東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

鬼平

2020-01-31 08:41:59 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨年は自分自身の入退院や家族の事など重なり、前々からご希望を承っていながら、連絡差し上げるのを失礼してしまった方々には申し訳ありませんでした。今年に入ってから過去にいただいたメールを便りに連絡差し上げ、まだお作り、お送りできていなかった人形を遅ればせながら完結させていただきたいと思っております。画像は先の午年に作っていた人形のひとつ「鬼平」と勝手に呼んでいる型のものです。ご希望いただいて以来数年お待たせしてしまいましたが、やっと着手してお送りしようとしています。新宿区内の近世遺跡から色のとれた状態で出土した遺物をお手本に原型を起こしたもので、「火事盗賊改方」の風俗を形にしたモデリングだそうですが、色が残っていないので本来の配色はわかりません。四谷の消防博物館に伝世の装束やジオラマなどか展示されていて、かなり若々しい色遣いの例もあるので、絵空事ですがこんな風に塗ってみた、という感じです。もちろん吉右衛門丈の鬼平のように渋く塗るのも有りなんだろうと思います。


だるま DARUMA

2020-01-28 00:36:36 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

今戸の「だるまもの」だけを作って欲しいというご希望を受けていて悩んでいます。これまで手掛けた今戸人形の古典的なものは「煙草のみだるま」と「ラッパ吹きだるまのぴいぴい」と「飯喰いだるまのぴいびい」とかなり前に作った小さめのだるま、そして上の画像の「座禅だるま」なのですが、悩みの種はこの「座禅だるま」の彩色パターンなんです。

この「座禅だるま」型としてこれは確かな今戸のものなのですが、彩色の残った古い伝世品、または描かれた絵画として伝わったものがあるのかないのか未だ見たことがありません。形のよく似ているものは信州中野の土びな、奈良さんのところで作られているものがありますが、それを真似した配色で塗るのは安易ではないかと思います。昔の今戸人形がどういう姿であったか想定して、これは決定版だとは考えていませんが、まずひとつのアプローチとして具体化してみた…という感じです。

 そのために頭に浮かんだ古い今戸人形のだるまとして想定できる彩色の特徴…。

①衣は鉛丹、朱。

②白目は水色か金。(動物ものの白目に準じて)

➂これと全くおなじ型の今戸の古いパターンがわからないので古今戸の「布袋」や「福禄寿」「唐子と福禄寿」などを参考にする。(具体的には袖口の塗り分けや衣地に描かれた蛸唐草文様)

 ぴいぴいのだるまも同時進行中ですが、これらは古い具体的な彩色をお手本に塗っているのである意味「転ばぬ先の杖」的な安心感があります。

 数日後、だるまばかりのご希望の方宛の人形が揃ったところ。はやくお送りして開放された自由さをつかの間であっても味わいたいです。


装束稲荷の招き狐

2020-01-25 14:33:08 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨年の大晦日の王子の「狐の行列」には出かけていなかったので様子についてはわかりませんが、新年の初午は2月9日(日)。二ノ午は2月22日(金)で稲荷祭が執り行われます。

 最近は暮れの「狐の行列」に間に合うように半分、初午に間に合うように半分を作ってお納めしていますが、暮れは歳の市向け、干支、催事、出品の準備などと被るのが忙しく、明けては、組み合わせかことなるもののかぶるので緊張します。去年は被り合うひとつの発注が信じられないほど遅く、結果として希望される納期より遅れて「もっと早く納めてほしい」などといわれたものですが、むしろ手作り品を取り扱っている人が作業に時間がかかるということを何故理解してくれないものか不思議に思いました。わかっていれば発注から納品までひと月弱なんて発想は生まれないはず…。

 つい言葉に出してしまいますが「今川焼」のようにはすぐにはできません。

 とまあこの正月は初午向けまでとりあえず進んでいるので胸を撫でおろしています。但しぶじお納め終わるまでは油断大敵です。

 で、すぐさまお納め済ませてひと安心です。


お納めで銀座へ

2020-01-25 00:00:37 | 日々

 このところお納めで動いていますが、今日は銀座の「たくみ」さんまで自転車で出かけてきました。その途中の不忍池。枯れた蓮の茎の温かみのある色が弁天堂の緑青色とのコントラスト。葉っぱのない柳の枝もなかなか。

 東京駅丸の内側の駅舎は大きすぎて全体が入りません。

 そして銀座「たくみ」さんへ。天気が崩れるのが心配で、とりあえず自転車用ポンチョやその下用のそでなしダウンベストも持っていきましたが使わなくてよかったです。途中寄り道したいところがたくさんありますが、今日はパス。何で自転車でわざわざといえば、電車とかバスとか人混みにはいるのが…。マスクをして出かけました。往復で唯一寄り道したのは末広町の近くの輸入食品屋さんで、最近気になっていた、デーツ?というナツメヤシの実の乾物をはじめてゲットしました。赤羽では探しても見つからなかったので今日がはじめてでした。

 「たくみ」さんへのお納めはまだ残しているものがあり、できあがったらまたお持ちしたいです。


叶福助の毛植

2020-01-19 08:55:49 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 叶福助の彩色がとりあえず終わり、棕櫚の毛を植えたところです。今さらの話なのですが、今回目をいれながら福助以外の何かを連想してしまうような感じがしていました。今になってそれが「キューピーさん」だと気がつきました。

