東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

不忍池

2018-11-30 03:00:43 | 日々

 このところ毎日のように不忍池のそばを往復しているような感じです。あるいは染井の丘の下辺りが昔の藍染川の源だったという話も聞くので、その源流付近から不忍池を経て広小路の三橋、下谷、佐竹、三味線堀を経て隅田川へ至る流域をうろうろしているような感じです。ぼんやりとした話ですが、家で作業していて、胡粉が足りなくなってきたので淡路町の絵具屋さんへ往復したり、急に必要あって銀座まで行き、その帰り浅草橋の吉徳さんへ寄って帰る、また急に御徒町の漆屋さんに粉筒を買いに行くという具合です。のんびり楽しみながらという感じではないですが駒込、田端、谷中、根津、上野までは昔の藍染川沿いに走っていることになります。

 根津から不忍池の東側(動物園のモノレール下とか鴎外荘経由)だったり、西側(大観宅、東天紅経由)になったりしますが、池の景色で一番変わったのは上野の山を通り越して本所のスカイツリーがにょっきり見えることです。光る巨大イカのようで好きになれないので画像もわざと入らないように撮ってみました。

 それにしてもこうたびたび通り過ぎているのに未だ東博へ行けていないというのは皮肉。早くしないと特別展が終わってしまう、、と焦っています。


和田稲荷の鉄砲狐

2018-11-26 07:19:12 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨年の今頃を思い出せば、何倍も大変だったことを思い出します。被官様の件の巫女さまから言われていた数をぎりぎり揃えて急いで納め、これから干支や羽子板市向けの人形に取り組まなければ、、というところで巫女さんから9月に聞いていない数を急に言われて途方に暮れ、そうため干支向けに素焼き貯めしておいた「洋犬のぴいぴい」をほとんど際に間に合わせることができなくなった憶えがあります。

 今年は被官さまはくびになったのでその分これから先の準備には余裕があることを期待していたし、じっくり取り組めると思っていたところ、そうでなくなって再び焦っています。数としては被官さまの比ではありませんが、高崎市内の「和田稲荷」さまから秋口になって期限付きのご依頼があったからです。11月下旬の理想の作業進行としては、干支と羽子板市に専念して万全を期したいところ。昨年は「和田稲荷」さまへのお納めは1月10日頃と言われていたので、羽子板市が済んで、王子の狐の行列向けの準備と並行して準備できたのですが、今回は羽子板市前の期限ということで、お受けしたからには、しっかりお納めしなければとゆうべやっと完成はさせました。ここの鉄砲狐は今戸の狐から型どりしたものが摩耗して顔の尖りのなくなった形状で神社さまのご希望で昔の調子で、ということで作っています。ワイルドさを意識していますがどうでしょうか。

 赤の部分は古式を残す鉛丹のようなオレンジ色。鉛丹自体は使用できないので、洋画用のピグメントの「カドミウムレッドライト」と水干絵の具の「橙黄」とを混ぜ合わせた色で塗りました。これらを急いで発送して干支や猫類など間に合うよう頑張りたいです。


NHKテキスト 「趣味どきっ! 不思議な猫世界 ニッポン 猫と人の文化史」

2018-11-20 00:52:05 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 12月から1月のNHK「趣味どきっ!」の番組テーマは上記のように 猫と人の文化史ということで放送の予定だそうです。番組制作そのものではなくて、NHK出版発行のテキストの編集者の人から9月頃連絡をいただき、うちで作っている「丸〆猫」(まるしめのねこ)について取材したいとの由。家中ちらかっているので、それでもよければ、、ということで作っている工程とかできていた人形を撮影されてお帰りになりました。この番組、招き猫だけの番組ではなくて、文化史というテーマで、その中の4回目の放送が「幸せを呼ぶ猫」というタイトルで招き猫について展開するようです。

 名古屋の則武氏がその4回目放送の監修をされるのだそうです。その丸〆猫を作っているところとして取材を受けた画像を載せていただきました。

 ゲラの段階で内容確認の原稿をいただき、内容で検討していただきたい由電話でお伝えしたところ、わざわざ赤羽までお越しくださって、目の前で変更訂正の検討のやりとりをしてくださいました。これまで刊行物等の内容で、発行されて「びっくり、こんなこと言っていない!」とか「エーっつ、こんな扱いされているんだ、、!」みたいなケースが多かったので、今回のNHK出版のご担当の方々の丁寧なご対応はありがたいと思いました。もうすぐ書店に並ぶと思います。「丸〆猫」を「まるしめのねこ」とルビを振ってくださったのも万全だと思います。「まるじめねこ」っていうと田舎臭い訛りの感じ。「まるごめみそ」みたいなものですね。

 


窯入れ

2018-11-20 00:39:01 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 数日前、やっとのことで高崎市内のお稲荷さん向けの鉄砲狐の型抜きの目標数を達成しました。「瓜のりウリ坊」「てんてれつくの猪のぴいぴい」と猫もの、招き猫ものを集中させて型抜きをすすめています。とりあえず乾燥させたものをどんどん素焼きまで済ませていきます。

