毎日新聞2024/6/30 地方版 有料記事 669文字
かつて台湾の先住民族「平埔(へいほ)族」の民族衣装に施されていた色鮮やかな刺しゅうの技術を再興させようと、現地の専門家でつくる調査団が来日し、平埔族関連の資料を豊富に所蔵する天理大付属天理参考館(天理市守目堂町)で25日から3日間にわたって資料調査を行った。調査団は「歴史の過程で民族の文化は失われたが、天理で先祖が残してくれた大量の刺しゅう品に出会えてうれしい」と喜んでいた。
平埔族は台湾の平地に暮らす先住部族の総称。台湾では17世紀以降、大陸から移ってきた漢族の影響を受けて漢化が進み、今では独自の文化や言語がほとんど失われてしまった。
調査団のメンバーは台湾南部の平埔族5人。すたれてしまった刺しゅう技術を再興して民族衣装を復元しようと、刺しゅうの素材や文様、縫い方などの解明を進めている。ただ、台湾にも残された資料が少ないことから、質量ともに日台屈指の収蔵品を誇る参考館に協力を依頼し、今回の調査が実現した。
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【望月靖祥】