 むかし荒俣宏さんの本だったか「福助さん」について書かれたものて、そのなかで「日本に福助が流行った歴史の下地があったところに、後にビリケンさんが入ってきて受け入られ、キューピットやベティ・ブーブしかり」といったことが記されていたように思います。だから自分で描き入れた福助のつもりの目からキューピーさんっぼいものを無意識に連想したのも不自然ではなかったとおもいます。

 さらにもうひとつ。中国の民間美術、泥人形や年画の題材に「大阿福」という縁起もの的キャラクターがあり、福々しい大きな頭の女の子がキリンを抱いているという図像なんです。日本の福助さんとお福さんらと全く関係ない偶然という気がしません。明治から昭和戦前あたりまでの引札の石版刷りの引札には中国の年画との間に共通した雰囲気があったりするのも。


きはだの扇

2020-01-16 22:07:41 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 ちょっとパニクっていた「組みもの」の人形が一段落ついたところで次の彩色へ。久しぶりの「叶副助」です。このお手本は我が家にある、江戸時代後期のできと思われる人形で、扇の部分が植物煮出し汁の「きはだ」で塗られ、上から「まがい砂子」(真鍮こ粉)が蒔かれた仕上げです。

 また伏見人形の系統の「叶福助」だと扇部分に「叶」の文字が入りますが、このお手本では肩衣に「叶」と描かれているのでそうします。

 彩色が終わったところで両耳の脇に空いている孔に棕櫚糸を植え込みます。

 


心配 十五夜さん

2020-01-16 12:15:17 | 日々

 昨年の暮れ、ちょうど羽子板市の中日に十五夜さんが2泊3日で入院し、手術を受けました。それからもうすぐひと月けいか。途中年末年始に経過観察のため通院しました。抜糸も済みましたが、念のため次の通院まで重装備でいます。

 ここで困っていること。入院中から服薬のため粉薬をちゅーるに混ぜていたのですが、ちゅーる中毒のようになってしまっていることです。前から食べていたドライとウェットのご飯に口をつけず、とにかくちゅーるを要求目線なのです。

 服薬期間は薬のために混ぜて、余った分をご飯に混ぜれば忘れた頃にある程度食べてくれていたのですが、今ちゅーるはまだあるけれどあげないことに越したことはないのだけれど…。中毒から抜け出してほしいです。


玉台(江戸一文雛)

2020-01-15 20:20:00 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 江戸時代からの今戸人形の流れを汲む最後の今戸人形師だった 尾張屋・金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)が生前お作りになった「江戸一文雛」をお手本に作っていますが面描きのラフさがむずかしいです。春吉翁の一文雛には玉台つきのものとないものと両方あったようですが、尾張屋さんならではの配色による繧繝模様の台に飾ったほうが雰囲気が出ると思い、別に塗っています。

 緋色の毛氈に直接飾っても、この玉台を毛氈の上に置いても色のコントラストがあってよいかとおもいます。


しんどい作業

2020-01-12 01:57:03 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 上手いまずいは別としてひとつの種類の人形のための手間や労力はさまざま。今病み上がりでもあるので日頃に比べるとこわごわ作業している感覚もあり、同時に取り組み中のものがしんどいと感じるのも事実。心思うまま自由にタイムリミットなしの作業ならば楽しみ楽しみに取り組むことができるのだけれど…。「ひねり鳩」は本来生土を丸めて作った本体に竹ひごを挿してくちばしや脚、尻尾にしてそのまま乾かして色塗りされていたので脆く、昔のものが残ることが極めて少ないといわれる。

 その脆さ対策として本体に竹ひごを挿して組み立て、乾燥、素焼きのためにばらし、素焼き後再び竹ひごを挿して組み立て、はじめて地塗りや彩色になる。孔も収縮するので竹ひごの太さも違ってくる。

 「狐拳」は狐・庄屋・猟人3体一組でひとつなので3体揃わないと意味をなさない。猟人と庄屋は案外塗り分け、重ね塗り、砂子蒔きがある。

 尾張屋さん風の「江戸一文雛」はシンプルなようでいて檜扇の描き込みなどあるし裳に姫小松が描かれていたりする。今雛内裏のまがい金泥以外のところまで漕ぎ着けているものの、実はまだ「玉台」を塗っていない。尾張屋さん式の繧繝模様を描き込む。まだまだゴールが見渡せない心細さ…。

 ちょっと愚痴りモードっほくなってしまうけれど「今川焼のようにはできません。」 


銀座へのお納め

2020-01-10 13:24:27 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 今日は銀座の「たくみ」さんへ嘉永安政風の丸〆猫と丸〆小判猫をお納めに伺った帰りです。うっかり店前で写真撮るのを忘れてしまい、新橋駅近くになって思い出し振り返って撮った景色。たくみさんへは一括してお納めできておらず、小分けの納めで申し訳なく思っています。


みみずくのお納めとねずみのお納め

2020-01-09 19:51:54 | お世話になっているショップさん

 今日は晴れて穏やかな一日でした。目黒区駒場の「べにや民藝店」さんへみみずくを、一度帰宅してから谷中よみせ通りの「東京キッチュ」さんに白ねずみをお納めに出かけてきました。最初の画像はべにやさんの向かいでみかけたウリ科の実でカラスウリよりも大きくてほそ長い実。何でしょうか。

 いちど帰宅してから自転車で谷中へ。

 先立ってお持ちした丸〆猫類に加えて干支のねずみのリクエストがあったとのことでお持ちしました。これで家での作業スペースを確保してこれから他のお納め向けのものを仕上げていきます。