東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

蘇芳(すおう)ときはだ

2022-10-21 21:20:34 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今、蘇芳(すおう)ときはだ(漢方薬の黄柏)の煮出し汁を使って彩色しているところ。これまで何度か使ってはいますが、まだ決定的に使いこなせているという実感が得られたとはいえません。
 これら植物の煮出し液は染織ではよく知られているものですが郷土の人形にも古いものには使用されている作例があり、特に知られているのが三春の張り子人形や花巻、堤、相良の土人形とその脇窯といわれている人形。古い酒田の土人形とその周辺。伏見人形などが知られていますが、それ以外の人形産地でも古い時代には使われていたかもしれません。
 蘇芳とキハダ以外にも煮出した植物があったかもしれません。
 そして今戸の古い時代の人形にも使われていました。
 
 古い時代の彩色のイメージで一部の人形に使っていますが煮汁ですから発色が儚くて一体昔の作者たちはどうやって効率よくあの深みある赤色を出すことができたのだろう?と不思議です。全くの手探りであれこれ試みていますがコレだ!ということは未だにわかりません。
 ただ、今回はじめて知ったこともありました。

 画像のはまだやりかけですが、それでもきはだと下塗りに10回、その上に蘇芳を13回重ねた状態です。それでも1枚目の画像のは未だに青みが強いのでこれからきはだを重ねていきます。

佐々木一澄さんの郷土玩具カレンダー·2023

2022-10-18 01:21:38 | 日々

 イラストレーターの佐々木一澄さんから来年のカレンダーが送られてきました。拙作の「ラッパ吹きだるまのぴいぴい」を描いて採り上げてくださったとのこと。毎月にひとつの玩具絵で拙作のものは10月に載せてくださいました。

 描かれたものを作った本人としてはよく捉えてくださっているな〜、、と感心しました。
 下の2枚の板を染めた反故代用紙で繋げた鞴(ふいご)の隅。紙を先に蛇腹に折ってから2枚の板の側面に接合するのですが、目分量でやっているので紙が直角に立ち上がるとは限らないので板の角にピッタリフィットしないのです。フィットしないところに爪楊枝で糊を詰め込んで押さえたりして鞴の中の空気が逃げないようにしています。2枚の板の角に貼り付いている紙が直角になっていないところをよく捉えていらっしゃいます。

 だるま本体は前後2枚の割型から抜き出し、前後のあわせ目の前側だけ色を塗り分け、背面は群青色でベタに塗るというパターンが古いぴいぴいには少なくないのですが、前後の境ぎりぎりに群青が覗いて見える角度で描かれているのも鋭い観察だと思います。
 
 このように拙作のものを描いていただけるのはありがたいことでうれしいです。
 最近ぴいぴいをあまり作っていませんが、昔あまたあった種類のぴいぴいをこの手で再現したい気持ちでいます。

砂子(すなご)燻し

2022-10-06 01:56:09 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昔の土人形や玩具をはじめ調度品の加飾のひとつとして砂子を蒔いてキラキラさせます。基本的には蒔絵のやり方なんだとおもいますが、高級なもの、口につけるものには本金のものを蒔きますが、真鍮由来のものは使わないそうです。
 人形でも高級品には本金を使ったでしょうが庶民向けのものには真鍮の粉を砂子として蒔かれた例が多いかと思います。
 当初できたての人形に蒔かれた真鍮粉はピカピカきらびやかであったものが時代を経て輝きはなくなりしまいには黒ずんだものに変化しています。古い土人形にはこうした古びや枯れた景色が喜ばれたりするかと思います。
 昔の今戸の人形にも真鍮の砂子はよく使われている作例とても多いので、自分でも手間がかかりますが仕上げに蒔くようにしています。
 たいていはピカピカ光るきらびやかな真鍮粉を使っていますが場合によってはキラキラを抑えて落ち着いた感じにするため、燻して使うことあります。
 画像は液体で燻してから何度も新しいきれいな水で洗って乾かしている真鍮粉の砂子です。粒が小さいので濯いだり水切りには逃げないように紙ナプキンとかダスターの布に流して水だけ除去します。
 ダスターに残っている粒ももったいないのでこのまま乾かして後で容器に戻します。
 精々数年に一度行う作業です。