東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

歌舞伎座9月千穐楽

2017-09-28 23:42:41 | 日々

 9月はふたつの催事で前日まで手いっぱいだったので、体が空く千穐楽に予約を入れて出かけたのでした。楽しみは夜の部の吉右衛門丈の「逆櫓」でしたが、期待どおりのすばらしい舞台。あとで知り合いの見巧者の方のご意見ではお父さんの故・白鸚丈の舞台のほうがもっと手強くでよかったというご意見でしたが、浄瑠璃の世界の人情の綾の表出ということでは、吉右衛門丈たっぷり演じておられすばらしいと思いました。権四郎を演じられる歌六丈も突っ込んで演じられて、よかったです。女房およしの東蔵丈、最近老けにまわっていられたので、役のイメージからは立派すぎ?という印象ではありますが、安定感ということでは流石です。こうした浄瑠璃の世界でアンサンブルよく上演される舞台はこれからは吉右衛門丈一座以上のものは望めないという意味で超貴重。夜の部、2等席で観ていたのですが、正直この「逆櫓」だけで大満足でした。これは余計かもしれませんが、次の「桜姫清玄」は正直しんどくて最後まで見ていられなくて序幕で帰りました。歌舞伎の古典演目の演技とか筋とか演出とかをカタログ的に網羅されている内容なんですが、それだけにカタログ的な内容を次から次に並べて出されるような感じで、芝居としてゆっくり味わうという感じにはなっていない印象で、周りのお客さんたちはゲラゲラ笑って受けていたようですが、自分としては辛かったです。例えていえば、オーソドックスな松花堂弁当を提供されれば、その中身だけで、「もっと食べたい」と思う腹八分目でおいしいと思うくらいが幸せなんですが、弁当箱の中に、酢豚や麻婆豆腐やらカレーライスまで入っていて肉団子からエビチリ、サーロインステーキからアイスクリームまで入っていたら、せっかくの炊き込みご飯と炊きものと香の物、お作りでおいしかったのに気持ち悪くなるといった感じで消化不良になってしまうという感じです。しかし、「逆櫓」だけで満足だったので切符代を損したという気持ちではありません。余計なことですが、歌舞伎興行の演目立で「つく」(ダブる)ということがあるんですが、9月の夜の部に限って言っても、「逆櫓」で後半タテがあるのですが、次の「桜姫清玄」の新清水でも奴のタテがあり続けて出てくると食傷ぎみになってしまうんでは、と思いました。でも本当に「逆櫓」だけで満足満足。

 

 


3色のどろめん

2017-09-25 10:39:55 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨夜は泥のように眠り、今朝はひよっこを見逃してしまったくらい眠ったのですが、まだすっきりしません。

さて催事の忙しさがとりあえず過ぎ去ったところで早速頼まれていたことに取り組んでいます。どろめんの型の種類はこれまで彩色して出していたものと全く同じなんですが、昔の「成田道」沿いの地域の旧家から出てきたといわれている3色塗りの泥めんのように塗ることを頼まれていたのでやってみました。古い3色塗りのどろめんは自分でも見たことがありますが、3つの色の乗り方については厳密にはわかっていません。というのも古い3色塗りのどろめんはかすれたような状態で観ることが多いので面の形の上にどの程度色を置いていたのか、塗り分けていたのかわからないのです。3色パンのようになっていればよいのか、スポイトのようなもので点状に色を落として重ねる程度なのか、画像のように塗り分けなのか、、。ご存知の方お知恵をいただきたいと思います。

まずはこれは最初の試みというわけです。「キカイダー」みたいな感じになりました。


型抜き体験

2017-09-24 22:24:42 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

二日間の北区伝統工芸展が終わりました。やっぱりひと月に2回の催事への出店はしんどいですね。それでも一年の空白のあとの北区でのブースでは案外と体験を希望される方々がいらっっしゃってありがたいとおもいました。昨日一日目で体験をされた方は17名。上の画像は今日二日目の開場前の乾燥風景なので純粋に一日目に体験で作られた人形たちです。体験費が前回より高くなった(箱代、郵便料金上乗せのため)のですが案外希望される方がいたというのはうれしいです。