 一番下の棚には鉄砲狐、その上の棚には「ウリ坊」と「てんてれつく」。一番上には猫ものを並べて素焼きに入ります。本当ならば満杯に詰めて焼きたいのですが、次の分はまだ完全に乾燥しておらず、それを待っていても遅くなりそうなので、、。

 蓋を半開きにして炉内500℃になるまで内部の水分を逃します。500℃を越えると蓋を閉めます。

追伸:うっかりしていました。この素焼きの中に去る9月の北区伝統工芸展会場でお客様が体験で型抜き成形された人形も一緒に入っています。焼きたてをすぐに、、とはいかないかもしれませんが、追って発送しますのでご了承ください。


型抜き成形

2018-11-10 14:44:59 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 これからは「浅草観音 納めの羽子板市」を中心に干支、それと大晦日の「王子 狐の行列」の装束稲荷の招き狐、また数か月前にご連絡いただいた高崎の「和田稲荷」の鉄砲狐等を中心に型抜き成形に集中して早く乾燥させ素焼きまですすめてプールしていきます。干支の「下谷の摩利支天」の彩色に手を付けたところで止まっています。それと干支の亥(猪)にちなむ案がまだあり、それらも形にしたいですが、まずは先日アップした「瓜のりウリ坊」へ多くの方々、お店より発注をいただきまして、予想外ですがその分も急いで型抜きしようとやっています。実質A4の下敷き一枚くらいのスペースで土を延し、切っては割型に詰め、交互に割型から外すという作業です。画像右手は「和田稲荷」の鉄砲狐。左手は「瓜のりウリ坊」や「てんてれつくの猪のぴいぴい」です。

 「和田稲荷」の鉄砲狐はおそらく今戸の鉄砲狐から型どりしてサイズも小さく、形も摩耗したような、ぼってりとした姿。面描きも顔に対して大きな筆の運びですが、台座の縞の部分など今戸の配色の面影を残すもので、神社さまで昔の摩耗して感じを出して欲しいというご希望でモデリングしています。昨年までは大量の鉄砲狐のノルマがあり、それに対しては複数の割型を用意して型抜きしていましたが、「和田稲荷」のものにはまだひとつの割型しかないので、その分ひとつの割型を繰り返し使いまわすようにしているので能率はよいとはいえません。当然2体で一対になるので目標数を達成するまではもうしばらくかかります。

 「羽子板市」向けには例年よりも丸〆猫を中心とした今戸の猫ものを増やして欲しいという由、伺っているのでできるだけそのように準備したいです。一部プールはしていますが、まだまだ抜き出してより多くお持ちできるようにしたいと思いますが、まずは「和田稲荷」と「ウリ坊」をそこそこキープできてから、、、焦ります。でもお呼びいただくということを感謝して作らねばと思います。


玄関先の秋

2018-11-10 08:02:21 | 日々

食べた柿の種を玄関先のプランターに蒔いたのは一昨年だったか、、。このところ忙しくしているので、気が付かなかったのですが、柿の葉っぱの鮮やかになったこと、、。偶然後ろに置いてある石膏吸水鉢のプラスチックの青い蓋とコントラストが出ていて驚きました。

 足元の桔梗の葉っぱも黄色くなっています。

 泥の沈殿用のバケツの上に並べている鉢の葉の色も真夏とは違った感じ、、。

 塀に絡んだ山芋のむかご。葉っぱは既に枯れています。

 清澄菊も満開です。

 よい天気でも紅葉狩りとか行楽へ出かける余裕がありませんが、玄関の前で秋を実感できてよかったです。そろそろ水が痺れるようになる前に掘ってきた土の水簸(すいひ)や沈殿などの水仕事も済ませて、一冬間に合うくらいの量を寝かせておかないと、、と思います。

 


縁起枡(枡入りの恵比寿大黒)益々繁盛

2018-11-05 01:55:56 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 夏の新盆頃に組み立てていた枡の中にセットすべき恵比寿様、大黒様と小判の山がやっと揃ったので早速やってみました。

 今でも酉の市の露店にはこれ式の縁起飾りが並んでいますし、大きな熊手のパーツとして挿し込まれているのもあるかと思います。但し、中身の二福神や小判の山は、プラスチックとかパルプの遠心分離による成形になっています。昔の今戸焼の土人形の数ある種類の中で最もたくさん作られれ、出荷されていたといわれるベスト3は「稲荷の狐」と「裃雛」「恵比寿大黒」であったと聞いています。実際、今戸焼の恵比寿大黒が大きなものから一文人形サイズのものまで、また前後2枚型合わせの作りのものがあれば、片面のものもありました。そうした片面の恵比寿大黒がこうした縁起枡とか経木製のガラス蓋つきの小箱に貼り付けられて露店などで売られていたようです。

 今回作ったものついて問わず語りさせてもらいます。今回作った縁起枡の人形は、片面型の恵比寿大黒の二つのタイプを折衷したものなんです。以前このブログでも古手の今戸焼の恵比寿大黒を貼り付けた枡をご紹介したことがありますが、枡に貼りつけるペアの場合は二福神のお姿はただ金一色に塗ったものがほとんどです。そうすることもできますが、お姿はカラフルなほうが見た目変化があって楽しいのでは、、。と思って恵比寿大黒の型も枡ではなくて「経木製にガラスの蓋をつけた小箱」に納まる彩色したタイプのものを再現して枡内に貼り付けてあります。この小さな二福神の彩色ですが、小さなものでもありかなり省略した塗り方になっています。それでも部分的には「まがい砂子」(真鍮粉)を蒔いてあったり手が込んでいるのです。

 枡正面を斜めに仕切っているつっかえ棒は右肩上がりに嵌めています。(右肩上がりという言葉はグラフとか表から来ている表現だと思うのでいつ頃からの言い方なんでしょうか?)

