これも仙台光原社から頼まれているもの。今さらなんですが、組物は一対2体でも3体一組でも揃わないと完結しないので、ゴールまでの工程がヘビーではあるなと思います。お雛様だと男雛女雛プラス玉台塗りがありますね。
落語の「骨の賽」(今戸の狐)に出てくる内職で狐の絵付けをする人たちの様子は当時の身近なものだったということですね。土を割型に当てて抜き出し、干して素焼きするまでを専門にした「木地屋」さんという職があった(生地だと思うのですが、有坂与太郎の著作には木地屋となっているので)そうで、それに内職で絵付けするひと、ぴいびいのふいごを作るひと、男雛の差す太刀専門に作るひと、経木で箱を作る人など分業体制で仕上げられていたようです。
狐拳の話に戻ると彩色に関して個人的には、狐が色数が少ないので進みが早いです。庄屋と猟人は塗り分けの色数が多いのと、砂子を蒔くのも入れて長い道のりです。
今、地塗りから色塗のはじめですが、最初に猟人の被りものの黄色。次に猟人と庄屋の肌を塗り、狐と猟人と庄屋の目元に水溶きしない朱でぼかしをいれてから墨でそれぞれにまゆや目を入れる。そのあと朱色で鼻孔や口、耳を入れ、彩色筆で、それぞれの朱色の部分をまとめて塗る。
今、ここまで進んだところの画像です。
このあとそれぞれ違う色数に別れてぬります。狐の袖無しだけは照りだしさせてから胡粉の白で蛸足絞りの模様を入れ、緑青色で胸下の紐の結びを描きますが、それは猟人の肌着の胸の色塗りと同時にするので待ち合わせとなります。一色ごとに湯煎にかけて色を溶くので一度でよりたくさんの部分に配分するのが理想ですが、それに作業スペースの狭さが絡むので、一度箱にしまったり、だしたりするタイミングが絡んてくるのでパニくることもあります。