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アイヌ伝統「マレク漁」を体験 白糠で講座手作り道具「すごい」

2021-10-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞 10/26 21:28

ヤナギの細木の先端にマレクを付けた漁具を手に、川を歩く参加者(茂忠信撮影)
 【白糠】アイヌ民族伝統の、「マレク」と呼ばれるかぎ針がついたもりを使いサケなどを捕まえる漁法「マレク漁」の実践講座が26日、町内の茶路川で開かれ、参加した19人が先住民族の漁法を体験した。
 講座は、釧路市の「伝統的なアイヌ文化・生活の場の再生支援事業」の一環として、道の特別採捕の許可を得て開催。白糠アイヌ協会会長の天内重樹さん(36)と、阿寒アイヌ協会副会長の床州生さん(55)が講師となった。
 天内さんと床さんははじめに、河畔の林で「川の神」と「魚を授けてくれる神」に漁の無事を祈る儀式を実演。町内の古老から漁法を習った天内さんが、オンコの木片に可動式のかぎ針が付いたマレクを、長さ2メートル余りのヤナギの細木の先に取り付けた漁具を参加者に手渡し、「サケの動きに合わせもりも動くので、魚体が傷つかない」「ヤナギの細木は、現地で調達するので荷物にならない」などと利点を説明した。
 参加者は小雨が降る中、漁具を手に1時間余り川を歩き「獲物」を探したが出くわせず、先人の漁の苦労も味わった。北大工学部3年の岩瀬龍之介さん(21)は「東京出身で、アイヌ民族ゆかりの方から直接話が聞けて感激した。丸木舟など、ほかのアイヌ文化も学びたい」と、また十勝管内鹿追町の瓜幕中1年所暖乃香(ののか)さん(12)は「便利な道具を考えたアイヌ民族の知恵は、すごいと思った。次回は魚を捕まえたい」と笑顔で話した。(佐竹直子)
※「マレク」のクは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/604553

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アマゾン先住民の若い女性がTikTokで見せた「日常」に、世界がザワついた理由とは?

