東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

お参りと今戸の水

2014-02-27 23:03:40 | 日々

P1010101 今戸焼の土人形(今戸人形)の生粋の最後の作者であり今戸人形の名手であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)のご命日は2月29日。昭和19年は閏年(うるうどし)であった訳で、今年平成26年は平年で2月は28日までです。

 一昨年は閏年だったので春吉翁のご命日がありましたが、当日突然の大雪でご墓所の雪かきをした憶えがありました。

 29日のない今年ではありますが、例年とおりお参りさせてもらいに今戸まで出かけてきました。

春吉翁のお孫さんにあたる武佑さんは一昨年11月にお亡くなりになり併せてお参りさせていただきました。

 朝からよい天気ではありませんでしたが、気温はそれほど厳しい寒さには感じられず、隅田公園や山谷堀遊歩道の梅の木々にはほころび始めた花が紅白ついていました。

P1010105はじめ手を合わせてから掃除をさせていただいていますが、お寺には井戸があり水を汲んで手桶で運んで使わせてもらっています。

 何でもないようなことですが、天然の今戸の地下水。かつて今戸焼の窯があまたと操業していた時代、江戸・明治由来の今戸の土人形がごく普通に作られ流通されていた時代とこの地下水がつながっているような感覚で水を使っているという不思議な体感を覚えました。

 今年こそありませんが2月29日こそは江戸由来の今戸人形製作の伝承が終焉してしまった日だと言ってもよい日ではないでしょうか。

最後の生粋の今戸人形師であった尾張屋・金澤春吉翁についてはこちらをご覧ください。

山田徳兵衛著「人形百話」より→

最後の今戸人形師 金澤春吉翁→

尾張屋春吉翁 今戸焼土人形作り風景→

尾張屋春吉翁 今戸焼土人形作り風景②→

なお春吉翁による今戸人形の画像、昔の今戸人形の画像は「今戸人形」のカテゴリーにあります。→


吸水鉢の粘土

2014-02-26 14:09:35 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010097 きれいな景色ではありません。自宅の焼成窯の横のスペースで水簸(すいひ)沈殿させておいた泥漿(でいしょう・粘土のどろどろ)を石膏製の吸水鉢で水分を吸わせて凝固させているところです。

昨年の秋の終わり頃、掘ってきた粘土を水簸させたり、沈殿させたり、吸水鉢で寝かせたりで、たくさんの粘土を確保していたので、干支の馬や羽子板市向けの人形、最近の「だるまのぴいぴい」や豊川市の雑貨屋さんへの「丸〆猫」などすべて冬前に用意した粘土のストックで間に合わすことができましたが、そろそろなくなりつつあるので、沈殿させていたものを急いで凝固させる必要がでてきました。

 この寒い時期に。掘ってきた粘土を掻き回したり(攪拌したり)、篩にかける作業は流石に辛いのでやりませんが、水簸、沈殿させておいた泥漿はまだあるので、吸水だけできて、暖かい春まで間に合ってくれればその時にはまた攪拌や篩の作業は辛くなくできるようになります。

うれしいことに、豊川市のお店にお送りした「丸〆猫」は予想のほか短時間で売り切れたそうです。本当にありがたいです。色を塗ってしまえば、土台の素焼きの土色など見えなくなってしまうのですが、やっぱり昔の江戸東京の土人形を再現しようとしている訳なので、手間でも地元の土を掘ってきて使うということには自分なりに意味があることだと信じてやってます。腰が痛くなるのは辛いですけど、、、。


試し抜き

2014-02-26 13:49:10 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010098 2月の初午向けの浅草被官稲荷様(三社様境内)の鉄砲狐のお納めの他、だるまのぴいぴいや丸〆猫の発送などで、ありがたい意味で忙しくしていたので、そのあとは新しい割型作りをしています。ずっと以前からやりかけていたもの、つい最近始めたものなどさまざまですが、とりあえず割型まで進んだものは試しに粘土を詰めて抜け加減を見ます。 そしてスムーズに抜けるよう、合わせ部分の引っかかりを削り取ったりして素直に抜きやすいように調整するのです。

