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鉱物の部屋へのいざない

変形菌のような鉱物

2018-10-04 12:06:25 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「変形菌のような鉱物」です。

変形菌とは粘菌と呼ばれる事もありますが、正確には粘菌は変形菌(真性粘菌)・原生粘菌・細胞性粘菌という三つの分類群の総称で、変形菌より大きな分類群のことを指します。また、変形菌はきのこやカビなどの菌類の仲間(真菌類)ではなく、アメーバの仲間(アメーバ動物類)です。

変形菌のライフサイクルの中ではアメーバのような変形体と胞子を飛ばすための子実体という二つの状態があり、それらはあまりにも姿が違うので同じ生物とは思えない奇妙な生物です。

私がそのような変形菌に興味を持ったのは、「生命潮流」(ライアル・ワトソン著)をテレビマンユニオン制作で日本テレビが放送(1982年)した番組を見たからでした。その番組の中で変形菌の変形動画を見て、非常に印象深く思いました。その当時はニューサイエンス・ブームが起きていて、TV番組の中でもトンデモ番組が多かったような気がしております。(TVの世界では今でもトンデモ番組が多いのですが・・・)

その変形菌への興味は、その後、粘菌研究の第一人者であった南方熊楠への興味に移り、私は南紀白浜の南方熊楠記念館にも行った事があります。(過去に、祖母の遺品の中に南方熊楠記念館のチケットとパンフレットがあり、驚いた事を思い出します。)その南方熊楠記念館のミュージアムショップで変性菌の絵葉書を購入しました。その絵葉書は金属光沢のある虹色に輝いた子実体の写真でした。私の興味はそのような構造色と思われる虹色の金属光沢を持つ事自体へと移ってゆきました。

変形菌という生物の存在そのものが不思議で奇妙な存在なのですが、それらの中にさらに奇妙で美しいものが存在しているのです。それらはあたかも金属鉱物に擬態しているように思えるのです。不思議です。それは生物ならではの生存という目的の為なのでしょうか?それ以外にどのような目的があるのでしょうか?

図鑑で見るジクホコリやタマジクホコリやマジクホコリやルリホコリやコンテリルリホコリ等は金属光沢を持ち、まるで金属鉱物結晶のようです。興味深い現象だと思います。

さて、今日の写真はそれらの変形菌の写真ではなく、その真逆、変形菌のような鉱物です。





上の写真は中国産の菱鉄鉱(元の標本ラベルには雲母と黄鉄鉱となっておりましたが、間違いだと思います。)です。まるで胞子を放つ前の子実体のようです。



もうひとつ、これはロシア ダルネゴルスク産の磁硫鉄鉱と水晶です。これはツノホコリに似ています。

鉱物と変形菌が似ているという事、これは鉱物好きにとっては(変性菌好きににとっても)、共に、非常に面白い現象だと思います。

(今日の二つの鉱物は同一人物の取り置き品となっております。)
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