先日から20年以上ぶりに再挑戦している「舐め人形」式の仕上げへの準備です。土人形はほぼ30年ちかくは試行錯誤しながら作ってはいるのですが、釉薬を使う陶芸一般のことについては、勤めていたところの生徒さんたちと美術の時間にオブジェ的なものを作ったり、作業学習という時間に皿やカップなど型を使って焼いていた経験はあるものの案外と常識的なことを知らなかったりします。20年前に挑戦した舐め人形は七宝窯で炉内に入れて覗き窓から釉薬がピザのチーズのようにとろけてきたのを見計らって取り出して焼いたのですが、思うようなツヤが出ず、かさかさに白濁したような変な出来でした。
今回は北区の伝統工芸保存会の焼き物専門の人に質問したり、陶芸材料屋さんで聞いての再挑戦です。話によれば低温の楽焼ならば、素焼きと同じ窯で焼いてみてもいけるのではないか、ということなので、まずはそうしてやってみます。「舐め人形」は器類のように棚板に接する部分の釉薬を拭き取って棚板に溶けてつかなくする感じではなく、立体全体に釉薬がかかって仕上がっているので、棚板に直接置くことはできません。そういう場合に使うのが「トチ」という道具で金属の爪がコンロの五徳のように出っ張っている台とかアルミナ棒という細い棒を使ったりするのだそうですが、まずは鳩笛に挑戦するので画像のようなトチを買ってきたテラコッタ粘土で作っています。流石に掘ってきた土は人形そのものに使いたいので、ここでは使いません。まだ実践の本題に入っていませんが、鳩笛だと孔が2か所開いているので、そこに金属線を挿して、画像のトチ(と言ってもいいのかわかりませんが)に立たせてみようと考えています。いきなり一発でうまくいくとは思っていませんが、まずは行動して試行錯誤ということになるでしょう。仮に昔ながらの今戸人形の伝統が今に続いていて、昔ながらの仕事を眼にすることができれば、それを模倣することから始めることができますが、既になくなって久しい技法とか方法を想像して実験するのは楽しみと同時に不安ですね。市販のトチも買ってきたので自己流のと同時に試してみようと思います。まずはこれら手作りのトチが乾燥してからの試しになります。