先日の苦灰石からマグネシウム鉱物の話題が続きます。その流れで今日は「ブルース石」です。
今は写真無しです。
実は、つい先日、京都からいらっしゃったお客さんが、唯一店に置いてあったブルース石(福岡県篠栗産)を購入されていきました。ブルース石は軟らかく雲母のような劈開があり、よく剥げるので、それほど好みの石ではありませんでした。そのせいか在庫は幾つかの剥がれた標本が入っているガラスケール入りの標本1個しかなかったのです。
ところが、面白い事に、昨日、ブルーサイトを求めて来たお客さんがいらっしゃいました。そのお客さんについ最近、ブルース石が売れてしまった事のお話をしました。お話をしているとそのお客さんが探しているのはブルース石のマグネシウムが鉄に置換したもののようだったので、探してみます、という話をしました。
そして、昨日、いろいろ調べてみました。
確かにブルース石にはマグネシウムの一部を鉄やマンガンに置換する事があるらしいのです。
ブルース石は変質作用を受けた蛇紋岩地帯に産する事が多いそうで、変成岩の変質過程にはいろいろな事が起こりうると思いました。
さらにWeb上で調べていると幾つかの地質学的な論文が出てきました。
その中に海洋下部地殻と上部マントルの変質鉱物についての論文があり、そこに面白い事が書いてありました。
海洋底から採取されたかんらん岩類は激しく蛇紋岩化している事が多く、かんらん石の蛇紋岩化の初期段階では、まず蛇紋岩+鉄ブルース石が生じ、その後、鉄ブルース石が分解して磁鉄鉱が生じる、という内容です。
かんらん岩は水と反応して分解しやすく、蛇紋岩化します。その過程でブルース石と磁鉄鉱も出来て来るようです。
鉱物の変成作用は地球のダイナミックな変動と共にあり、鉱物といえども地球の物質循環の現象のひとつに過ぎない事が分かります。
鉱物の変成作用にはまだまだ面白い現象がたくさんありそうです。
ブルース石は有益なマグネシウム鉱物のひとつというだけではなく、地球の鉱物循環という現象について教えてくれました。