2021-10-27 | 先住民族関連
クーリエ・ジャポン 10/26(火) 11:30配信

ブラジルのアマゾン奥地に暮らす先住民タトゥヨ族の女性が、コロナ禍で外の世界とつながるためにTikTokを始めた。歌っても踊っても受けなかったのに、カブトムシの幼虫を食べたらフォロワーが急増。彼女にとっては「日常」を見せただけなのに……。
「バイラル動画」の新星
アマゾンの熱帯雨林の真ん中、ネグロ川のほとり沿いで、顔にペイントを施した若い女性が退屈していた。新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が途絶え、ボートでしかたどりつけないこの先住民村はますます孤立していた。
時間を持て余したクンハポランガ・タトゥヨ(22)は、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の使い方を覚えようと、スマートフォンを片手に日々を過ごしていた。
最初は曲に合わせて踊ったり、動画の吹き替えをしたり、自分の見た目を加工で大きくゆがめてみたりと、TikTokの機能を存分に活用した。だが、どれも受けはいまいちだった。
そこで彼女は、もぞもぞ動く太ったカブトムシの幼虫をカメラに近づけた。
「よく聞かれます、『クンハポランガ、あなたたち幼虫を食べるって本当?』って」
「もちろん食べますよ! 見たいですか?」
そして幼虫が最期を遂げた(クンハポランガが「うーん、おいしい!」とコメントした)そのとき、「バイラル動画」の新星が誕生した。配信元は世界で最も人里離れた場所だ。
クンハポランガの自宅は、周りにアマゾンのジャングルしかない川沿いのかやぶき屋根の集落にある。ここに住む数十人の住民はタトゥヨ族の仲間だ。彼らは顔に真っ赤なペイントを施し、精巧な羽の頭飾りをつけ、鳴き声のやかましいコンゴウインコ(クンハポランガはペットと間違えないでと注意している)と暮らしている。自分たちが育てたり捕獲したりできるもので生活する民族だ。
これらすべてが、今やブラジルで最もダイナミックかつ急速に伸びているソーシャルメディアコンテンツの一つとなった動画の色鮮やかな背景となっている。クンハポランガは日常生活の様子をTikTokに投稿するだけで、1年半余りの間に600万人超のフォロワーを集めた。
本人にとって投稿する内容は何の変哲もないことだった。しかし、増え続ける彼女の視聴者にとっては、もっと遠くにあるとしか思えなかった世界が突如として身近なものになった。
先住民の生活が見える
再生回数を見てみると、クンハポランガがボウルに入った幼虫を家族に食べさせる動画が670万回、キャッサバ粉を作る道具を振り回す動画が1610万回、手つかずの自然が残る川のほとりで流行りのポップソングに合わせて踊る動画(結局いまもTikTokに残している)が410万回だ。
デジタルメディアの最後の未開拓地の一つであるアマゾンの熱帯雨林にソーシャルメディアが到達し、先住民族の生活が前例のない形で垣間見えるようになった。かつての地理的な障壁は取り除かれている。
地球上で最も孤立した人々の一部が、ジャーナリストや学者、先住民保護団体といった従来のフィルターを通さずに、初めて外部世界と日常的にコミュニケーションを取っているのだ。
「これは重要な機会です」。こう語るのは、マルボ族の一員であるベト・マルボだ。マルボ族の村にはインターネットがつながったばかりで、すでに急速に広まっているという。
「ブラジルの人々は先住民のことを知りません。そうした情報の欠如から、先住民は怠けている、無精だ、不幸せだといったありとあらゆるひどい固定観念が生まれているのです」
先住民族の生活のデジタル化は目下、ブラジルで極めて強力な政治的潮流と衝突している。ジャイル・ボルソナロ大統領は、先住民の領土の広さを嘆き、商業的利益のために開放すべきだと主張して政権の座に就いた。彼は先住民を理解不能なよそ者と表現している。
「インディアンはわれわれの言葉を話せず、お金も文化もない」と、ボルソナロは大統領選への出馬を公言した2015年に語り、「彼らはどうやって国土の13%を所有するようになったのか」と問いかけた。
その先住民の土地の一角で8月、クンハポランガはTikTokのことを考えながら、太陽の下を歩いていた。彼女はポルトガル語を完璧に話し、自分を完全なブラジル人だと思っている。
自分の民族の文化を紹介し続けたかったが、いつまでできるかわからなかった。2018年末に村に設置された衛星アンテナを見上げ、ため息をついた。この地域のインターネット使用料は月額65ドル(約7400円)だ。
「本当に高いです」と彼女は嘆く。収益化が難しいことの多いプラットフォームでどうやってたくさん稼ぐか、まだわからないという。フォロワーの中には数ドルの寄付をしてくれる人もいるが、それほど多くはない。
村長を務める彼女の父親は、近いうちにこの地域のインターネット接続を打ち切らねばならないかもしれないと言っていた。そうなれば、彼女はソーシャルメディアにアクセスできなくなり、TikTokのキャリアは絶たれる可能性がある。
クンハポランガはそんな考えを頭から追い払おうとした。そして次のTikTok動画をどんな内容にしようか考えた。
反響の大きさに驚く家族
幼虫がバイラル動画のキラーコンテンツであることはもうわかった。アマゾンのヤシの木から採取され、ココナッツのような味がすると言われるこの小さなうごめく生き物は、動画を投稿するとほぼすべて数百万回単位で再生される。
それでも、初めて幼虫の動画を投稿したとき、彼女にとってそれは小麦粉や魚と同じくらい定番の、日常的な食べ物にすぎなかった。だから彼女は反響の大きさに驚いた。動画の投稿からものの数時間で、100万人以上のユーザーが視聴していたのだ。
