いぬぶし秀一の激辛活動日誌

おかしな議員[わんちゃん]の激辛日誌です。日々感じたこと、活動報告、行政への提言など、本音で書き込む人気ブログです。

ないよりましか!大田区緊急経営強化資金

2008-10-17 | Weblog
  先の定例会で補正予算として可決されたものに『大田区緊急経営強化資金』というものがある。これは、対前年または対前々年比(12ケ月または3ケ月)売上げが10%以上減少している中小企業者に対し、利子補給を大田区が行い、当初3年間は利息なし、とするものだ。

 新聞などでも大々的に報道されたが、長年中小企業の経営に携わってきた私としては、あまりインパクトはない。なぜなら、この融資は必ず東京信用保証協会の保証をつけなければならないからだ。

 信用保証協会とは、信用の低い中小企業が金融機関から借り入れをする場合に、保証人となる制度で、借入額の1%程度を保証料として一括して支払う必要がある。さらには、企業が破綻した場合、民間金融機関の場合は債務免除や、サ-ビサ-への売却などの再生方法があるが、信用保証協会は死ぬまで保証人たる代表者から回収する、という恐ろしさがあるのは意外に知られていない。

 また、真に資金を必要としている事業者は、すでに保証枠(企業毎に決められている)を使い切っていることが多く、制度があっても保証してもらえないのだ。

 さて、そこで1000万円を実際借り入れした場合を考えてみる。以前の大田区の制度融資では、信用保証料を全額助成していた。が、利息は中小企業もち。

1000万円の信用保証料は一時払いで、70,0547円(1%7年返済)
従って借り入れ資金は、9,299,453円しか使えないのだ。
返済は月額119,047円(利息0%)←大田区が負担

以前の制度では→信用保証料ゼロ(大田区負担)
借り入れ資金は1000万円全額使える!
月額返済額126,355円(1.7%7年返済)

 つまり、利息ゼロの場合は、1000万円借りても、929万円しか実質的に使えないのだ。ところが、信用保証料を区が負担していた以前の制度の場合は、借り入れ額がマルマル使え、月の負担は、たった7,308円増えるだけ。

 はたして、どちらが中小企業にとって使いやすいだろうか。現場を知らないお役人や、中小企業政策を『福祉』と勘違いしている政党にはわからないだろう。中小企業は月々の何万円程度の負担増にはいくらでも耐えられるのだ。ところが、必要な資金が50万円でもショ-トするとニッチモさっちもいかなくなるという資金構造が多い。

 つまり、月の金利は安いにこしたことはないが、1.7%だろうがゼロだろうが大勢に影響がない。なぜなら差額は7000円なのだから。そんなことより、すぐ融資を実行してくれるのなら5%でも大丈夫だろう。金利より、必要な資金を満額融資してくれることが重要だ。

 その意味では、今回の大田区の金利ゼロは、まあ、新聞受けはいいだろうが、実際には保証料ゼロのほうが余程ありがたいのだ。本当に中小企業それも比較的規模が小さく、信用保証すら受けられない企業用には、次のような改善すべきである。
①信用保証を要件とせず、区が損失補てんを金融機関に行う融資とする。
②そのうえで、当初金利をゼロにする。

 ただ、せっかくの制度なので是非ご利用くだされ。なお、1年前でも2年前でも、その1年間だろうが、3ケ月だろうが、兎に角10%売上げが減少している期間を見つければいいのだ。決算をしたら前年より売上げが増えていても、最近3ケ月の試算表(!!)が、去年か一昨年の同期より10%減っていいればOK。ポイントはいずれも試算表ですぞ!

 くれぐれも、金利ゼロの資金で、高金利の外貨預金やファンド、FX等を購入されないように。目的は中小企業の経営強化ですから‥


ブログランキング
 
↑クリックして頂くとランキングがあがります!



なかのひと