昨日今日と日中は薄着でも汗をかくような陽気でした。近くの工事現場の方にお願いして掘り出された土の山から粘土層の部分をいただいて運びました。
どれが粘土でそうではないか?というと画像では見えづらいですが、カメラを向けた画面のほとんどに粘土が含まれています。お天気のせいで表面が乾いて見えるのでぼそぼそしているように写っていますが、スコップで断面すると中はしっとりチーズケーキみたいな感触で粘りもいい感じにあります。
前回の採土分までのプールはあだあることはあるのですが、最近土の回転が以前より速くなっているので採土できる機会さえあれば、もらってきて使用した分を補う必要があると思っています。今回の工事現場は隅田川から直線で200mあるかないかくらいの近さです。重機で掘り返されているので一見ごちゃ混ぜな感じの山になっていますが結構大きな粘土層の塊の断片があってうれしいですね。
毎度の口上のようですが、今戸焼や今戸人形が生まれた理由のひとつは「隅田川荒川流域に粘土があったから」というストーリーがあるわけで、昔の今戸人形を再現するためには、ストーリーを追うことも意味のあることという思い入れからですね。仮に出来が今いちであったとしても、中身の土は本物の隅田川荒川流域の天然土です。「江戸前の土。」まあ人形のほとんどは素焼きのあと地塗りとして胡粉を塗ってしまうので、「鉄砲狐」のように底の空いている人形しか土色は見えないのですが、文字どおり東京の土を材料として東京の土産ということにはなる。しかし昔の今戸人形のレパートリーの中には素焼きの赤みがかった土色を残して彩色してある作例のものもあるので、今後そいういう種類のものも手がけていきたいです。
現場から仕事場前と自宅前に運びます。いつものようにチャリで運びます。自宅へ運んだ分は早速水簸用のバケツで水に浸してふやかしました。
天気予報では週末から来週にかけてまた寒気が戻るようですが、近いうちに水簸作業ができるかと思います。
余計な話ですが、中学生の時分、美術部がなかったせいか音楽部に在籍していたんです。昭和40年代から50年代にかけての中学校では「大地讃頌」(カンタータ「土の歌」の最終曲)という合唱曲を音楽の授業とか部活で取り組んだことがある、という人少なくないと思います。
母なる大地のふところに
われら人の子の喜びはある
大地を愛せよ
大地に生きる人の子ら
その立つ土に感謝せよ
平和な大地を
静かな大地を
大地をほめよ たたえよ土を
恩寵のゆたかな大地
われら人の子の
大地をほめよ
たたえよ 土を
母なる大地を
たたえよ ほめよ
たたえよ 土よ
母なる大地を ああ
たたえよ大地を ああ
自分で土を掘ったり、練って人形を作っていると背後のこの曲の影響というものがあるような気がしてきます。ちょっと大げさでダサい話になってしまいましたが、「隅田川の恵み」というのはこれが本物だと思います。
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