その後、本日二日目の体験希望者の皆さんを足して、累計34名のご参加がありました。

二日目閉場直前に撮った画像が上です。

閉場後すぐに片づけて搬出の流れだったのですが、まだ十分ではない乾きで動かすのは危ないので、区の方にお願いしてもう少し乾くまで北とぴあ内で置かせてもらってから引き取りに行くことになりました。

乾燥させて素焼きして参加された皆さんに発送できるのは早くて11月以降になるかもしれません。どうかお待ちくださいませ。


搬入(北区伝統工芸展)

2017-09-22 22:57:27 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 JR王子駅前「北とぴあ」への搬入です。夕べは例によって一睡もできなかったのでだるいやら腰が痛いやらですが、とにかく明日は工芸展当日なので頑張ってタクシーで運んでもらって搬入しました。

ここは、展示販売だけではなくて、「体験製作」というのがあり、仮設のテーブルで型抜きを体験してもらいます。これは勝手な思い入れなんですが、「土に触ってもらいたい」って感じですね。当然買ってきた土ではなくて、隅田川流域の工事現場から掘ってきた「江戸前の土」なんです。おそらく使い勝手とかでは買ってきた土のほうが粘りとか腰とか優れているかもしれません。馬鹿馬鹿しいと思う人もいるかもしれませんが、そこは「川があって土があったから今戸焼が生まれ、人形も作られた」というストーリーをわが身で追ってみたいという願望ですね。色を塗ってしまえば土の色は見えなくなるんですが、江戸前の土なんですよ、というのが一種の矜持のようなものでしょうか。

「型抜き」体験はいくつか型の種類を用意してあります。「鉄砲狐」「左招き猫」「天神様」などです。素焼き型と石膏型とあります。先にも記したのですが、体験料が今回から高くなっています。型抜きしていただいたものを乾燥させ、素焼きしてお返しするためです。前回までは区の産業振興課の方に素焼き済みのものをお渡しして中継ぎでお客様に引き取っていただいていたので、材料費だけだったのですが、今回からそれができなくなったので、郵送するための箱代、小型包装物送料を合わせた額になっているんです。初回の時はチャリで家々を回ってお届けしたのですが、番地表示も表札もなく電話してもかからない、ということで木枯らしの吹く夜の街をさまよって風邪をひいたということもあったんですが、ちょっときついので郵送にさせていただきます。ご推量ください。


彼岸の入り

2017-09-20 20:40:03 | 日々

 

 昨日「みそろぎ人形展」が終わり、あさって「北区伝統工芸展」の搬入ですが、今日は彼岸の入り。いつものように今戸にある尾張屋・金沢春吉翁のご墓所にお参りさせてもらいました。雨は降らず、どんよりとした空でしたが、湿り気のある一日でした。

 お掃除してから手を合わせてお参りし、お寺さんにわんちゃんに挨拶して失礼しました。

途中三社様裏の被官稲荷さまに寄り、地下鉄やJR、京王線を乗り継いで、調布の郷土博物館へ、。今週末まで館蔵の郷土玩具の展示がされており、春吉翁をはじめとする昔の今戸人形が出開帳になっているからです。

昔の多摩張り子のざっくりと楽しい人形も並んでいましたいましたが、許可いただいて写真に撮ったのは9点の今戸人形。一点は「あぶ惣」の鈴木たつさん作の羽織狐。鉄砲狐は手に取ってみないとわからない感じ。その他はすべて春吉翁の作でした。

調布も中心部から外れた閑静な地域で道端に曼殊沙華や狐のカミソリが咲いているのどかなところで、もっとゆっくりしたかったのですが、やることが山積しているので早々に家路につきました。

 

 


北区伝統工芸展

2017-09-19 09:01:48 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 「みそろぎ人形展」は本日19日(火)が最終日で。片付けのため16時で終了です。

