東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

中野ひな市2016

2016-03-25 11:00:59 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今年も信州中野のひな市の季節になりました。

例年のように中野の「奈良家」「西原家」による土雛の販売がメインですが、全国のその他の土人形産地からの即売枠がありまして、拙作の人形もそこに出展させていただきます。上の画像はそれに向けて準備している状況を撮影したものなのですが、実際にはひとり当たりの出品枠が決まっていますので画像に写っていながらやむなく現地に送ることができなかったものもあるかと思います。昨年中に新しく起こした(というより再現した)種類を優先して送ったつもりでいます。

 昨年愛好家の方から「現地でお目にかかれるのを楽しみにしています。」とか言われたのですが、経済的、時間的余裕がないので現地に出向くのは拙作の人形だけです。もしお出かけの方おいででしたら、まあ拙作の人形もご覧いただければと思います。

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粘土採り

2016-03-18 21:11:46 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨日今日と日中は薄着でも汗をかくような陽気でした。近くの工事現場の方にお願いして掘り出された土の山から粘土層の部分をいただいて運びました。

 

 どれが粘土でそうではないか?というと画像では見えづらいですが、カメラを向けた画面のほとんどに粘土が含まれています。お天気のせいで表面が乾いて見えるのでぼそぼそしているように写っていますが、スコップで断面すると中はしっとりチーズケーキみたいな感触で粘りもいい感じにあります。

 前回の採土分までのプールはあだあることはあるのですが、最近土の回転が以前より速くなっているので採土できる機会さえあれば、もらってきて使用した分を補う必要があると思っています。今回の工事現場は隅田川から直線で200mあるかないかくらいの近さです。重機で掘り返されているので一見ごちゃ混ぜな感じの山になっていますが結構大きな粘土層の塊の断片があってうれしいですね。

 毎度の口上のようですが、今戸焼や今戸人形が生まれた理由のひとつは「隅田川荒川流域に粘土があったから」というストーリーがあるわけで、昔の今戸人形を再現するためには、ストーリーを追うことも意味のあることという思い入れからですね。仮に出来が今いちであったとしても、中身の土は本物の隅田川荒川流域の天然土です。「江戸前の土。」まあ人形のほとんどは素焼きのあと地塗りとして胡粉を塗ってしまうので、「鉄砲狐」のように底の空いている人形しか土色は見えないのですが、文字どおり東京の土を材料として東京の土産ということにはなる。しかし昔の今戸人形のレパートリーの中には素焼きの赤みがかった土色を残して彩色してある作例のものもあるので、今後そいういう種類のものも手がけていきたいです。

 現場から仕事場前と自宅前に運びます。いつものようにチャリで運びます。自宅へ運んだ分は早速水簸用のバケツで水に浸してふやかしました。

天気予報では週末から来週にかけてまた寒気が戻るようですが、近いうちに水簸作業ができるかと思います。

 余計な話ですが、中学生の時分、美術部がなかったせいか音楽部に在籍していたんです。昭和40年代から50年代にかけての中学校では「大地讃頌」(カンタータ「土の歌」の最終曲)という合唱曲を音楽の授業とか部活で取り組んだことがある、という人少なくないと思います。

母なる大地のふところに
われら人の子の喜びはある
大地を愛せよ
大地に生きる人の子ら
その立つ土に感謝せよ

平和な大地を
静かな大地を
大地をほめよ たたえよ土を
恩寵のゆたかな大地
われら人の子の
大地をほめよ
たたえよ 土を
母なる大地を
たたえよ ほめよ
たたえよ 土よ
母なる大地を ああ
たたえよ大地を ああ

自分で土を掘ったり、練って人形を作っていると背後のこの曲の影響というものがあるような気がしてきます。ちょっと大げさでダサい話になってしまいましたが、「隅田川の恵み」というのはこれが本物だと思います。

 

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2回目のお納め(被官稲荷神社)

2016-03-14 10:52:13 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 2月の初午前に引き続き、鉄砲狐の納めに向けて準備してきました。定数の狐の色塗りも大方できて、残すは髭の描き込みです。古今の鉄砲狐の中から尾張屋さん製の髭を意識して描いています。髭を描いたところで髭の「あり」と「なし」とで一対にして「薄葉紙」でくるんで輪ゴムでとめていきます。

