語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】「汚染水」の本当の深刻さ ~東電のコストカットが一因~

2013年08月23日 | 震災・原発事故
 (1)海に流出している汚染水は、少なくとも300トン。
 福島第一原発1~4号機には毎日、1,000トの地下水が流れ込み、そのうち400トンが原子炉建屋に流入。残り600トンの一部が地中に漏れ出している汚染水と混じり、海へ流出している。【資源エネルギー庁】
 つまり毎日、25mプール1杯分の、放射能まみれの水が、太平洋に注ぎ込んでいるのだ。
 管理不能のまま増え続ける汚染水の源は、主に地下水と雨水だ。毎日300トンの地下水が阿武隈山系(原発の西側)から崩壊した建屋内に流れ込み、同時に毎日100トンの雨水が地表から染み込んでいる。流入経路は、トレンチ(地下トンネル)、建屋の隙間、外周、基礎部分など。 

 (2)地下水の噴き上げは、原発建設を一番悩ませた。
 事故前の福島第一原発では、1~4号機外周に56ヵ所のサブドレイン(井戸)を掘り、1日850トンの地下水を汲み上げていた。それが使えなくなったことが、建屋地下滞留水を増やす原因になっている。
 東電が打ち出した地下水対策は、山側で地下水を汲み上げて海へ流す「地下水バイパス」、サブドレインの再設置、建屋内部の隙間を埋める止水、建屋海側の遮水壁の設置などだ。これらに、水ガラスを使った建屋外壁隙間の止水、トレンチ内の汚染水除去(以上、政府汚染水対策委員会が提案)などが加わる。
 だが、どれも泥縄式で、決め手に欠ける。
 仮にすべての対策が計画どおり功を奏したとしても、地下水の流入がなくなるのは早くて8年後だ。それまで、汚染水流出をゼロにする手立ては、今のところ無い。

 (3)汚染水をめぐるトラブルは、毎日のように起きている。
 その原因の一端は、コストカットにある。
 4月以降、相次いで起きた地下貯水槽からの汚染水漏れは、建設費用を渋った東電の責任だ。地下貯水槽の仕様書を見たゼネコンは、「こんな造りでは水漏れする」と始めから指摘していた。しかし、東電は押し通した。現行の、シートをかぶせただけのようなものではなく、きちんと予算をとって、しっかりしたものを造れば水漏れは防げた。廃炉工事を請け負うには、工事ごとに競争入札で落札しなければならない。赤字スレスレまで単価が下がり、工事の質も下がっている。トラブル回避のため東電本店から多数の人員が送り込まれているが、本店の社員はエリート意識が抜けず、地元採用組とコミュニケーションがうまくいっていない。東電は、震災直後のしばらくは反省していたようだが、もとの体質に戻った。【建設関係業務を請け負う作業員X】

 (4)7月中旬、「AERA」誌は第一原発から100m離れた北川で採取された海砂と海水の放射能濃度を測定した。海砂295Bq/kg、海水10Bq/リットルの放射性セシウムが検出された。
 ところが、同じ日に、東京電力が5、6号機放水口北川30m、1~4号機放水口1.3kmの地点で採取した海水の分析結果は、「検出限界値(2.7Bq)以下」と発表された。
 今年5月以降、高濃度のトリチウムとストロンチウムが検出されたことから、港湾内への汚染水流出が疑われる中、東電は測定データを持ちながら「検証中」などとして2ヵ月間も認めてこなかった。  
 東電の公表結果はマユツバだ。

 (5)海に限らず、第一原発に近い河川の汚染状態は、原発事故から2年半たっても改善されていない。
 「放射能測定センター・南相馬」の最近の調査によれば、高いセシウムが検出された。
  ・太田川上流付近の土手沿いの土・・・・101,187Bq
  ・水無川源流の川底の土・・・・63,845Bq
 川魚はほとんど100Bq以上。ちなみに、飯舘村のヤマメは2,500Bq、ウナギは1,000Bq超(6月に採取)。 
 川にたまった放射性物質は、やがて海に注ぎ込む。さらなる海の汚染を生む。

 (6)地元漁業関係者は、当然、もろに影響を受けている。店に並ぶ地魚は、いまやタコやツブ貝くらいだ。

□桐島瞬(ライター)「「汚染水」本当の深刻度」(「AERA」2013年8月26日号)

 【参考】
【政治】安倍“異次元”政権の思想と行動 ~「馬脚をあらわす」兆候~
【原発】安部政権の演出と狙い ~高濃度汚染水の海洋流出~
【原発】福島第一原発で汚染水が海洋流出 ~漁民の被害は止まない~
【原発】福島第一原発周辺の海水汚染続く ~魚介累から放射性セシウム~
【原発】【食】東日本太平洋沖で獲れた魚介類8体からセシウム検出
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1 コメント

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Unknown (erstea)
2013-08-24 02:49:46
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政府は、ケッシュ財団から汚染水問題を解決するための技術提供を受けています。これらを使うことによって汚染水の処理もスムーズに行えるのです。太平洋も元通りにできます。フリーエネルギー推進と電気料金無償化のための政治活動を進めていきましょう。ケッシュ財団の技術を無料公開させて、汚染水の収束にあたらせれば、よい。
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