高の率(これまでは,昭和44年の4.99%。)。(4月)
5位 ゴーン被告人が保釈。3回目の保釈請求で(勾留108日)。(3月)
6位 最高裁,大崎事件再審開始決定を取消し。(6月)
7位 日本裁判官ネットワーク「裁判官が答える 裁判のギモン」出版。(4月)
8位 東京地裁,最高裁裁判官の国民審査について,在外投票制限を違憲の判決。(5月)
9位 熊本地裁,ハンセン病家族訴訟で,国家賠償請求を一部認容。国が控訴断念し確定。(7月)
10位 司法試験合格が大学入学後最短で5年(法曹コースを新設など)とする改正法法科大学院教育・司法試験連携法が成立。令和2年4月施行。(6月)
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番外で多かったもの
・法務省が共同親権についての研究会を発足させる。(11月)
・大阪高裁,パート労働者に賞与不払を違法とした判決(2月)。その他,契約社員に正社員との労働条件の不合理な相違を認めた判決が複数あり(1月大阪高裁 〔年末年始勤務手当,祝日休,夏季冬季休暇手当などの事
例〕),2月東京地裁〔退 職金の事例〕)。
・東京地裁,司法取引の初適用事案で,不正競争防止法(外国公務員への贈賄罪) 違反により有罪執行猶予の判決(捜査に協力した会社は不起訴)。(5月)
・熊本地裁,松橋事件で再審無罪(検察が控訴権放棄で確定)。(3月)
・最高裁,自衛官の安保関連法規違憲訴訟で,訴えを適法とした東京高裁判決を破棄し差戻し。(7月)
その他(今年の特色~海外の司法ニュースの多さ)
・前韓国大法院院長,徴用工をめぐる判決の先送りによる職権濫用罪の嫌疑等で逮 捕(1月)。2月に起訴。
・米カリフォルニア州など16の州政府が18日、メキシコとの国境の壁の建設費用のため国家非常事態を宣言したドナルド・トランプ米大統領を連邦地裁に提訴。(2月)
・イギリス最高裁,ジョンソン首相の議会閉鎖は違法・無効の判決。(9月)
・韓国で,元慰安婦と遺族らが日本政府を相手に慰謝料支払を求めた裁判が始まる。公示送達で,提訴から3年後。日本政府は出廷せず。(11月)
・香港の高等法院,覆面禁止法違憲判決。(11月)