朝夕すっかり寒くなってきました。先月いっぱいアパートからの引越しに明け暮れていたので、来年の干支ものの土人形作りの出だしが遅くなりました。今やっと干支の1種類目の第一陣の室内干しを夜の屋外の風に晒そうとしています。十五夜さんの部屋の物干し台に運んでいるところです。いきなり直射日光に晒すのは心配ですが、ある程度室内干しで乾いてきてはいるのでまずは夜の外気で乾かし、漸時昼間のお天道さまに晒します。
来年の干支である巳の土人形って昔の今戸焼の人形の中に案外見当たらないのです。最後の生粋の今戸人形師であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)の作の蛇が昔葛西のほうの弁天様だったか水神さまだったかでの授与用に一時期あったような話をどこかで聞いたか読んだかしたような気がするのですが、その実物を観たこともなく、それ以前の明治、江戸の人形も蛇は伝世品も出土品も観たことがありません。
仕方なく今年も創作になります。画像の奥に篭に並んでいるのがその中のひとつ。三寶の上に小判の山。その上にとぐろを巻いた白蛇が宝珠を抱いているという構図です。現在ほかにも何種類かの原型を起しつつありますが。型から抜き出してあるのは今のところ画像のものだけです。三寶がなかなか抜き出しにくくて一度起こした型を分割して作り直し、三寶の下の部分と上の部分を別々の型で抜き、組み合わせてひとつの形にし、その上の蛇も別の型で抜いて貼り付けるようにしました。
手前の篭に入っているのは丸〆猫ですが、これも新しく起こした型です。清水清風の「うなゐの友」に描かれた図を立体化してみました。従来作っているものと構図は同じなのですが、よだれ掛けに首輪がない点、腰をひねったラインと目鼻の感じが異なります。裏の丸〆の彫りも異なるようにしてあります。早く乾燥させて早く色を塗ってみたいです。
物干しに並べようとしているところ、十五夜さんが膝の上に乗ってきました。