今日はいよいよ放射状結晶4、球体です。
放射状結晶が3次元的に成長すれば、それは球形になります。
インド産のトムソン沸石(Thomsonite)
上の写真は針状・放射状結晶の集合体が球状になったものです。この写真の裏側にはもう少し小さめの結晶の欠けた跡が付いており、円形の放射状の形を残しております。
この標本は晶洞の中に二つの針状・放射状の球状結晶が並んでいます。二つは同じ環境で同じ時間を掛けて成長したと思われる双子の結晶です。
沸石類の鉱物は放射状の球状結晶になっているものが多いように思えます。形態的には魅力的な沸石。ただ、沸石は種類が多く、沸石の見分け方は難しく、それらの違いの理解は、かなりの経験を要すると思います。
インド産の剥沸石(Epistilbite)
小さな晶洞の中に絶妙のサイズで出来た剥沸石の球状結晶です。このような標本には自然の妙を感じざるを得ません。
インド産のガイロル石(Gyrolite)
ガイロル石の名前はギリシア語のgyrein(回転する)からきています。その球状結晶をよく見ると、葉片状の縁がまとまりながら回転するように絡まっているようです。
そういえば、ブドウ石の結晶もその外形は球体の形をとりながら、ガイロル石と同じような表面表情が見て取れます。
モロッコ産の葡萄石(Prehnite)
この球形の葡萄石の表面はガイロル石の表面に似ています。ガイロル石の方は母岩にくっついているため劈開面の表情は分かりませんが、この葡萄石の裏側からは、やはり針状・放射状集合体であるという事が分かります。
ただし、針状・放射状の形態以外にも球体になる仕組みがあるようです。
ちょっと話はそれますが、白山紋石のような球顆流紋岩の紋もなぜ球状になるのか?前から不思議に思っていたのですが、ある写真を見て、「もしや!」と思った事がありました。その写真とは「月刊 たくさんのふしぎ」の「石の卵」の中で見た火山の写真です。その火山は火砕流をおこしながら噴火しています。噴火した溶岩は山の斜面を転げながら落ちて行っています。そうです!回転も球体の形を作る要因です。白山紋石の球顆の成因が回転から来ているのかは分かりませんが、球体を形作るひとつの要因は回転であり、その可能性もありそうだ、と思いました。
放射状結晶から球体の話に横滑りしてしまいました。
次回は球体そのものの話題にしようと思います。