今日は「ウラン」です。このブログではひとつ前の記事も含めて過去6回「ウラン」という言葉が登場しておりましたが、タイトルになるのは初めてです。
私は鉱物好きですが、どちらかと言うと主に鉱物の持つ結晶形態に興味がある方で、特に希元素鉱物や放射性鉱物に興味がある訳ではありません。「石の華」は私の鉱物コレクションを元に店を開いた経緯もあって、希元素鉱物や放射性鉱物はそれほど多く置いてありません。特に放射性鉱物に関しては、東日本大震災後のガイガーカウンターブーム?の頃にその器具を試したいと言うニーズで店に置いてあったものはほとんど売れてしまいました。その後、さほど仕入も強化していないので現在は在庫がありません。ただ、今日のブログのテーマの為に過去の写真を探しているとウラン鉱物がすぐに見つかりましたので、その写真から始めます。
これは燐重土ウラン鉱の写真です。薄い板状結晶が重なっており水に濡れてしまったミニ本のような感じが気に入っておりました。
ブラックライトで緑色に蛍光しました。ウランガラスのような放射能が感じられる色です。
この標本を購入された方が持ってきたガイガーカウンターで測定した時の写真です。しっかり放射能が測定できました。
放射性鉱物は他にも数多くありますが、私がそれほど興味がないせいで「石の華」にはほとんど在庫はありません。
ただ、それほど興味が無いと言っても、「ウラン」そのものには自然科学的な興味はあります。「ウラン」は原子番号92の元素です。現在の地球上に天然に存在している元素のうち、大量に存在しているものとしては最も原子番号が大きく、幾つもの同位体があり、それらは全て放射性核種であり、地球上では安定して存在し続けられない元素です。そもそも地球に「ウラン」がある事自体が不思議です。「ウラン」は太陽クラスのサイズの恒星内核融合ではできませんので、その起源は太陽系が誕生する前の超新星爆発に遡ります。一説によると普通の超新星爆発ではなくrプロセスを経た中性子星合体という希な天体現象でできるらしいのですが、現在の地球にも薄く広く分布しているという事は宇宙史の中でそういった過去があった証拠です。それもブラックホールやガンマ線バーストの起源や重力波の発生源にもかかわる激しい天体現象が現在の地球にも関係していたという事です。そう言う意味で「ウラン」という存在そのものには宇宙的ロマンが潜んでいると思います。
そのようなロマン溢れる「ウラン」には興味を抱かざるを得ません。ひとつ前のブログの東善作が「ウラン」に抱いた興味は何だったのでしょうか?単なる金儲けではなかったと信じたいものですが、どうだったのでしょうか?
その東善作が開拓した人形峠のウラン鉱山は品質が低く採算に合わないため10年で採掘は中止されたそうです。
そうそう、今回、色々調べている内に人形峠のウラン坑道が見学できる事を知りました。それは人形峠環境技術センターのサイトにありました。(不思議な事にそのサイトの中では東善作の名前は出てきませんでした。)
そういえば、私は名古屋に住んでいた頃、日本のもうひとつのウラン鉱床だった東濃鉱山跡の瑞浪超深地層研究所施設の研究坑道を見学した事あります。そこは私の経験した地球最深部になっております。そこで印象深く思った事は地下水の多さでした。地下の花崗岩は水を含んだスポンジのようなものだと思ってしまいました。
人形峠の見学坑道ではブラックライトで幻想的な色に光るウラン鉱床を見る事ができるそうです。いつか機会があったら私も見学したいと思いました。