今週末の9月23日(土)と24日(日)にはJR王子駅東口駅前の「北とぴあ」地下ホールにて「北区伝統工芸展」が開催されます。

昨年は「みそろぎ人形展」と同じ月にバッティングするので、北区のほうはお休みをいただいたのですが、今年は周年記念だそうですので出品します。

一昨年までの様子をご存知の方なら、会場内の様子はご存知かと思いますが、私のブースは今回から位置が変わります。また、これまで「体験製作」として地元の粘土で人形の型抜きをしていただきましたが、今回もその方向の予定でいます。但し、素焼きのためお預かりして、お渡しする方法が変わります。と、いいますのも、今までは素焼きしたものを産業振興課にお願いして預かってもらい、引き渡していただいていましたが、今後は厳しいようなので、素焼きしたものは、私が梱包して「小型包装物」扱いでご指定のご住所へ発送することになります。そのため、包装用の紙箱代、郵送料が派生しますので。おととしまでの体験代に比べて、幾分割高になってしまいますが、事情をご理解の上ご了承くださいますようお願いいたします。

 地元の方はもとより、飛鳥山公園や飛鳥山3つの博物館、王子神社、王子稲荷神社、装束稲荷神社など近くには散策できるみどころもありますので散策ついでにお立ち寄りください。


ブルータス(2017年9月15日号)

2017-09-15 13:10:05 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 「みそろぎ人形展」の会場内でお客様から「つい最近ブルータスの誌上にひねり鳩が載っていましたよ」とお教えいただいて、もう掲載されているんだ、と気が付いた次第です。当然ライターの方からお問い合わせいただき、種類が揃っていなかったので、作って揃えてからお送りしたのと、原稿の確認ということで連絡をいただいてはいたのですが、最近忙しくて、うっかりしていました。

本屋さんへ行って現物を観ましたが確かに掲載されています。今ちょうど「みそろぎ人形展」に出しているのでタイムリーでうれしいです。採り上げていただいて感謝しています。

掲載ページの画像を撮ってみたのですが、年のせいかデジカメを持つ両手がぶるぶるしてピントがぼけぼけです。このページのネットサイトがあるのでリンクさせていただきます。→

 


搬入

2017-09-13 04:00:46 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨夜の夕方、丸の内丸善オアゾへ搬入しに行ってきました。

今年は丸善さんが事前に個別のラベルを作ってくださり、搬入前に自宅で貼り付けて搬入することができたので、昨年よりは会場内でのドタバタはなくて助かりました。とりあえず、持って行ったものを並べ終わって画像に撮ってきましたので早速アップさせていただきます。

 

 毎度のことながら、雑然という感じですね。ここだけバナナの叩き売りというか、おでん屋の店先というか、、、。昔の駄菓子屋の店先のようにも、、、。

でも今戸焼の人形は昔は浅草の観音様の境内で露店で売られていたとかいいますから、こうであってもいいのかな、?とも思っています。今回は改めて、尾張屋さんにお許しをいただいて、春吉翁の画像を掲示させていただきます。

ゆうべははこの数日の慢性寝不足と昨夜からのオールナイト24時間営業でもうへとへとだったので、最終てきにはチェックと調整をお願いして早々に帰途につきました。赤羽に着いて何だか一杯やりたくなったのですが、ままよこんなにへとへとで飲み屋さんへいくのもしんどいか?と夕飯ついでに松屋さんで牛丼を食べながら、提供されているミニハイボール(一杯¥150はリーズナブル♡)を何杯かやって帰って寝たのでした。

 ゆうべ中に手が回らなかったので明けてから尾張屋さんの画像用のキャプションを作って、会場へ貼りに行こうと思います。

へとへとで温泉にでも入りたいな、、という気分です。

 

 

※会場内に詰めてご質問などに対応させていただくつもりです。とりあえず土曜日日曜日は13時~15時に会場あるいはオアゾ内にいるつもりです。平日中でもご要望があれば会場に向かうようにしたいと思いますので、HPからのメールなりまたは会場内の方を通してご連絡いただければ、会場に向かうようにしますのでよろしくお願いいたします。


都鳥

2017-09-11 00:07:04 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 何にしおはば いざ言問はん都鳥 我が思ふ人のありやなしやと

東下りの在原業平が隅田川で読んだといわれる古歌。隅田川といえば都鳥。今では花火のほうが有名ですが、案外花火と都鳥とのつながりはあって、その昔、川施餓鬼の供養での灯篭流しでは都鳥をかたどった灯篭が使われたとか、、。花火もそもそも施餓鬼での鎮魂の意味があったとか聞いているので、そのあたりでつながっているんでしょうか。

