東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

「わたしはどこでしょう?」(藤川智子画) 講談社

2022-12-07 01:34:31 | 街角


 過日 日本郷土玩具の会の中村浩訳さんからお電話で拙作の丸〆猫を描いて絵本にしてみたい作家さんがいるので紹介して良いか、というお話がありその後白黒コピーで丸〆猫のページが送られてきてOKをおかえした本が無事完成、出版されたらしく送られてきました。
 白黒コピーの部分だけだとちょっと趣意がわからなかったのですが郷土玩具をつかった「〃ものさがし」の学習だったのだとわかりました。なるほど。

 拙作の丸〆猫がまねきねこのサンプルとして提示され、次の見開きの絵の中から同じものをさがしましょう。ということなんですね。


 表紙に大きめに描かれている6つ、鯛車、犬(狆ころ)、こけし、福助人形、だるま、そしてまねきねこ、と同じものさがしをするようです。
 さがしながらこういう猫もいる、この子とこの子は似ている。この子はかわいいけどこの子が変な顔、、、みたいに絵を見比べながら色々な話に展開されていくのでしょうね。
それにしても描く作業は大変だったのだなと思い出されます。
 いきなり欲深な発送ですが、この絵本を読んだお子さんが修学旅行とか
で現地で実物に接して「あっ、これだ!」と買い求めてくてたらいいな。またその子供が読んで、、、。双子だったら、三つ子だったら、、、、。英語版もできて世界へ、、。
 うっしっし、、、、と妄想は膨らんでほくそ笑む私でした。

 ご出版おめでとうございます。


寒中水簸(すいひ)と吸水鉢

2022-01-16 16:33:13 | 街角

 年明けの3日に今年はじめての水簸作業をして、ゴム手袋越しにも手が痺れて動きが麻痺するような感覚でした。

 その以来、型抜き成形と素焼きの窯入れ窯出し作業をしていましたが、3月末までの作業の見通しでは、かなりの量の土が必要になり、途中で足りなくなる心配があるので、今のうちから材料の支度をすべく、今日再度、水簸をしました。前回に比べると、今日は水温が温めなのかあまり痺れませんでした。

 バケツに寝かせた泥しょうの沈殿を待って、上澄みね水を取り除いたスペースに次の泥を篩にかけ、沈殿で濃いめになった土を次のバケツに移し、そのあと石膏の吸水鉢で水を取り除いてから練って、使える固さにしていきます。


納めの納め

2021-12-30 12:07:21 | 街角


 今年も「王子狐の行列」は感染予防のため中止だそうですが、一般のお詣りの方々のために、装束稲荷の周りは黄色い提灯が灯されています。その前の「暮らしの器 王子ヤマワ」さんは大晦日の年越し過ぎまでお店を営業されるとか聞きました。
「狐の行列」は行われませんが、授与品の招き狐は例年通りお納めすることになっており、先ほど塗り終わり、かわかしているところです。
 また、ヤマワさんから頼まれていた狐ものも作ってお納めします。


 「青天を衝け」も終わり、飛鳥山の「大河館」も閉まったそうですが、頼まれていた「王子ビリケン」もお持ちします。



 今年はコロナのため行事等が中止になるケースが少なくありませんでしたが、自分の身の上では作る種類や数か圧倒的に多く、ありがたいことではあると同時に、全てひとりで作業しているため、能力を考えて動くべきことの大切さを痛感しました。お待たせしてしまうお客様への迷惑や自分自身の体力体調を考えてのことです。
 今日の納めが今年中の納めになりますが、お納めすべきものすべてが済んだわけではありませんので引き続き作業していきます。
 来年の干支は寅(虎)。虎加藤と一刀彫風の虎はひと回り前の寅年から作っていますが、今年は座虎を加えました。本当はまだやりたい案がありましたが、途中で時間切れとなり日の目に会うことができませんでした。ひと回り先の寅年を迎える自分がいるのか否かわからないので、干支の際には間に合わなくともやり遂げるべき、と思っています。どうなるかわかりませんが…。




上州の鉄砲狐

2021-12-29 10:02:26 | 街角


これら、高崎市内のお稲荷さまでの授与用に頼まれて作っている鉄砲狐です。
今戸の鉄砲狐より小ぶりで型の彫りが甘く、顔が丸くなった摩耗した感じです。
 はじめて頼まれたとき、整った型や彩色にするかどうか確認したら、できるだけ、神社にかつてあった姿を意識してほしい、ということで、摩耗した型や大ざっぱな彩色などワイルドさを狙っています。




