東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

光栄至極 感謝感激 御礼お返しの都鳥

2014-03-15 15:00:38 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010017 立派なお座布団を賜りました。「寿」のパッケージの下にはのし紙が、、。そしてのし紙の下に立派な「御」の文字が覗いて見えます。

 のし紙をずらして見ると骨太な筆文字で「御誂座布団」。中身は紫の縮緬のような裂が覗いて見えますが、これ以上は家の中の大掃除をしないとすぐ汚れてしまいそうで勿体無くてまだ包を解く勇気がありません。

P1010018さて、どんな経緯でこのように立派なお座布団を賜ったかといいますと、静岡の郷土玩具の蒐集研究親睦団体である「日本雪だるまの会」から

「作者賞」という賞状とともに副賞として賜ったのでございます。こちらの会へは毎年の干支の人形を送るようご注文いただいていまして、会の新年会の景品としてお使いいただいています。その昔、拙作の人形が新宿にある民芸店で取り扱っていただいていた時期は店からお求めくださっていたそうで、長いことお世話になっているわけです。

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また数年前、例会でお話ということで静岡までお招きいただいたこともありました。市内の神社の集会所の畳の間でコの字に並べたテーブルを囲んで、こじんまりとした雰囲気、しかしまた私のような者にも非常にフレンドリーに接していただきました。「作者賞」と言ったらこの道50年60年の年老いた老練な技を持った郷土玩具の作者がもらうもの、というイメージがあるので、例えば高松張子の故・宮内フサさんマサさんとか信州中野人形の奈良さんレベルの「極めた」人々が貰うものだろうな、、と思いつつ、

P1010009_2そういう方々は過去に既に表彰されているんだろうな、、と思いました。私のような者には過分な事とは思いますが、いただけるのなら喜んでいただきます。タイトルのとおり光栄至極に感謝感激です。伝統芸能とか伝統工芸とか伝統の名のつく、或いは伝統のイメージのつくものはピンからキリまでいろいろありますが、ある時期から身に滲みて感じるのは「家柄」とか「何代目」「ハンコ」とかというロゴだけでどんなものを作っても昔のものと違っていても「伝統」として世に通ってしまうんだな。家柄でない者は正しい方向性をめざしても現実的に厳しいと思ってます。P1010021

それでも、戦前には絶えてしまった今戸焼の土人形の本来の姿を何とか自分の手で再現したいという原点を忘れずにこれからも努力だけは続けていきたいと思います。

ちょっと萎れた気分でいたところ元気をいただきました。雪だるまの例会でお世話になった皆様へ何かお礼できないかと思って記事の取り上げるが遅くなりましたが、拙作の都鳥を用意できたので発送したいと思います。ありがとうございます。座布団の画像を撮った場所の主が戻ってきました。

日本雪だるまの会のHPはこちら→


十五夜さんの隠れんぼ

2014-03-06 23:28:02 | おともだち

P1010005 今日びっくりしたことがありました。

近頃、狭い十五夜さんの部屋の中だけでは退屈でストレスなのではないかと思い、戸締りをしてから紐をはずして家の中を探検できるようにしています。一日中ではなく短時間ですが、、、。はじめなかなか部屋から出なかったのですが、少しづつ慣れて隠れんぼのようなことをしたり、探検したりで狭い家の中ですが未踏の域を縮めています。

 こっちが1階でお茶を飲んでいると怖々2階から降りてきて呼びに来たりもします。

 今日何でびっくりしたかというと、2階から先に階段を下りて行ったので遅れて観に行ったら、姿が見えないのです。慌てて2階をチェックしてもいない。丁度父が廊下にいたので、怖がってどこか潜り込んだのかと廊下に身を伏せて探していると鳴き声が、、、、。何と素焼きをしていた焼成窯の中に隠れていたのです。もちろん素焼きが済んで、冷まして中身を取り出したあとだったので窯の蓋が開けっ放しで、炉内も全然熱くなくなっていたのでよかったです。