あとふたつ寝ると「みそろぎ人形展」の搬入日ですが、まだ色塗りしています。まあ今までに比べてましなのは、早く塗り終わった人形は包んであるくらいでしょうか。この一週間くらいは本当に寝不足というか床に入るのが、朝の「ひよっこ」の放送が終わったくらいでオールナイトです。差し迫った状況でありながら、こういうことして遊んでいるのは何とも、、、、。上の画像の都鳥は、夏のはじめに「ひねり鳩」をこしらえていた時、ついでに作った「ひねりの都鳥」です。流水模様の紙か布があったらよかったのですが、ちょうど洗濯して干していた自分のデニムパンツがあったのでそのごわごわを波に見立てて並べてみました。

これから包装して「みそろぎ展」へ持っていきます。

先に包んでしまった「がらがらの都鳥」。包みをほどくのが面倒になってそのまま並べてしまいました。以前から時折作っていたものですが、今回は桜の花びらを散らして描いてみました。

まだ塗り終わっていないものがたんとあるので、これから頑張ります。

 


お知らせ 「みそろぎ人形展」

2017-09-06 06:09:45 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今年で3回目?になるでしょうか。来週9月13日(水)から19日(火)まで(東京駅丸の内北口前の「丸善オアゾ」内4Fギャラリーにて開催されます。

今年は何となくいろいろなことがあってじっくりゆっくり製作する、準備するという感じではないのですが、現在搬入に向け昼夜逆転状態で準備しているところです。

イメージとしては昨年並みのセッティングで並べられたら、と思います。会場内には作家さんの作品とか洗練されたレイアウトで展示されると思いますが、うちのブースだけは前もそうですがごちゃごちゃ煮売り屋の店先というかバナナの叩き売り然となりそうです。ある意味、今戸焼の人形というものは、浅草の観音様の境内で露店だとか床店で売られたとか番太郎が副業として売っていたという性質のもので高級な人形ではないので、こうしたごちゃごちゃがある意味、昔の再現でもあるかな?とも思ってます。格調高い展示の傍らで、バナナの叩き売り、、、。まあこれもありかな、、、、?とも。

何はともあれ、無事搬入に漕ぎつけられるようふんばっているところです。

何年前?か干支の亥年に作った「てんてれつくの猪のぴいぴい」を久しぶりに出そうかと思っています。

これは今戸人形の古典にあまり猪がなくて、創作したぴいぴいなんですが、当時新宿のB屋民芸店さんに並べてもらったところ、外国のお客さまにすごく受けたとか聞いています。歌舞伎好きの人だったらすぐ思い出して受けてくれるんじゃないかと思いますが、今から30年40年前くらいだと、TVのお笑い番組なんかでも歌舞伎の場面を真似たお笑いがよくありました。その中でも「仮名手本忠臣蔵」5段目の「山崎街道」はよくお笑い芸人さんによっておかしく演じられていました。歌舞伎の「山崎街道」に出てくる猪というのがひどく素朴で滑稽なもので、猪の姿の張りぼての中に人が入って2本足でうさぎ跳びのような動きで揚幕から花道に登場して、舞台を横切って消えるんです。「てんてれつく」というのはこの猪が登場するときのお囃子です。このお囃子に乗って、前足はぶらぶらして2本足で走る猪なんですが、張りぼての下に垂れ下がっている布は本当は猪の色ですが、人形としては地味すぎるのでわざと蛸足絞りの模様を入れた布のように塗っているので、大歌舞伎ではありえませんが、昔のどさまわりの芝居だったらあったかもしれませんね。尾上団十郎一座とか、市川菊五郎一座とか、、怪しげな役者の一座が村々を渡り歩いていた頃のイメージ、、、。

お近くにお出かけの方、お寄りいただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。できるだけ会場にいるようにと思っていますが、決まりましたらこの記事内に追加して書き加えたいと思います。

みそろぎ人形展のHPはこちら→

去年のブースの様子はこちら→