狐モード

2021-12-27 09:17:38 | 街角
 羽子板市向けのお納めのあと、近所のお店へお約束のものを仕上げてお渡ししつつ、大晦日の王子の狐の行列に向けて装束稲荷の招き狐とヤマワさん向けの狐ものの人形をつくっているところです。最悪の場合おおみそかに滑り込みですが、あがったものから五月雨式にはこんでもよいか相談したいと思います。11月にいきなり降ってきた他所のお稲荷向けの鉄砲狐も辛いところ…😭




散歩の達人 6月号

2021-05-21 08:53:23 | 街角

 数週間前、取材の連絡をいただいて、家の玄関先の狭い作業スペースと家の前の粘土の水簸(すいひ)作業をお見せしました。近頃作った人形はでき次第お納めしていたのでサンプルとしてならべるものが余り用意できず残念でした。

 今日5月21日発行の「散歩の達人」6月号、赤羽vs北千住 という特集のなかで採り上げてもらっています。

楽しい荷造り

2021-02-04 21:31:17 | 街角
 
 数の多い発送の荷造りは配送中に壊れたりしないか、という心配と、これで開放されるといううれしさのまざった感覚。
 そして、大口や催事の急ぎによっていつも通過待ちみたいになって申しわけなく思っている個人の愛好家の方への荷造りは、やっとお送りできる、お待たせしました!みたいな気分と、人形ひとつひとつ気に入ってもらえるか?とかの思いも湧いてきます。無事届いてほしいと祈りながら。

蘇芳(すおう)の煮出し

2021-01-26 01:49:03 | 街角
 
 プールして使っていた蘇芳(すおう)の煮出し汁を使い切ってしまったので新しく煮出しています。

 乾燥蘇芳のパック。

 フライパンにお湯を煮立てて、中にボールで蘇芳を湯煎にかけて煮出します。不織布の三角コーナーカバーを別のボールに被せて一番汁を移します。

 一番汁に溶いた焼きミョウバンを加えると、一瞬で黄色味がかった煮汁が紫っぽく発色します。

 蘇芳の身にまた水を足してさいど湯煎に。もったいないので色が出なくなるまで2番汁、3番汁…。ミョウバンを加えた煮汁は冷ましてから瓶に詰めて冷蔵庫で。
 染織ではなくて三春人形、堤人形、相良人形をはじめとする江戸時代の人形の煮出しの発色のさせ方は、これという決定版はわからないけれど、この数年で何となく数歩要領がみえてきたような、そうでもないような…。

重ね塗り(蘇芳ときはだ)

2021-01-21 02:35:43 | 街角

 一文雛の小さい方の女雛の衣部分矯正は植物の煮出し汁の重ね塗りで色を出します。

 はじめの画像。手前の右の女雛の衣の赤みが目標です。
うしろの女雛たちはきはだの煮出しを8回くらい重ね塗りした上に、蘇芳(すおう)を4回重ねたくらいの色塗りです。

 下のは更に3回重ねた状態、画像で色の変化が出ているでしょうか。微妙に赤みが増しています。目標の赤みになるまで乾かしながら更に重ねて塗っていきます。後のみみずくたちも同じくすおの赤みが出るまで重ね塗りしていきます。

狐拳

2021-01-17 03:46:27 | 街角

 これも仙台光原社から頼まれているもの。今さらなんですが、組物は一対2体でも3体一組でも揃わないと完結しないので、ゴールまでの工程がヘビーではあるなと思います。お雛様だと男雛女雛プラス玉台塗りがありますね。
落語の「骨の賽」(今戸の狐)に出てくる内職で狐の絵付けをする人たちの様子は当時の身近なものだったということですね。土を割型に当てて抜き出し、干して素焼きするまでを専門にした「木地屋」さんという職があった(生地だと思うのですが、有坂与太郎の著作には木地屋となっているので)そうで、それに内職で絵付けするひと、ぴいびいのふいごを作るひと、男雛の差す太刀専門に作るひと、経木で箱を作る人など分業体制で仕上げられていたようです。
 狐拳の話に戻ると彩色に関して個人的には、狐が色数が少ないので進みが早いです。庄屋と猟人は塗り分けの色数が多いのと、砂子を蒔くのも入れて長い道のりです。
 今、地塗りから色塗のはじめですが、最初に猟人の被りものの黄色。次に猟人と庄屋の肌を塗り、狐と猟人と庄屋の目元に水溶きしない朱でぼかしをいれてから墨でそれぞれにまゆや目を入れる。そのあと朱色で鼻孔や口、耳を入れ、彩色筆で、それぞれの朱色の部分をまとめて塗る。
 今、ここまで進んだところの画像です。 
 このあとそれぞれ違う色数に別れてぬります。狐の袖無しだけは照りだしさせてから胡粉の白で蛸足絞りの模様を入れ、緑青色で胸下の紐の結びを描きますが、それは猟人の肌着の胸の色塗りと同時にするので待ち合わせとなります。一色ごとに湯煎にかけて色を溶くので一度でよりたくさんの部分に配分するのが理想ですが、それに作業スペースの狭さが絡むので、一度箱にしまったり、だしたりするタイミングが絡んてくるのでパニくることもあります。

