ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

緑と青

2013-09-20 16:02:04 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「緑と青」です。

緑色や青色の石は人気があります。緑色は植物的なイメージを喚起しますし、青色は海や空のイメージを喚起しますので、両方ともエコロジカルな自然を喚起する色なのかも知れません。どちらの色も好感度が高いといえます。どうも普遍的な人間の美意識はその色に反応するようになっているようです。

「緑と青」の「と」をとると「緑青」になります。

「緑青」(ろくしょう、Patina)とは、銅が酸化されることで生成する青緑色の錆の事です。鉱物的には緑色の孔雀石(Malachite)が有名ですが、緑と青という漢字からは孔雀石(Malachite)と藍銅鉱(Azurite)が混ざり合ったアズロマラカイト(Azuromarachite)のイメージがふさわしいかも知れません。

Photo
モロッコ産 アズロマラカイト(Azuromarachite)

「緑青」は銅の錆なので、錆(サビ)というネガティブな印象があるはずなのですが、実際はその色には人を魅了する何かがあります。

銅の2次鉱物としては他には硫酸銅があります。鉱物的には胆礬(Chalcanthite)です。

つい先日、美しい写真を見ました。それは「日本鉱山坑道誌1関東版」という写真集で、藤本脩司さんの「足尾銅山坑道写真帖」という同人誌です。そこには小滝坑道の現在の姿が写っており、非常に美しい緑と青の幻想的な光景がありました。その緑と青はどうも胆礬の色のようなのですが、廃墟的な光景の中に存在する鮮やかな緑と青には魅了されてしまいました。

その写真集を見ていると、もしかすると未だ見ぬ尾小屋鉱山の坑道の中にも同じような光景のある場所があるのではないか?と思ってしまいました。尾小屋鉱山も足尾銅山と同じ銅山でした。さらに未だ見ぬ遊泉寺銅山の坑道の中にもそのような光景の場所がある可能性もあります。そこには鉱物標本が眠っているだけではなく、知られざる絶景があるかも知れません。ただし、それらの坑道の中に入る事はできません。それは叶わぬ夢かも知れませんが、そのように夢想してしまいました。

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