遺愛石の話題は続きます。
上の写真はこの地方によくみられる赤碧玉です。
台座に乗った赤碧玉は磨かれており、観賞石の世界では、よくあるタイプで、それほど珍しいものではありません。また、鉱物趣味的には、岩石である碧玉はそれほど面白いものではありません。
ただ、この石にも他にない特別な魅力があります。
その魅力とは、これまた、この石の台座部分にあります。
どうでしょうか?台座にはレリーフ彫刻が施されております。手前の松のような樹木と遠方の山並みとが合わさり立体的な風景画になっており、和の風情を醸し出しております。その辺に他の石の台座と共に同じ作者の作家性を感じてしまいます。
恐らく、石から受けるイメージと台座部分とを同調させ、一体化したオリジナルの作品としたのだろうと想像されます。
これらの石作品というべきものを見ていると、ますます、お会いしてお話を聞きたかった、と思ってしまいます。
今日も同じ作者の遺愛石です。(石を受け継いだからには、それらを紹介しなければならないという使命感みたいなものを感じております。)
上の写真はこの地方によくみられる球顆流紋岩です。
クリストバライトだと思われる白い母岩に小さな丸い穴が開いており、その中にはドゥルージーな微細な水晶があり、時折きらめいて見えます。そんなところがこの石の魅力のひとつだろうとは思いますが、それほど珍しいものではないので、この石だけだと正直、それほど面白いものではありません。
ただ、この石には他にない特別な魅力があります。
それは、この石の台座部分にあります。
どうでしょうか?台座には螺鈿が施されております。このタイプの台座は珍しいのではないか?と思っております。この地方には輪島塗や高岡漆器という伝統工芸がありますが、この作者も螺鈿細工の技を持っていたらしく、石のイメージに螺鈿の台座をマッチングさせたようです。その辺にその作家性を感じてしまいます。
石の趣味でも、私の主な関心は、鉱物原石そのものを愛でる鉱物趣味にありましたので、台座付きの水石や観賞石にはそれほどの興味はありませんでしたが、この作者の台座には、なぜか惹かれてしまうのです。どうしてでしょうか?
それは、何かの縁があって、それらの石を引き継いでしまったからなのかもしれません。