 画像は割型の調整後に抜き出して乾燥中の人形P1010099_2

たち。後方に見える2体の「丸〆猫」だけは以前から作っているもので試し抜きではありません。「座り猫の大小」、「座禅だるま」、「福助」、そして中央の「客寄せ河童」、それと「都鳥のがらがら」。

「都鳥」は以前作りましたが、正面を向いたものでした。今回のは顔を左横にひねったポーズにしたもの。いくつか異なったポーズのものを作ると群れのように置くことができて面白いのでは、、と試作しようと思ってます。

P1010100
ゆうべは、件のテレビ東京の「開運 なんでも鑑定団」の本放送がありました。自分の登場部分を観に、仕事場から一度自宅へ戻り、そのあとまた仕事場で作業の続きをして、夜なべになってしまいました。お昼だというのに睡魔に襲われています。

これらの新しくできた型の人形たち、早く乾燥してくれて、素焼きを済ませて早く色塗りしてみたくてうずうずしています。


「だるまのデザイン」

2014-02-18 10:36:51 | 今戸焼招き猫(浅草 隅田川)

P1010095_3 以前「伝統こけしのデザイン」という本をみつけ、ブログで取り上げたことがありました。今度は同じ出版社から「だるまのデザイン」という本が出版されました。張子や土、木地玩具からだるまをモチーフにしたものまで画像中心に展開しているビジュアルの本です。

 「だるまの中村さん」として有名で「日本郷土玩具の会」の会長をされていらっしゃる中村浩訳さんが監修者となっています。思えば昨年の夏に中村さんからお電話をいただき、今度また本が出るから以前私が作った「ラッパ吹きだるまのぴいぴい」も載せたいとおっしゃってくださったのでした。

そして昨年暮れ辺にこの本が出版されたようですが、当時は浅草羽子板市をはじめ干支もの作りや浅草被官稲荷様への鉄砲狐の納めの仕度でどたばたしていたので、実際に本を手にとって観たのはごく最近です。P1010096

 それとは別に昨年の暮れにこの本の企画デザインを担当された「COHCAE」(コチャエ)の軸原さんという方が私の仕事場までお越しになられ「らっぱ吹きだるまのぴいぴい」を作って欲しいというご依頼をいただいたのでした。

 聞けば1月末から3月にかけて六本木にある「新国立美術館」のミュージアムショップで期間限定で「だるまのデザイン」の本にちなんだ展示と即売をなさるとのことで、「ぴいぴい」もその中のひとつとして、、、ということでした。1月には被官様への鉄砲狐のお納め3回目が最優先となることをご了承いただいた上で「ぴいぴい」もできるだけ早くお納めできるよう努力するお約束をして、今月はじめにやっとぴいぴいをお納めしました。新国立美術館へはまだ足を踏み入れたこともありませんがどうなっていることでしょう。

P1010092画像3枚目は「だるまのデザイン」56ページの昔作った「らっぱ吹きだるまのぴいぴい」が掲載されているところ。実物のぴいぴいと並んで記念撮影をしてみました。

「だるまのデザイン」

青幻舎 MOGURA BOOKS

本体¥1800+税

「だるまのデザイン」の本や新国立美術館ミュージアムショップでの催しについては「COCHAE」(コチャエ)さんのサイトにリンクをはっておきますのでご関心ある方覗いてみてください。→

※「ぴいぴい」というのは明治の末頃まで東京で作られていた縁日向けのおもちゃで、今戸の木地屋(人形の型抜きから素焼きまでを専門に行う)で焼かれた素焼きの人形を、中古の材木板片と反故紙(古紙)を折りたたんだ蛇腹をつないだ鞴(アコーデオンのような)の上に固定し人形の内部の笛を仕込んたものです。鞴を動かすことで風圧を笛に送り、音が人形の中で共鳴する仕掛けになっています。人形の胴体ではなく、上下の板の側面をそれぞれの手で掴んで蛇腹を伸縮させますが、引っ張る(伸ばす)勢いで音がなるように作ってあります。

