先日、Web上でAI鉱物という画像を見てしまいました。ついにこんなものまで出ていたのか!という驚きと共に嘆かわしい気持ちにもなってしまいました。
その画像は、一見、美しい結晶鉱物のように見えるのですが、何となく不自然で、ある意味、不気味な存在のように感じてしまいました。
昨今は、Pinterstなどで天然の美しい結晶鉱物の写真が簡単に見れるようになっており、何も架空のAI鉱物の画像など必要としておりません。
そんなものには何のトキメキも感じませんし、そもそも、現実に存在しないAI鉱物などには興味がありません。
そんなAI鉱物に比べると、比較になりませんが、かつての鉱夫芸術と呼ばれた実際の鉱物を使ったアリエナイ共生標本の方が好感が持てます。
上の写真は、そのような鉱夫芸術と呼ばれるもののひとつです。これは釈迦内鉱山の水晶と黄鉄鉱を鉱夫の人が人工的に組み合わせたもののようなのですが、その絶妙なバランスとその全体的な共生の景色には許せる姿があるような気がしております。
私は、その昔、あるミネラルショーの会場で、尾去沢鉱山産の標本の中に、妙に美しい菱マンガン鉱と黄鉄鉱の共生標本を見た事がありますが、その標本が人工的に張り合わせたものである事を知ると、急激に興味を失ってしまった経験があります。ただ、今、考えてみると、それも鉱夫芸術と呼ばれるものの一つであって、それが人工的なものであっても、結晶鉱物そのものは天然のものである事には変わらないので、それもまたアリなのかもしれない、と思っております。
また、鉱夫芸術の方は実体のある3次元の物質ですが、AI鉱物なるものは単なる2次元の画像データに過ぎません。
Web上の画像情報に騙されてはなりません。
今後は、ますます、鉱物認識リテラシーとも呼べる鑑識眼が必要とされるようになるようです。