東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

十五夜さんもいっしょに(猫とも新聞)

2014-08-31 18:14:40 | 今戸焼招き猫(浅草 隅田川)

 

P1010002_2 こちらは愛猫家に購読層に向けて発行されている「猫とも新聞9月号」(8月22日発行)でとりあげてくださった「丸〆猫」についての記事(11面)です。大きく写っているのが拙作の昭和戦前型のもの。その下の左側の画像をご覧ください。わが家の十五夜さんも写っているのです。ありがたい。

そして十五夜さんの下に写っているのが天保3年に記された「玩具聚図」と題された当時の人形玩具の配色手本帳の1ページです。座り猫が描かれていますが、この配色、面描きは最後の今戸人形だった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)のお作りになった猫ものの人形と通じるものです。更に言うなら今戸人形の発生の手本となった京都の伏見人形の面描きにも通じるものであり、伏見~今戸へと受け継がれた伝統のひとつであったと考えられると思います。

「猫とも新聞」さんの偉いとおもうのは、丸〆猫を「まるしめのねこ」とルビを振っていること。その点「まるじめねこ」と読む人がいますが、「駒形」と「こまがた」、「鳥越」を「とりごえ」と読む人がいるように濁らないで読むのが東京です。

もひとつ感心したのは、他の多くのマスコミが裏付けなしにお手軽に某神社を招き猫の発祥の地と囃したてている昨今において、古い記録をもとに「浅草神社」(三社様)を発祥の地としてとりあげていらっしゃる見識の高さです。

他の多くのマスコミの世界の人も、ちゃんと調べて裏付けを取って文字にしてもらいたものです。

「猫とも新聞」様ありがとうございました。P1010003

せっかくの機会なので「月刊・猫とも新聞」についてお伝えしておきましょう。

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身に余る光栄

2014-08-31 17:40:06 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010007 8月28日(金)発行の「東京新聞」夕刊に、先の吉徳さんの裃雛についての記事とりあげてくださいました。一面のトップです。

 吉徳資料室長の小林すみ江先生と写真にご一緒させていただいて光栄です。画像右に並んでいるのが、昭和40年代はじめに吉徳さんの先代の店舗の建築の際地面から出てきたという裃雛で、それから型取りして今回作ったのが左側の色のついた一組です。出土してお雛様に粘土を押し当てて作った割型に土を詰めて抜き出し、乾燥、素焼きするとこれだけ小さくなってしまうのです。しかし、今回はなるべく小さくならないよう、ちょっと工夫してので、本来のやり方だともっと小さくなります。

お雛様といえば大抵帝様とお妃さまの姿を形つくったものがイメージされるものですが、今戸人形の場合、帝さまお妃さまの姿のものも作られていたにも関わらず、この「裃雛」ほどには流行らなかったようで、「今戸の雛」といえば「裃雛」が連想されるくらいだったと思われます。

こうやって世間様に知っていただく機会を賜りまして感謝感激です。

 

 

 

 

 

 

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吉徳さんと裃雛

2014-08-07 13:03:26 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1011340 同じ人形に関する記事でちょっとしつこいかな?とも思いますが、、、。

先日大量の裃雛をお納めしたのは浅草橋の「顔が命」の吉徳さんです。吉徳さんの旧本社ビルは昨年取り壊しになり、新築工事が進んでいましたが、この8月にめでたく落成となる運びだそうです。そして落成の新本社ビルのお披露目が予定されているそうです。その記念として関係者方々への記念品として、今回「裃雛」を作ることをお任せいただいていたのです。

吉徳さんは数年前に創業300年を迎えられた老舗で、創業以来現在の地で代々営業を続けられてきたそうです。話は昨年取り壊された旧本社ビルが新築工事にあった昭和40年代のはじめ、地面から木箱が発見されその中から大量の裃雛や鉄砲狐などの今戸人形が色の取れかかった状態で出てきたことに始まり、嘗て吉徳さんで今戸人形を取り扱っていたことを裏付けることになります。

 また実際今戸人形最後の作者であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)が箱庭細工を吉徳さんへお納めしていたこともあったそうです。吉徳さんでは春吉翁を「土春さん」と呼んでいたそうです。現在吉徳資料室長を務めていらっしゃる小林すみ江先生も幼い頃、法事に春吉翁が来たのを観たそうです。