そういえば、昨年雑誌「BRUTUS」(ブルータス)誌上でも「犬のぴいぴい」を掲載していただきました。→


最近のお馴染み

2014-02-13 23:43:06 | おともだち

P1010084 この猫さんに出会ってからまだ一ヶ月とたたないのですが、出会う機会が一番多いような気がします。大抵夜暗くなってから塀の上に座ってこちらの様子を伺っているシルエットを見ることが多いのですが、朝仕事場に向かうと待っているかのようにこちらを眺めて座っています。以前はこの近辺で見たことのない子です。

結構怖がりで、一定の距離を保って前進後退していますが、一日に何度も仕事場のそばへやってきます。すごく大きい子というわけでもなく長老の黒ぶちさんや茶ぶちさんより小さいですが、腕も足もむっちり太くて肉付きがいい猫さんです。

こっちに向かって話かけられたことがまだないのでどんな声なのかまだ聞いたことがありません。

このところ仕事場に周りで出会うお馴染みさんの顔が変わってきているのかな。。?と思ったりします。あまり顔を見せなくなった子たちは元気かな??と余計な心配をしています。


旅支度

2014-02-13 23:30:20 | 今戸焼招き猫(浅草 隅田川)

P1010085 丸〆猫は昨日塗り終わり、朱色のよだれかけの猫は昨日のうちに浅草まで納めに行ってきました。画像の青いよだれかけに蛸足しぼり模様の猫はこれから愛知県の豊川市のお店屋さんに向けて旅立つ支度をしています。豊川へは行ったことがないのですが、お稲荷さんで有名なところ。

 ついては丸〆猫のお供として鉄砲狐も同行させようと思います。これからひとつずつプチプチで包んでダンボールに詰め込んで旅立たせます。


お知らせ

2014-02-12 08:05:04 | 日々

A667c914 私事ですが、再来週2月25日(火)放送のテレビ東京「開運なんでも鑑定団」に鑑定依頼人のひとりとして出場させていただくことになりました。この番組テレビ東京では毎週火曜日20時54分から1時間。再放送は数ヵ月後?の日曜お昼すぎだったかと思います。関東地域は当然リアルタイム2月25日のオンエアですが、他の地域の放送局だとどのように遅れて放送されるのだろう、、、と調べてみるとウィキペディアのページの項目にオンエアの地域差についての表が掲載されているのでよかったらご覧ください。「7.ネット局と放送時間」という項目です。→

番組内で何を鑑定依頼したか、その結果等はオンエア前に公表してはいけないそうなので悪しからず、、、。私の姿が映っているというのは確実ですが、自分で言うのも何ですが、我ながら不気味、挙動不審者としておまわりさんから職務質問されてたび重ねる経験を持っているだけの変な人に映っていると思います。実際どのように編集されているか自分でも予想がつきません。お時間ありましたらお付き合いください。

追記:テレビ東京での再放送については問合わせたところ、日曜日午後の再放送は現在のところ本放送の火曜日から7つ目の日曜日に遅れて放映されているようです。例えば2月23日(日)放映される内容は1月7日(火)の本放送の分なのでおよそ一ヶ月と2週間遅れで再放送されるという大枠の上に、優先される番組が入ってしまうと、その分後にずれるケースもあるそうです。ですから再放送でしたら2月25日分の内容は早くて4月6日(日)か4月11日(日)になるか、それ以降の日曜日ということになりそうです。関東以外の地域に放送局の場合さらにずれるのかちょっとわかりません。


色違い

2014-02-11 23:26:01 | 今戸焼招き猫(浅草 隅田川)

P1010083 先日の鉄砲狐の納めやぴいぴいの納めが済んだので、久しぶりに中断していた作業を再開しています。干支のものやその他の人形、そして丸〆猫のご依頼をかねてよりいただいていたので色を塗っています。

 画像は昭和戦前に作られたと思われる型の丸〆猫を塗っているところ。一番奥に見える鉄砲狐一対以外はすべて同じ型から抜き出したものなのですが、ご覧のとおり大きく分けて3通りに塗り分けています。これら3通りの配色違いはこれまで自分の目で確認できた配色で同じ型を使いながら彩色により異なった表情に仕上がっていたものを同じように塗りわけているのです。画面左半分を占める朱色に群青の縁をつけた手のものはこの型の彩色パターンとしては最も知られているものではないでしょうか。古い収集家のコレクションに含まれていることが多いと思います。