 先日、気になって十五夜さんを連れて病院へ行ってきました。鼻の頭に見えた黒い班点は鼻水が乾いてそうなるそうで問題はないそうです。それよりももっと心配なことがわかりました。血液検査の結果腎臓に問題があるそうです。重篤というレベルではないので、これから節制した食事とサプリメントの摂取で腎臓への負担のない食事を始めていますが、あまりおいしくないようで、以前のようにモリモリ食べてくれません。また以前より水を飲むようになったと感じていたのも腎臓に由来するのだそうです。全く食べてくれないのは困るので前から食べているフードに腎臓対応のフードを混ぜてサプリメントをまぶしてよそっています。

 鰹節とか煮干とか十五夜さんの好きだったおやつは腎臓にはよくないと聞いたので可哀想ですがあげるのをやめました。十五夜さんは動作と鳴き声と目線で「ちょうだい」と訴えてきますが、ごめんね。と返事するばかりで切ないです。

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窯出しとみがき

2014-03-06 23:06:27 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

P1010002 昨日の朝窯入れした素焼き分を窯出ししているところです。中には最近新しく型を起こしたもので今回はじめて素焼きしたものが含まれるので早く手にとってみたいとわくわくしていました。素焼きでは最高800℃の設定で500℃まで上昇するまで水分を逃がすために蓋を半開きにしておきます。そうすると熱が炉外にも流れてきて夏場など汗たらたらになりますが、この時期には周りが暖かくなって寒さ凌ぎになります。500℃で蓋を閉めてあとは自動運転で停止し、そのまま炉内温度が100℃以下に自然に冷めるのを待ちます。

 無理に蓋を開けて冷ますと、急冷によって窯が痛むからです。炉内70℃くらいの頃合で蓋を開け、中身を取り出しているのが左の画像です。

P10100032枚目の画像は取り出した素焼きを仕事場に運んで磨いているところです。フラッシュのせいでちょっと白っぽく写っていますが実際はもう少し赤みがあります。これが地元で掘ってきた東京の土の焼き色。今回は客寄せ河童をはじめて抜き出したので、このあと彩色になる訳ですが、とりあえず最後の今戸人形師であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)作のものをお手本としているので色彩もお手本通りにやってみたいと思います。塗り終わるまでどういった感じになるか予想できない部分もあるので楽しみと心配の半々です。

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 籠の中には都鳥。まっすぐ正面を向いたタイプは以前から作っていましたが、今回頭を左にひねったタイプを起こしました。いくつか違うポーズを増やしていきたいと思います。チェック柄に「千鳥格子」というのがありますが、上から見ると千鳥ならぬ「都鳥格子」を部分的に規則的な連続を故意に崩したようで面白いんじゃないかとひとりで楽しんでしまいました。

 まずは愛知県豊川市にお送りするお約束の丸〆猫等を最優先に仕上げていきたいと思います。個人でご注文いただいている皆様、ことに「赤犬」を含んでご注文くださっている方、作業はすすめておりますが、忘れているわけではありません。型を調整しながらすすめていますのでご了承ください。



お問い合わせありがとうございます。

2014-03-02 02:48:54 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

006 先日の「開運 なんでも鑑定団」の放映の影響でしょうか、ここ数日メールでお問い合わせくださる方がびっくりするほどおいでです。ありがとうございます。メールくださる方の多くが「値段がわからないので怖々メールをくださった、、。」ということを仰っていらっしゃるのです。

 拙作の人形作りについては、戦前に廃れてしまった昔の今戸焼をルネッサンスのように今に再現してあげたい、という一心でやり始めたことではありますが、もともと今戸町の旧家の出身というわけでもなく、直接師事をいただいた伝承性もないわけで、敢えて言うなら、昔の今戸人形をお手本に作っているので、本物の今戸人形こそが自分の師匠というわけで、客観的にはおかしなことだとお思いになられる方も少なくないんだろな、、と思っています。