 同じ土地に今回新築落成の記念として、木箱から出てきた色の取れた裃雛から型どりして、材料の土も吉徳さんの地面の土を使って作ったのが画像の人形です。

普通人形から型どりして人形を作ると、土の収縮から最低でも8割以上小さくなるものですが、今回はあまり小さくならないよう、ちょっと工夫して収縮を抑えたつもりです。

 お納めが滞ってご迷惑おかけしないよう、あまりひどい出来だと申し訳ない、など心配しながら作るのをすすめてきましたが、数日前無事お届けしてほーっとしました。

自分として今回作らせていただいて、身に余る名誉なことだと感謝しています。

次は例年のように浅草三社様境内の「被官稲荷さま」の鉄砲狐を作り貯めしていくと同時に頼まれている丸〆猫やその他の人形、来年の干支も急いで始めなければなりません。

来年の干支は「羊」という地味なものなので、どうなりますことやら、昔の今戸人形としてお手本になる作例はひとつしか確認できません。

P1011339古い時代の裃雛については過去の記事でとりあげていますのでご参考までにどうぞ。

裃雛(明治時代)→

裃雛(尾張屋春吉翁作)→

裃雛(江戸時代後期)→

今戸の土偶で雛まつり→

 

 

 

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振り金(砂子蒔き)

2014-08-07 12:15:51 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1011331 ご無沙汰していました。この春以来ブログの更新があまりできなかったのですが、画像のこれらの人形を大量に仕上げてお納めするというタイムリミットが迫っていたので他のことまで気持ちがまわらなかったという感じだったのです。

 結論を言いますと。数日前無事お納めできたので今ほーっとしているところなのですが、お納めする直前の人形の仕上げの最後の工程である振り金で悪戦苦闘していたところを画像に撮ったのでご紹介したいと思います。まだこの工程はとりあげたことはなかったのではないかと思います。

今戸焼の土人形は京都の伏見人形からの影響を基に発展したものであることはご存じの方少なくないと思います。伏見に「深草」、今戸は「浅草」という対称的な地名に由縁があることとも関係あるのかと思っています。

 今戸の人形が伏見人形の影響でできたという名残はどこにあるかと言えば、伏見人形の型から抜き型して小型になった共通する構図の人形の種類が存在することが最大の証かと思いますが、彩色のパターンにも伏見からの流れを感じさせる特徴がいくつか見られます。そのひとつがこの「振り金」だと思います。

 江戸明治からの今戸人形の伝承の上で最後の作者であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)までの昔の今戸人形には「振り金」がなされれていることがほとんどです。

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 予め色を塗った表面に上から膠液か同じ色の絵の具を塗って表面を湿らせ、乾かないうちに金色の粉(砂子)を蒔いて、きらきら光るように定着させるのです。本物の純金を使うのではなく、代用として真鍮粉、または真鍮箔をすりおろして細かくしたものを使います。このように表面に細かな金を蒔いて仕上げる効果を「梨地」といいますね。漆器の装飾でも梨地の仕上げがありますが、聞いたところ漆器の場合には食器に使われることが多いので真鍮箔だと体によくないので、本金を使うのだそうです。

 この作業、私にとってはいつも悪戦苦闘するのでイライラしていて「こん畜生!」「ざけんな!」とひとり怒鳴りながらやっていることが多いのです。金を蒔く部分によって、この苦闘の程度は違ってきます。例えば表面に照りのある部分には予め膠液を塗って照りをつけておいて、乾いてから再度膠液を塗って金を蒔きます。この場合、膠の層が保湿効果といったらよいかすぐには乾かず、べとべとしていますから、落ちた金が表面に貼りつきやすいのです。

 しかし色の表面がマットな仕上げのところに金を蒔いて仕上げるパターンも今戸人形には多く見られます。例えば「月見兎」や「羽織狐」「口入狐」の群青部分が代表的といえるかもしれません。表面にマット感を残さなければなりませんので、地色と同じ色に膠を少し多目に混ぜて、金を振りたい部分に塗り、表面が乾かないうちに表面に金を蒔くのですが、この場合水分の吸収が早いので急がないとすぐに表面に水気がなくなってしまい、金を振っても定着しません。例えて言えば、地面の水溜まりに落ちた葉っぱは水の表目に貼りついていますが、乾いた地面に葉が落ちても貼りつきません。

 左手に手袋をして人形を持ち、右手に筆で絵の具を塗り、急いで金をまぶした筆に持ち替えて乾かないうちに湿らせた部分に振る、、、これが案外難しいです。本当なら斜めに切った筒状の道具に金を入れて蒔くのですが、右手の持ち替えのタイムロスに関してはどっちでも難しいです。私の場合、絵の具筆で塗ったら口でくわえて、金をまぶした筆に持ち替えています。それでもなかなか、、、とどのつまり「こん畜生!」と怒鳴ってしまうのです。

 何とか貼りつけた金も乾燥させてみると落ちてしまう分は必ずあるので、抑えて余計な分は落としてからラッピングしています。面倒な仕事ですが、古い今戸人形にはほぼ見られるやり方なので、これ抜きにしては、今戸人形らしい特徴をひとつ落としてしまうことにもなるので省略できない仕上げだと思っています。絵の具の筆はくり返し口に咥えるので歯型でぼろぼろになってしまいます。

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