ひねり鳩と唐辛子

2021-01-06 13:24:32 | 街角

 ひねり鳩といっしよに作った唐辛子。以前ひねり鳩のお手本をみつけた折々、鳩にまざって唐辛子だの茄子だのひねりで作って竹ひごを挿したものが混ざっていることがありました。作業はほぼおなじ。いっしょに作られていたのかもしれません。一文人形か?竹ひご片を挿してできた瓢箪鯰もありました。今回思い出して唐辛子と茄子を手遊びで作ってみました。茄子のほうは時間切れで色塗りまで進むことができませんでした。

大晦日 王子装束稲荷まえ

2020-12-31 19:14:31 | 街角

 装束稲荷前。ヤマワさんにお納めに。「狐の行列」が例年どおりだったらすでに人混みになっているはず。
 それでもぽつりぽつりとお参りにくる人、ヤマワさんにお買い物に来る。明治5年創業の、この辺りでの老舗。

 たのまれていたきつね類、とりあえず年内にお渡しできてひと安心。

 喧騒ではない大晦日の装束稲荷。それでも、寒いなか、お札の授与所には奉賛会の人が詰めている。お札に混ざって拙作の招き狐も並べていただいているのがうれしい。 
 地元ローカルに加えてもらえるありがたさ❤
 
 安堵しての帰り道、東十条の大餃子で遅いお昼。きゅうりとタマネギとピーマンの和え物(拌三圏)大好き。

急ぎの窯入れ

2020-12-25 00:54:49 | 街角

 王子 装束稲荷の招き狐が塗り終わって、明日お納めに行く予定、同時にヤマワさんの狐類と新年明けの外苑前向けも進めておかなければなりません。

 まずは大晦日に間に合うよう、窯の炉内満杯になっていませんが、素焼きを済ませて進めていきます。

吉徳本店「人形うらら展」 無事搬入できました。

2020-10-23 13:57:37 | 街角

 ゆうべはほとんど眠ることなく、朝の渋滞が心配で早めに家を出て、予定より早めに吉徳さんに着くことができました。
 今年はコロナの影響で浅草の観音さまでの「羽子板市」は例年より規模を縮小しての開催になるという話で吉徳さんのご出店はないそうです。
 そのため、拙作の人形を本店での「人形うらら展」で並べてくださるというご配慮。感謝してあまりあるほどで!す。
 吉徳さんの創業以来三百有余年の歴史の中では今戸の人形を取り扱っていらっしゃった時代もあったそうなのと、最古の生粋の今戸人形師だった尾張屋 金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)もまた吉徳さんとお付き合いがあったそうで、先々代の吉徳当主の山田徳兵衛さんの著作のひとつ「人形百話」の中にも、春吉翁の楽しい思い出話や、前の本社ビル建て替えの際、敷地の土中から昔、お店で取り扱われていたであろう木箱に入った大量の今戸人形がみつかった話もあり、ゆかりの深い老舗の店内に拙作の人形を置いていただけることは、見に余る光栄なことでうれしいです。
 お礼申し上げて、お店を出たところ、それまで落ち着いていた天気が、予報どおり降り出していました。運びこむまで降らずにいてくれてよかった。ひと安心したら急に眠気と腰の痛みが…。十五夜さんの待つ我が家へ戻り、ひと寝入りしました。

 このたびは、来年の干支として「寒紅の丑」や再現してみた「牛御前の撫牛」(かつて墨堤の長命寺そばにあったという現在の牛島神社の前身。明治の神仏分離以前まで牛の御前と称された。関東大震災で焼失して現在の場所に牛島神社として再建されたという。牛の御前さまの時代まで授与されていたという小さな撫牛。)、12年前に創作した「お福牛」などや、病除け、コロナ終息を願って「みみずく」などを混ぜて置いていただいています。