東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

岩淵(赤羽)の経木絵馬

2010-04-24 21:20:41 | ご近所

P1010105 十年も前ではなかったと思いますが、地元に詳しい、知り合いのおじさんから赤羽にも絵馬を売っているところがあると聞いてびっくりしました。

早速行ったのが、現在の赤羽岩淵駅そばにあった荒物屋の「石渡商店」さん、それ以前何度も前を通り過ぎていたし、植木鉢だの、信楽焼の狸だの小便小僧から箒やたわしまであるローカルな店だと思っていたのですが、絵馬は店先に見えず、話をすると奥から出してきてくれたのでした。

現在「絵馬」というと、観光地や有名な神社仏閣で記念に求めたり、祈願用に神社でプリントしてあるものが主流だと思いますが、この写真のように、昔は祈願する人が荒物屋や際物屋などで求めて使うことが多かったようです。

店先に見えなかったのは、おみやげとかインテリアとかの対象として意識されていなかった証拠。線香や蝋燭と同様、信仰のための道具として、需要があり、売られていたということになります。地元にまだそういう風習を伝えている家があるなんてびっくりしました。

鶏の図柄は、台所のかまどを守る荒神様へあげるもの。鶏のとさかの形が炎を連想させるところから、荒神様につきものとなったようです。向かい狐の図柄は当然お稲荷様。屋敷神としてお祀りしている家が少なくないのでしょう。 こういう図柄のパターンは全国いろいろなところにあって、東京では千住の絵馬屋さんが有名ですが、探してみると、練馬区貫井の国華堂という提灯屋さん、所沢の人形屋さんでも作っていて、川崎の溝の口駅近くの神仏具屋さんでも出所のわからない経木の絵馬を見ました。しかし、あまり街の目立つところでは観られませんね。地元にも売られていたなんて本当にびっくりしました。

ちなみに、この絵馬は岩淵で作られたものではなく、戸田市内の人形屋さんで作っていたことが後日わかりました。「石渡商店」さんも今では店を閉じてしまいました。


山田徳兵衛著 「人形百話」より

2010-04-24 18:40:47 | 今戸人形(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

2007_0101_000000p1010333 東京浅草橋にある江戸から続く老舗人形問屋の吉徳さん。代々の当主は「山田徳兵衛」を名乗っておられます。

先代の山田徳兵衛さん はご家業の傍ら、古今東西の人形玩具の研究、人形文化の普及、人形を芸術文化のひとつの分野にまで引き上げられた事、人形を通しての世界の文化交流など、生涯をとおして人形玩具界にご尽力された方です。たくさんの著作も残されています。

その中でこの「人形百話」は昭和37年から38年にかけて東京新聞に100回に分けて連載された記事を一冊にまとめられた本です。肩の凝らない文章で、たのしく学ぶことのできる一冊です。

その連載6回目のテーマは、最後の今戸人形師であった尾張屋金澤春吉翁の思い出を綴られた内容で、とても楽しく、また春吉翁の一面を垣間見ることができます。現在、吉徳資料室長をされていらっしゃる 小林すみ江先生にお願いして、このブログへ全文引用させていただくお許しをいただきました。

⑥ 今戸の土人形                    37・1・13

 今はほとんど亡びたが、浅草の今戸は、江戸ー東京における土人2007_0101_000000p1010334形の総元締めのようになっていて、その土地で売るばかりでなく、江戸中の社寺に縁起の人形を供給していた。「伊勢屋、稲荷になんとやら」という文句のある通り、お稲荷様の多いのは江戸の名物だったから、今戸焼にはキツネにちなんだ意匠のものが特に多かった。

 今戸の土人形の最後の製作者であった尾張屋こと金沢春吉さんとは、私はとくに懇意にしていたが、江戸人とでもいった風格のあるおもしろい人物であった。大正の大震災にはおたがいに丸焼けになったが、しばらくして見舞いに行ってみると、隅田川の見える焼野が原にポツンと一軒、板囲いの家が見えたが、それが尾張屋の仮バラックであった。訪ねると、その家の中に琴が一面立てかけてあるではないか。私は見舞いの言葉を述べたあとで琴のある由来をきいてみた。尾張屋は「ようやく持ち出した娘の琴ですよ」という。私は、いままでちょっとも知らなかったが、この辺にいてお琴を習わせるとはゆかしいな、とほめたところ、「いやいや、三味線を習わせようと思ったんですが、三味線だとこちとらは芸者に売りたくなるといけないと思ってお琴にしたんでさあ」と笑って答えた

(原文では傍線部分は、、、、のルビが振ってあります。)

 2枚目の画像は文章に添えられている白黒写真。尾張屋春吉翁作の人形3点(左から おいらん、不知火(不知火諾右衛門)、鉄砲狐)です。原色を観ていただこうと、手元にある同じ型の人形3点を撮影してみました。P1010104

                


お気に入りの風景⑤

2010-04-24 12:14:29 | ご近所

2007_0101_000000p1010306 岩淵町内。大観音の裏手にある豆腐屋さん。毎日ではないけれど、犬とぶらぶら歩くコースのひとつのポイントです。ここが東京であるということを忘れてしまいそうな店構え。こうして記事にするのに不謹慎なのですが、外の自販機で¥100の缶コーヒーは何度も買っているのですが、お店でまだ買ったことないんです。外から覗くと、豆乳のビンとか見えます。それにしても、この一角、ほーっとしてきます。