『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナル ジオグラフィック編、日経ナショナル ジオグラフィック社)
ナショナルジオグラフィック日本版 2013年10月9日
民族衣装はどれも個性豊かで見ていて楽しいもの。ですが最近ではTシャツやジーンズにとって代わられ、日常的に身につけることが少なくなりました。この連載では100年以上にわたり世界の人々を撮影してきたナショジオの写真アーカイブから、失われた“日常の民族衣装姿”をご紹介します。(文=葛西陽子/書籍編集)
連載のこれまでの写真と違って、この格好は皆さんお馴染みだと思います。「ナショナル ジオグラフィック」1921年7月号の特集「各地をめぐるカメラの冒険」に掲載されたアイヌの男性です。撮影地は、現在の北海道白老町。古くからアイヌの人びとが暮らしている町で、現在はアイヌ民族博物館もあります。
身に着けているのは、独特のアイヌ文様の着物。樹皮や草の繊維でつくられることもあれば、木綿製のものもあったそうです。頭につけた飾りは、ミズキやヤナギなどの木を削ってより合わせたものです。
1921年の記事では、この男性をキリスト教の聖人になぞらえて「アイヌの聖ニコラウス」と紹介しました。アイヌ民族博物館にうかがったところ、アイヌの長老は実際にそうした役割を担っていたようで、「どの家においても、どの村においても長老(エカシ)が神事をとりしきり、カムイノミ(神への祈り)をおこなうのは当たり前でした。神への祈りはアイヌ男性の大切な役割です。写真の人物も白老コタンの長老のひとりだったと思います」とのことでした。
アイヌ民族博物館 http://www.ainu-museum.or.jp/
次回は、オランダの顔より大きなボンネットをご紹介します。
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20131007/368040/
ナショナルジオグラフィック日本版 2013年10月9日
民族衣装はどれも個性豊かで見ていて楽しいもの。ですが最近ではTシャツやジーンズにとって代わられ、日常的に身につけることが少なくなりました。この連載では100年以上にわたり世界の人々を撮影してきたナショジオの写真アーカイブから、失われた“日常の民族衣装姿”をご紹介します。(文=葛西陽子/書籍編集)
連載のこれまでの写真と違って、この格好は皆さんお馴染みだと思います。「ナショナル ジオグラフィック」1921年7月号の特集「各地をめぐるカメラの冒険」に掲載されたアイヌの男性です。撮影地は、現在の北海道白老町。古くからアイヌの人びとが暮らしている町で、現在はアイヌ民族博物館もあります。
身に着けているのは、独特のアイヌ文様の着物。樹皮や草の繊維でつくられることもあれば、木綿製のものもあったそうです。頭につけた飾りは、ミズキやヤナギなどの木を削ってより合わせたものです。
1921年の記事では、この男性をキリスト教の聖人になぞらえて「アイヌの聖ニコラウス」と紹介しました。アイヌ民族博物館にうかがったところ、アイヌの長老は実際にそうした役割を担っていたようで、「どの家においても、どの村においても長老(エカシ)が神事をとりしきり、カムイノミ(神への祈り)をおこなうのは当たり前でした。神への祈りはアイヌ男性の大切な役割です。写真の人物も白老コタンの長老のひとりだったと思います」とのことでした。
アイヌ民族博物館 http://www.ainu-museum.or.jp/
次回は、オランダの顔より大きなボンネットをご紹介します。
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20131007/368040/