 ぱっーと見た目だと「コロッケ」か「すあま」でもはいっているように見えませんか。これが済むと、ダンボールに詰めて荷造りをします、

 仕事場の外に積み出したところ。

 例によってタクシーで運びます。明治通りから土手通りに入って「吉原大門」に近づいて来た辺り。

 そして三社様境内に到着。納めを済ませ、被官様へ。

 鉄砲狐もまた前回とは異なった顔合わせのような。

 3月18日の被官さまの例大祭のお知らせが、、。毎年芸能関係の奉納があるんです。

社務所の方から聞いたのですが、最近以前と違って、平日でも鉄砲狐を求める人が増えているんだそうです。以前は初午や例大祭とかの行事に限っていたそうなのに。携わらせてもらっているひとりとしてはうれしいことです。

 

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行ったり来たり

2016-03-09 13:18:04 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 考えてみるとしょぼい現実ですが、作業スペースの問題のため作る工程によって自宅と隣の町内にある仕事場とを行ったり来たりしています。我が身ひとつのことだけではなくて、材料となる掘ってきた土が最終的に人形として仕上がるまでの工程でも自宅と仕事場とを何往復もしているのです。それも車を運転できないのでチャリの荷台の乗せて運んでいるというのが事実です。雨や雪でも降られれば、動けなくなったりもします。

 被官さまの例大祭までに鉄砲狐(被官さまでは「お姿」と呼んでます)の2度目のお納めを済ませるべく型抜き→乾燥→素焼き→彩色の工程を急いでいます。自宅にある焼成窯で素焼きした狐を隣町の仕事場へ運び、胡粉と膠で地塗りをしています。ゆうべは徹夜で「黄色置き」まで済ませました。これから面描き(墨)→赤置き(口、耳、縦縞)→群青置き(縦縞)の順に済ませ、包装、梱包して急いでお納めしなければなりません。


民家園の雛飾り

2016-03-05 11:14:08 | 日々

 おととい、神田へ胡粉を買いに行ったついでに、観たいと思っていた静嘉堂文庫の特別展「茶の湯の美 煎茶の美」へ寄ってきました。神田からは地下鉄で二子玉川までまっすぐ。二子玉川という土地にはご縁がなくてあまり土地勘もないところ。高校生の頃、玉川の高島屋で歌舞伎の菊五郎劇団の公演に因む展示会とサイン会とがあるので高校の帰りに制服のまま立ち寄ってサインをもらって帰ったという思いでがあるものの何がどこにあるのかさっぱりわからない状態で、バスで静嘉堂文庫へ。東京とは思えない静かなロケーション。展示品もひとつひとつじっくり眺めたいものばかりで贅沢な時間でした。そのあと静嘉堂文庫の隣の敷地にある区立の岡本民家園に寄りました。

 ちょうどお節句だったのでふた組の段飾りが飾られていて、郊外の農村のかつてのひな祭り風景という感じで、美術館でのじっくりぎっしりのご馳走のあとでのお口直しのような楽しさでした。いわゆるデパート雛の走りというか、明治辺りからもともと呉服屋さんだった店が百貨店として展開する時期に、もともと呉服屋とか漆器店とか季節の際物として扱っていた節句人形などを段飾りとして定型化しながら売り出したのがこうしたデパート雛のさきがけとなったと聞いてます。画像古い方のセットはお内裏さまが上手の古い並べ方、新しいセットはお雛様が上手に飾られてます。時代の変遷を意識して飾ってあるのでしょうか。現代ではこうした段飾りも居住スペースの問題で飾ることできる家庭も限られてきていることでしょう。こうした古民家の中で、飾られている人形たちは幸せそうです。

 庭先には「みつまた?」の花が、、。先日今戸で観た「まんさく」の花といい早春を彩る黄色い花。

そして蔵の軒先には白い梅が咲いてました。

 この辺りは本当に不案内なんですが、木々が多くて川が流れていたりうらやましい限りです。工事現場の前を通り過ぎたら、粘土が覗いて見えました。多摩川の流れによってもたらされた土なんだろうと思います。何か作れそうな気がしました。