クンハポランガは家族に向かってちょっと見てと叫んだ。手にはアップルの「iPhone 7」を握っていた。観光客に工芸品を売って貯めたお金で買ったものだ。そのスマホで開設したインスタグラムのアカウントは、フォロワーを約1000人まで増やすのに苦労した。だが、今回の反応は初めてのことで、何が何だかわからなかった。
「ちぇっ!」と彼女はつぶやいた。「私が毎日食べるものに、どうしたらこれほど多くの人が興味を持てるの?」
両親と兄弟はスマホをのぞき込み、どういうことか理解しようとした。コメント欄はほとんど手がかりにならなかった。
「シンプルな食事」。ある人は幼虫を指して言った。
「どんな味がする?」。別の人が質問した。
「純粋なたんぱく質」とコメントする人もいた。
クンハポランガの父、ピニョ・タトゥヨは気後れしていた。彼はインターネットを村に導入することを早くから熱心に提唱していた人物だ。デジタル時代が到来し、後戻りはできないと感じていた。村の人々は世界とつながるための技術を受け入れ、自分たちが何者であるか発信しなければならない、と。
彼自身も本格的な頭飾りをつけてユーチューブ動画を作成し(「ちょっとした自己紹介!」というタイトルをつけた)、インスタグラムのアカウントを設け、最終的に1万2000人のフォロワーを集めた。だが、クンハポランガのTikTokは桁が違った。数千人どころではない。数百万人だ。
「気をつけなさい」。父は娘に伝えた。「多くの物事が間違った方向に進んで、問題が起きるかもしれない」
だが彼らは、ますます脅威にさらされているように感じる文化を守り、記録に残すうえで、TikTokが有力なツールであるということは受け入れた。クンハポランガは、自分の文化と家族を尊重するよう注意すると約束し、スマホに視線を戻して仕事に取り掛かった。
ブラジル中から殺到し始めていた質問に答えるという仕事だ。タトゥヨ族が顔にペイントを施す理由は「負のエネルギーを寄せ付けないため」、朝食のアサイーについては「この美味しさは想像を絶する」、靴を履くのかという質問には「森に入るときは」と次々に回答していった。
クンハポランガの動画は、TikTokならではの特徴をうまく活用した。TikTokが生んだスターの一部は、少なくとも従来の意味での有名人ではない。一般人がその一風変わった生活を視聴者に紹介しているのだ。米テキサス州オースティンの養蜂家は960万人のフォロワーを集めている。6人の男の子の母親は170万人だ。南極の科学者は5ヵ月足らずで94万人を獲得した。
アマゾンでは、クンハポランガがアリとキャッサバで作る一般的な食事を動画にした。自分の部族の言葉や、「チベ」と呼ばれる水とキャッサバ粉を混ぜた飲み物も紹介した。
ただ、彼女のフォロワーが数百万人に到達したのは、“不調和を調和”させるようになってからだ。たとえばある動画では、村に住む鮮やかな緑色のコンゴウインコとコンビを組み、このつれない動物と並ぶ場面に吹き替え音声を入れた。別の動画では、羽の頭飾りをつけた11歳の弟が腰を振り始める。
さらに別の動画では、家族が土でたき火台を作る場面に、ロディ・リッチのラップソングが流れる。「俺は遊び人じゃない、ただ愛しいやつがいっぱいいるんだ」。新鋭のアメリカ人ラッパーがこう歌い上げるなか、クンハポランガの母が裸足で泥を踏み固めるのだ。
ばかげていた。最高に面白かった。それがTikTokだった。
彼女はもっと動画作りをしたくなった。
TikTokは本当に恩恵をもたらしたのか
クンハポランガのスマホはメッセージや通知で光っていた。水と石けんで顔のペイントを落とす方法を紹介した動画がヒットしていたのだ。すでに200万人以上が視聴し、あと数百万人はすぐに達成しそうだった。だが、彼女は自宅の小屋の中で早くも次の構想に動き出していた。
彼女は父と弟たちに「カリソ」(伝統楽器の笛)を持ってくるよう頼んだ。自身もTikTokで96万人強のフォロワーを持つ弟のピコは、基本的に注目されることが大好きで、すぐに言うことを聞いた。
父も自分の笛を取り出したが、ソーシャルメディアがまだ信用できなかった。彼は自分の文化を喜んで人に教えた。しかし、TikTokがこの村にもたらした具体的な恩恵とは何だろうか。
600万人ものフォロワーとは裏腹に、彼らはまだギリギリの生活をしていて、電気代やインターネット料金が支払えるか心配していた。デジタルの世界では有名になったが、どうしたものか、かつてないほど貧しかった。コロナの影響で観光客が足止めされ続ければ、インターネットを解約して娘をがっかりさせる羽目になると父は危惧していた。
「状況は悲惨だ。本当に厳しい」
だが、彼はそうした考えをひとまず忘れ、息子と一緒に地域の集会所に下りて行き、頭飾りをつけて笛を演奏した。クンハポランガは彼らの前に立って撮影し、「みなさんこんにちは」と視聴者に語りかけた。「今日は私の父と弟がこの楽器を演奏します。私たちが訪問客を迎える儀式で使われるものです」
クンハポランガが動画に収めたその曲は心に響くメロディーだった。兄弟や父に見せると、笑顔で素晴らしいねと言ってくれた。彼女はそれが自身の最高傑作とは思っていなかったし、バイラルになるかどうかも不安だったが、あまりストレスは感じなかった。
「これで充分」と彼女は言った。「TikTok用にはね」
Terrence McCoy
https://news.yahoo.co.jp/articles/d6ad8cabccb011a92ade7f7ad8b6fed911a68564

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