京都・静岡・宝塚・東京・横浜、
そして尾張名古屋からの季節だより
過日、
茶道具の美に出会う、
作品は撮影禁止、
やむを得ず、
作品は無し、
しかし、
根津美術館は、
庭に出てその良さを感じる、
新緑の小径を辿る、
苔むした仏、
四角の切り石から、
湧き出る、
鳥居が並び、
祠に至る、
縦横に小径が走る、
腰掛待合、
さらに端正な延べ石を歩くと、
茶室に至る、
こちらの茶室は、
舟にしつらえて、
少し上ると、
筧、
社の向かいに、
小径が伸び、
楓から木漏れ日、
静かな佇まいの灯籠一基、
緑の空気が満ちている、
一輪のくちなし、
ここは、
南青山6丁目、
東京に緑滴るところもある、
海を通して外国と出会ったとき、
港横浜は出島であった、
外国のすべてはここから始まっていったとか、
新しい世界との出合いを求めて、
ある者は国を出た、
同志社の新島襄もまたその一人だった、
半世紀前には、
横浜からロシアのナホトカ、
ナホトカから列車でハバロフスク、
そしてアエロフロートに乗り、
モスクワに到着、
そしてレニングラードからフィンランドに入った、
そこはヨーロッパだった、
夏になるにつれて、
彩りの花は少なくなるが、
しかし、
気づけば、
そこかしこに、
控えめに咲いている、
ほんの狭い土地なのに、
角度を変えると、
世界が違って見えてくる、
黒ずんだ壁に、
そして、
港の公園に行きつく、
外人墓地、
歴史を経た根、
こんなところに、
横浜地方気象台、
山手の丘に至る、
梅雨がやっと開けるかのよう、
鉄橋を渡って港に戻る、
異国への道はまだ開かれている、
間近に見るパイプオルガン、
そのパイプの数々、
木製のパイプにはリードが付いている、
これは一見の価値あり、
気に入りのステンドグラスの意匠、
このパイプ、
こちらの細さにも、
確かに息を吹き入れると、
高い音が、
かと思うと、
ミサイルのような、
パイプオルガンは内部にこそ、
命が宿っている、
もちろんのことだけれども、
普段は伺い知れない世界、
最も気に入りの意匠、
曇天の舞岡、
横浜は谷と丘の丘陵地帯に位置する、
谷津とか谷戸とか呼ばれる場所に、
段々畑や棚田が営まれている、
ここでは黒米が栽培されている、
片や沼となり、
萱が茂っている、
都会から少し入ると、
童話の世界に入っていけるところが横浜、
不思議な街、
これは土地の起伏に起因するのだろうか、
懐かしいシオカラトンボが二匹、
オニヤンマとは格段の違い、
モンシロチョウとアゲハチョウの違いもまたしかり、
小さな毬栗を発見、
近くに色あせそうなヒマワリ、
夏はこれからだというのに、
繊細なおしべとめしべ、
木下闇に、
それぞれの所にそれぞれが、
すくっと伸びた竹が騒めく、
日本の農家一軒、
庭に猩々紅葉が彩りを添える、
雨が続く日々、
カブトムシにクワガタはどうしているのか、
気配が消える、
朝顔は大きく花開く、
枯れ木はますます朽ちていく、
サルノコシカケはますます大きくなり、
数を増やしていく、
やがて伐採となるのだが、
ブリテンホールの奥、
楠の森に、
幹の根元に、
楠の新芽、
そして、
クヌギ林に見つける、
緑に光る、
コガネムシ一匹、
夏の太陽はいずこに、