 画面右半分を占めている耳や首輪が赤、よだれかけ中心が群青のものは、実物がわが家にあるもので、群青の地の上に胡粉の白で蛸足しぼりを描くパターンです。

 もう一種類前から4列目に顔をのぞかせている耳が桃色で首輪が赤、よだれかけの中心が白緑色で振り金(真鍮粉)を蒔いてあるパターンのものは、東京調布市立博物館に旧・加藤文成氏コレクションのひとつとして収蔵されているものの配色を写したものです。

 鼻の頭を墨で黒く塗るのが古い今戸焼の猫の顔の代表的パターンと言えるかと思いますが、左半分を占めるタイプの鼻には不思議と墨を置きません。目の表現としては白目に黄色や金(ときどき水色)を置き、その上に丸く点状に黒目を入れるのが古い今戸の猫の顔で、その点上下の瞼を描いて黒目を入れるという猫の顔は画像左半分のパターンが例外のような感じがします。

 今まで確認できた同じ型に施された3つの配色パターン。もしかすると、これ以外にも他の配色が存在するのかどうか、、、。知りたいところです。


雪と十五夜さん

2014-02-08 11:54:36 | おともだち

P1010080 数日前からの天気予報で聞いていたとはいえ、朝、外を見ると案の定雪が積もっていました。

十五夜さんは朝一番ベランダの窓を開けて石膏鉢にすのこを敷いた台の上から外を眺め空気を吸う日課なので、いつもどおり窓を開けると雪を見て声を上げ寒いせいかすぐに部屋に戻りました。わが家に来る以前には当然雪を経験しているんだとは思いますが、毛皮を着ているにせよ、やっぱり冷たいのは嫌でしょうね。今、外にいる猫さんたち、くしゃみをしたり、鼻水を垂らしていたりかわいそうです。

十五夜さんの部屋には暖房を入れてますが、あまり断熱効果がないので暖かいという感じがしませんが戸外の気温よりはいくらか数度でも暖かのではと思います。一年をとおして私が仰向けになり、その上でごろごろするのが好きな十五夜さんですが、この時期は特にお腹に登りたがります。十五夜さんの体温のほうが高いので、むしろ私のほうが暖かくかんじるのですが、相乗効果でもっと暖かくなるんでしょうか。(あまり長時間同じ姿勢でいるとこちらの体が痛くなります。)お天道さまがまぶしく差し込んでくれると室内もぽかぽかしますが、このどんより天気と雪ではそうもいきません。

 夜にかけて雪は更に降り積もるという予報です。道も歩き辛くなるので、昨日のうちに素焼きした人形を仕事場に運んでおいて正解でした。

P1010081


ありがとうございます。

2014-02-07 22:53:34 | 日々

P1010078 2月に入ってはじめての更新になります。

前回の更新以来、被官様への鉄砲狐の3度目の納めとショップ関係の方へのぴいぴい作りに追われていました。特に鉄砲狐は初午(今年は2月4日)までの納めということで大慌てでした。ぴいぴいも同時進行していたのですが、ぎりぎり節分の日に浅草の三社様まで狐をお納めし、そのあとすぐにぴいぴいも仕上げるというすったもんだの状況でしたが、どちらも納め終わってほーっとしました。

1月末にいつもあたたかいコメントをくださっているウリ坊様からおおきな封筒が届き、中に入っていたのがこの「翼の王国」です。お出かけにANAをご利用された際に機内で目に付いたとのことで、お出かけ先からわざわざお送りくださったのでした。 今戸焼の干支の人形の「狐馬」を手がけた本人ですが、こうしたところで掲載されているとは全く知りませんでした。もっともお店の商品のひとつとしてとりあげられているので当然かもしれません。となりに並んでいる「とんだりはねたり」との大きさの比較からすると昨年の夏に作った一番型のものだと思います。名前はないにしても、こうして作ったものが図版で取り上げられているのはうれしいです。お出かけ先からわざわざお送りくださったうり坊様、ありがとうございました。P1010079