 斜めに半分に区切ってあるので「半枡」(繁盛)。「枡枡半枡」→「ますますはんじょう」→「益々繁盛」という縁起担ぎとなります。

 

 追記:枡の部分は既製品ですか?と聞かれたのですが、一応自前です。確か浅草に熊手業者向けのパーツの問屋さんがある、と聞いたことがあるのですが、おそらく今風の規格になっているのではないかと思い、我が家にある古い枡を採寸して木材をホームセンターでカットしてもらい、焼き印はオリジナルの印章を採寸してレタリングした原稿で焼印屋さんに作ってもらいました。


荻窪駅前

2018-11-05 01:28:25 | 日々

 昨日今日は「みそろぎ展」以来の作業の区切りで慢性的な寝不足を押して何とか切り抜けました。午後、駒場東大前まで所用で出かけて、その後まっすぐ家へ戻って休みたいところでしたが、例によって帰り道のこだわりが出てきて、渋谷や新宿経由で雑踏の中を人にぶつかるのを避けて体にブレーキをかけるのにはへとへとすぎるので、高円寺から赤羽行のバスで帰ろうとしました。永福町で降りて高円寺行のバスに乗ろうとしたところ、ぎりぎりバスが発車したところだったのと雨が降っていたので、思い直して井之頭線で吉祥寺まで出て、西荻窪で「はつね」か「丸福」のラーメンを久しぶりに食べ、西荻窪の西友で赤羽の西友で売れきれてしまっていたものを買っていこう、と西荻窪で途中下車したところ、どちらの店もやっておらず、西友にも目的の品がないので、となりの荻窪まで移動して「丸福」に寄ったところちょうどぎりぎり最後の麺ひと玉で終わりのところに滑り込みました。

 昔は富士街道近くに勤めていたので、帰りに吉祥寺か西荻に寄ってラーメンを食べ、古本屋を物色するというパターンでよく寄り道していたのが、最近はあまり寄る機会がなく「丸福」のラーメンも本当に久しぶりです。やっぱりお汁がおいしくて、煮玉子がおでんの玉子のようにしっかり煮えているのがうれしいです。ラーメンに関しては卵は半熟よりしっかり煮えて白身にしっかり色が染みているのが好きです。そして西友荻窪店に寄ってから、せっかく途中下車したので古本屋を覗いて、寝入りのお供になるような本をゲットして帰ってきました。

 西方浄土というと大げさに聞こえるかもしれませんが、赤羽に住まっている身として、中央線、京王線沿線など西の地域は何か豊かな感じがして好きです。用を済ませ、赤羽目指して帰るのは現実に戻っていくような一抹の残念さを感じます。

 とりあえず作業のひとつ区切りがついたのでほーっとしていますが、次の作業に急いで切り替えていかなければ、と思います。


座り猫

2018-11-04 01:51:42 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 御殿玩具の彩色パターンを真似たのではないかと思われる人形が今戸の人形にもいくつか見受けれられます。本物の御殿玩具のように胡粉による「盛り上げ」はしませんが、吉祥的な花鳥風月の模様を添えたりするものがあります。都内各地の近世遺跡からたくさん出土している「座り猫」の彩色にも御殿玩具風の彩色のものがあって、今回はそれをイメージして塗ってみました。

 首輪に涎掛けのパターンのほうが一般的だったのではないかと思いますが、こんな風のもあった、というイメージです。

 


干支の亥(猪)づくり⑤ 「瓜のりウリ坊」

2018-11-04 01:37:35 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 ひとまわり前の亥年に起こした猪の人形のひとつです。毎度記していますが、今戸焼の土人形の中には猪の姿をしたものがほとんど見られず、気持ちとしては昔ながらの今戸の猪を再現したいところですが仕方なしに創作したものです。尻尾の部分は12年前と同じく紙紐を挿し込んでいます。今年は紙紐ではなくて本体と一体となる型の彫りとして尻尾を表そうかどうか考えていたのですが、時間が間に合わず、結局紙紐です。

 手前味噌的な言い訳になりますが、ウリ坊が瓜に乗っているというアイデアは自分としては可愛くて悪くないとは思っていますが、実際のモデリングですね。どうでしょうか。

 ウリ坊の縞模様ですが、12年前はもう少しおとなしい色合いにしていたのですが、今回はベロ藍を胡粉で淡くした色を入れてみました。どうでしょうか、、、。