東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

猫抱きおかめ

2015-07-18 09:13:07 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

今日と明日限りでべにや民芸店さんで開催していただいている今戸人形の作品展もおしまいです。会場にいられないのが残念で皆さんにも申し訳なく思っています。

また療養中なので自由に外を歩いたりすることができないので、新しい出来事も画像とかもなく、先日会場で撮った猫抱きおかめの画像が未使用なのでアップしてみます。

はじめて取り組んだのですが、以前から気づいていたのが、おかめの本体(両手袖口まで)と猫(おかめの両手先もくっついている)とを別々の型(おかめ本体は2枚の割り型、猫は一枚型)から抜き出してバリなどを取ってから貼り付けるという造形方法です。

似た構図の人形が名古屋の野田末吉さんのお作りになった人形の中に含まれているのは有名ですね。また伏見なのかよくわかりませんがとりあえず伏見と訊いている同じ構図のものも伝世しています。人形のプロポーション的には、この伏見と言われているものと今戸版とはほぼ同じで貼り付ける猫だけは伝・伏見だと2枚型、つまり前後があります。名古屋の野田さん版だとプロポーションも違いますし、猫も2枚型で前後あります。

戦前の有坂与太郎による記述だと今戸の影響下に名古屋で人形を起こしたようになっていますが、大きさや猫のつくりからすると、伝・伏見のが一番大きく、それから今戸が抜き出されて、猫は片面に省略されるようになった、、と考えるのが自然なように思えます。名古屋は猫が2枚型である点伏見を習っているようにも見え、しかし全体的なプロポーションから、単に伏見から割り型を取ったのではなくオリジナルな造形を施したというところでしょうか。

彩色については伏見は裾模様をグレーや赤紫系統の大きな花柄で描き、名古屋だとおかめの着物の柄自体いくとおりもバリエーションがあるように思っています。

今戸の場合大きな彩色のバリエーションの変化を未だ確認していませんが髪に手柄のような桃色系統の色を置いたり置かなかったり、、。湯文字から覗く両前足を白く塗り遺す場合と靴でも履いているように墨で黒く塗るケースも確認しています。名古屋のようにたくさんの色で変化を持たせるという工夫があったのか、なかったのか、、。今戸の猫抱きおかめをお持ちの方で、「うちのはここが色違いだよ」という方いらっしゃたらお教えいただきたく存じます。

ちなみに猫の代わりに大きな松茸を抱かせるパターンというのも今戸には存在していて、それこそ花柳界をはじめとした「客寄せ」の縁起物という性格が色濃く出ます。こうしたバリエーションも近くやってみたいと思います。

療養先から失礼しました。

 

 

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作品展昨日より始まっています。

2015-07-13 01:39:26 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

昨日が初日。準備の途中で体調を崩してしまったりしましたが、無事初日を迎えることができてうれしいです。

病み上がりだったのでバリカンをかけたり、シャワーできれいにしたりしているうちに初日だというのに会場に着いたのは午後2時くらいになってしまいました。既に何人ものお客様がいらしてくださったとのことで、お心尽くしをいただいてしまった方もありました。

たくさんのお客様が人形をご覧くださり、例えば「ぴいぴい」など、どういうものであるか目の前で音を出してご覧いただいたりすると「面白いですね」「口で吹くのではないのですね」と意外そうに驚いていらっしゃる方もみえました。人形それぞれに昔からの「いわれ」があったり、中には「干支の創作」のものもあるのでお伝えしました。「お福牛」もひとつ並べていたのですが、面白いと言ってお持ちくださったお客様もおいででありがたかったです。

今回はお手本としてこれまでプールしてきた江戸・明治・戦前までの古い今戸人形や今戸焼の本流の製品であった生活道具や黒もの、そして善入家・半七家に代表される楽焼の製品なども会場内に参考まで並べてみました。「火消し壷」とか「炭とり(ひょっとこ)」なんかを観て「こんなのあったあった」とおっしゃるお客様も少なくありませんでした。

拙作の人形の多くはANTHOLOGYといったらよいのか、これまでに作って出してきたものに加えて若干今回初登場というもの、以前出したことがあったものの中で、修正のため暫く出していなかったものもあります。初登場は「子守狐」「煙草のみだるま」「猫抱きおかめ」「座禅だるま」「都鳥のぴいぴい」「狐拳のぴいぴい」です。久しぶりにリニューアルして出したのは「不知火関」です。

ことに「子守狐」は自分でこういことをはじめた当時挑戦したもののモデリングが難しくて20数年かけてやっとここまで、、という感慨が正直あります。(もちろん完璧だとも思っていませんが、、) でも2日目朝で案外お持ちいただいたので、そんなに悪いできではないのかな?という気持ちにもなってます。

昨日は以前勤めていた職場で大変お世話になった方や郷土玩具関係で懇意にしていただいている方、日本人形玩具学会でお世話になっている方など大勢お越しくださいました。あまりにお久しぶりでたのしくおしゃべりさせていただいたりしているうち、「お話し会」の始まる午後6時となり、予想を超える大勢の方々にご参加いただきました。ありがとうございました。準備しておいたパワーポイント用の画像が開けなくなったとうことで、下手な話だけで進行させていただきましたが、皆さん最後までお付き合いくださいました。質疑応答にもいろいろお言葉いただき、その場にご参加いただいた人形学会の先輩の方々にその場で代わってご教示いただくこともできてありがたかったです。自分の話した内容について客観的にどうであったかというと、自分の思いを通しての話ではあったので「今戸焼」「今戸人形」の話なのにかなり「人生劇場」ぽくなってしまってはいやしないかと思ってます。とにもかくにも最後までお付き合いくださってありがとうございます。

通院とかの予定以外、体調に問題ない限り、会場に詰めてご説明できることはお伝えしたいと思っています。

お近くにお出かけの皆様、お立ち寄りください。

 「今戸土人形展」
7月11日(土)~7月19日(日)
会場:べにや民芸店 
   〒107-0062  港区南青山2-7-1 ホームズ飛騨1F
   TEL 03-5875-3261
10:00~19:00(水曜定休)

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