京都・静岡・宝塚・東京・横浜、
そして尾張名古屋からの季節だより
休日の午後、
原宿駅の降り立つ、
何時もの塔屋が迎える、
代々木公園正面、
チューリップが揺れる、
思わず覗き込むと、
世界が変わる、
楠・欅・公孫樹・楓の巨木が萌えいづる、
一直線に天空を目指す、
ざわざわと新芽が騒ぐ、
木の下にアクセントをつける黄色い小さな花、
フユシラズとか、
老木を養生を受けて新芽と根を出す、
桜の巨木に名残の桜、
根元に可憐なスミレが一株、
森を守るかのように屹立する、
振り返ると、
森が送り出してくれる、
桜前線も北の大地に移動し、
4月というのに東京は夏日を数える、
観桜の名所も元の静けさを取り戻す、
都電荒川線、
終点早稲田駅、
その一駅手前が面影橋駅一帯の神田川沿い、
事務局から徒歩数分、
両岸からの桜木は寂し、
河床が見えるほど、
水鳥が一羽、
川の流れを見つめる、
花の命は短くて、
事務局への帰路、
甘泉園の小さい丘を越える、
詫びた門を潜り、
径をゆく、
木の下闇一面シャガが咲く、
この時ばかりは花の盛り、
小丘の向こうに躑躅が広がる、
木の下に消えていく、
甘泉園を抜けると早稲田大学街が広がる、
不釣り合いのように、
シャクナゲが辺りを彩る、
春の嵐が過ぎ去り、
穏やかな陽射しが地に溢れると、
一気に気温が上昇してくる、
夏日が各地に現れる、
茹だるような暑さが来ないうちに、
穏やかな陽を満喫、
春は蒲公英、
近頃では西洋蒲公英が一年中咲いている、
それでも今の時期に見る蒲公英は、
菜の花とともに日本の春の原風景となる、
白い蒲公英には独特の雰囲気がまとう、
繊細な花びらが太陽の光線を思わせる、
このような時期にこそ、
木道を歩く足も軽やか、
桜木は葉桜となり木々の中に溶け込む、
雲により陽射しが陰ると、
冷たい風が吹き抜ける、
自然の変化の動きに驚かされる、
水の中に生える灌木も、
緑を取り戻す、
沼の水面にハスの若葉がぽっかり浮かびだす、
これがと思う色合いと形、
杭の植生密度が濃くなる、
朽ちた切り株にも新芽が育つ、
楓の木の下には、
実生一年生が幾つも見える、
この新芽は何だろうか、
春は忙しい、
こと時期だけの姿が、
この時にはある、
この花は何、
「一人しずか」が時を待つ、