東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

煮出し

2019-10-29 20:36:53 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 

 今戸人形の生粋の最後の作者であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)が残された人形をはじめ、幕末から明治頃までの古い今戸人形から受ける代表的な色味の印象といえば、群青色と赤系統(赤や紅色、丹や朱、スカーレット染料など)との強いコントラストだと思います。今戸人形で群青色がよく使われるようになったのは天保年間あたりからと推察できるかと思いますが、それ以前にはどんな色で塗られていたかというと、顔料の他に染料、特に植物の煮出し汁を使っていた時代もあったことが古い伝世品から知ることができます。

 そんなわけで特に古い時代の今戸人形の色を意識する場合には蘇芳(すおう)やきはだ(黃柏)を煮出して塗る試行をしています。

 湯煎にかけて煮出している上の画像が蘇芳。下にの画像はきはだ(黃柏)です。煮出し中の蘇芳の汁はオレンジがかった色味に見えますが、媒染剤を加えると一瞬で赤紫蘇ジュースのような色に変わります。 


みそろぎ人形展 2019

2019-10-27 01:27:40 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 毎年出品させていただいている 丸の内丸善オアゾでの「「みそろぎ人形展」今年は11月の開催となっています。

 いまちょうど出品する人形と完成に向けて急いでいるところですが、何とか開場までに漕ぎつけたいところです。せっかくこうして作っている人形なので、世間様に観ていただきたいですし、その接点のひとつとして大切にしたい機会のひとつです。

2019年ももうすぐ11月で終盤です。まだ振り返るという気分的余裕はないですが、上半期のゴールデンウィークは目黒区駒場の「べにや民藝店」さんで作品展とさせていただきました。その後家族のことや、自分の健康のことで予期せぬこともあり、100パーセント人形づくりに専念できないもどかしい場面もありましたが、この「みそろぎ人形展」へは何とか発表させていただく機会としてありがたく、大切に出品させていただこうと思います。今回の「みそろぎ人形展」以前だと、「べにや」さんで展示させていただいた人形のいくつかには新登場といいますか、はじめて並べるものがありましたが、「みそろぎ人形展」のほうにも「べにや」さん以降ではじめてならべる予定のものも用意しているところです。(あまり大風呂敷的なことを言って、蓋を開けたらがっかり、ということもなきにしもあらずなのですが、とりあえず、今回はじめて出します、というものはあります。)まずは会期に向けて何とか間に合うようがんばります。お近くへお出かけの際はお寄りいただけますと幸いです。

(追伸:初日の会場に万全を期したいですが、会期中、すこしずつできたものを追加させてもらえたら、とも考えています。)

みそろぎ人形展 HPへ →


もぐらたたき状態

2019-10-18 10:37:52 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 先日の入院前に型抜き貯めていた人形たちを急ぎ素焼き中。炉内の水分を逃がすため、500℃になるまでは蓋を半開きにして漸く蓋を閉じる、というところ。夏場は暑くてたまらないのが、これからの季節には余熱がありがたく感じられるようになります。

 素焼きの傍ら、土いじり。ひねり鳩の成形。竹ひごはあくまで暫定的な孔あけ用ので丸軸の竹ひごを使っています。生乾きのうちにひごを抜いて乾燥、素焼きを済ませ、小刀で割いた角の木口の竹ひごを挿して本番の組み立てをします。本当は既成のマルひごをそのまま使えば楽なんですが、昔のものを見ると丸ひごは使ってなく、割いた角のひごなんですね。それに成形時に比べて乾燥、素焼き後は孔も収縮して小さくなります。

 割り型から成形もあれこれ種類があって…。この小さなねずみたちは今回初挑戦のもの。都内の近世遺跡からよく出土するねずみを参考にしています。

 乾燥中のもの。

 既に素焼きが済んで、磨きや彩色を待っでいる人形たちもたくさん。どれも早くかたづけないと…。気はあせれど…。干支のねずみの原形の未完のものもいくつかあり…。