ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

錫石1

2013-07-25 11:18:41 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「錫石1」です。

錫石は結晶し易い鉱物で結晶好きには人気のある鉱物です。

ここにある錫石の標本があります。この錫石を元に思考遊びをしてみます。今日は非科学的な内容かもしれませんが、たまには思考遊びもいいものです。

Dscf4480
Dscf4485
中国 四川省 平武鉱山 産 錫石(Cassiterite)

この錫石は当初、結晶模型のような美しい結晶をしていたのですが、ある時、それが入っていた標本箱ごと落としてしまった衝撃で見事に真っ二つに割れてしまいました。標本が割れた事は悲しい事には違いませんが、その割れた断面を見て面白い事に気づきました。何が面白かったかと言うと、割れてしまった事で結晶内部の様子が見れたのです。ネガティブな事でもポジティブに考えましょう。そのような内部は割らないと見れません。

その断面を見ると内部に芯のような部分が見えます。この錫石はその芯の部分から結晶成長していった事がうかがえます。肉眼的に見る限り、そこには累帯構造のような成長跡は見られません。芯を中心に取り巻くように一気に成長したのかも知れません。

不思議なのは芯の部分は単なる芯なのに結晶成長が終わった段階で美しい結晶面が出来ているという事です。この事は他の鉱物結晶にも言える事なのですが、どうして結晶面で構成された美しい多面体的な結晶形で終わっているのでしょうか?例えば柘榴石は初期の結晶核の時は不定型な形をしておりますが、結晶成長と共に累帯構造を取り、次第に美しい多面体の形態になっていきます。それはまるで自己組織化しているようでもあります。なぜか?ちょうど掌サイズ位で最も美しい結晶構造になっているかのようです。

その事は考えすぎかも知れませんが、鉱物結晶が我々に見てもらう為にそのような美しい結晶の姿を現しているような気がしてきます。鉱物には意思など無いはずで、そんな事はありえないはずです。ただ、どうしてもそのように思えてしまいます。

それは鉱物のサイズにも言える事です。美しい鉱物結晶は我々人間が肉眼で見れるサイズで最も美しい結晶美をさらしています。結晶は小さすぎても大きすぎてもその形は歪んでしまいます。

結晶の中にはルーペサイズや顕微鏡サイズでも美しい形をしているものがありますが、それも人間が見ることのできるサイズです。それよりも微細なスケールでもしっかりした結晶形をしているのでしょうか?原子や素粒子のようなスケールでは歪みや揺らぎのようなものがあるような気がします。

逆に大きなスケールではどうしても歪みが生じてきます。大きな結晶には美しい結晶はありません。地球上、最大限の大きな結晶はメキシコのナイカ鉱山のセレナイトクラスになると思いますが、それより大きな、例えば高層ビルのようなサイズの結晶は存在しません。もしかすると系外惑星の中の地球型・巨大惑星の中にはとてつもないサイズの鉱物結晶があるかも知れませんが、それは空想の範疇だけのもので実在するかは分かりません。

均整のとれた美しい結晶は人間サイズに多いのです。それも手のひらサイズに美しい結晶が多いような気がします。そのように考えていくと人間サイズの狭いスケールの範囲で鉱物結晶も美しい結晶形をしているのです。

そのように人間との関係性の中に鉱物結晶があるように思えてしまいます。不思議な事です。このような考えは単なる人間原理でしょうか?人間にとっての都合の良い解釈に過ぎないのでしょうか?

その真相は分かりません。

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