 どこのお店で取り扱っているのか、どこで販売しているのか知りたいというご質問もよく受けますが常時たくさんの種類を並べてくださっているお店はありません。むしろ拙作の人形を店に置いてくださる、あるいは販売してくださるというお店の方がいらっしゃいましたらお願いしたいくらいです。

人形の値段がHPにもブログにも明示されていないというご指摘、オーダーフォームがない、という苦情もいただいていますが、これには正直なところあまり商売っ気のあるサイトに見られたくない、という気持ちでそうしている面もあります。 ですから、ご覧いただいている方にとっては「高かったら怖い」というイメージをお持ちになる方が少なくないんでしょうね。

「高い」か「安い」か「普通か」これは自分では妥当な値段という意識は持っているつもりですが「あんなものにこんな値段を、、、」と感じられる方もおいでだとおもいますので、お問い合わせいただいた方にお伝えしたところで、どうお感じになるか????というところです。

ちなみに、お店で並んでいるところも若干あることはあるのですが、お店の値段はお店で付けられているので、その値段が私がつけたものではないということをお察しいただきたいと思います。 本来、今戸焼の土人形というのは安かったから大衆に親しまれていたものだったと言われています。その最もなものが「一文人形」(鐚銭一文で売られた)です。できることなら、現代でもコンビニおにぎり一個分くらいの安さでお売りできたら、昔の感覚を追体験できるかと思う反面、作って買っていただいてなんぼ???という生活をしていますので、種類にもよりますが、おにぎり一個分とか焼き芋ひとつ分という値段は厳しいです。仮に画像の丸〆猫(まるしめのねこ)だとTシャツお揃いのラーメン屋さんで一番高そうなメニュー(特盛全部のせとか)2人前と3人前の間くらいと考えていただくと近いかと思います。マックの一番高いバリューセット4人前よりは安い?高級店のお寿司屋さんの松竹梅の松よりは絶対安いと思います。でも「招き猫一匹」より「バリューセット4人前」のほうが絶対いいと思う方もおいででしょうね。

他によくお訊ねいただくこと。「どのくらい時間がかかるか?」ということですが、季節によります。まずご理解いただきたいことは、絵付けに膠を使っているということです。 膠がつなぎとなって色粉(泥絵の具や染料、植物の煮出し)を素焼きの人形に定着させているので、暑い夏場は膠が効かなくなると同時に膠が腐ってしまう心配があります。 ですから色塗りに関しては6月下旬~9月下旬の間は避けたい期間です。その反対に暑い時期は粘土いじりに集中しますので、涼しくなる時期を見越して、必要な種類の人形の種類を型抜きして貯めておくことができます。

また1年のサイクルですが、9月から12月にかけては干支のものを最重点に動きます、また浅草の被官稲荷様(三社様境内)へ鉄砲狐をお納めする時期(10月~2月初午前)には神様へご迷惑のないよう最優先に進めることもあります。

結局いつが作りやすいか、、といいますと2月初午すぎから暑くなる6月下旬くらいの期間が一番小回りが利く時期だと思います。また素焼きは一個の人形のために焼成窯を稼働させるということはありません。窯がいっぱいになるくらいの量が貯まったら、窯入れをするので、窯入れと窯入れの間に時間がかかるということもあります。

いろいろ記してしまいましたが、もし「お前の今戸人形を買いたい、欲しい」と仰ってくださる方、お要り用の方で、ご関心お寄せいただけるのであれば、メールでお問い合わせください。お問い合わせ=ご注文とは思っておりませんので、ご心配なくメールでお問い合わせください。当ブログ右端の下のほうに「玉手箱」という欄がありまして「東京の土人形 今戸焼?!今戸人形?いまどき人形 HP」へのリンクがはってあり、HPのトップへ飛びます。 トップページの下のほうに「お問い合わせ」の入口がありますのでそこからメールいただければ大概お返事しております。

ご注文以外でもご質問等ございましたらお気軽のメールでお問い合わせください。