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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ジョーカー・ゲーム」 柳広司著 角川書店

2009-08-21 | ミステリ

Jokergame01 おー。すんごく面白いじゃないか。諜報に対して冷徹であればあるほど軍部の熱狂からはじき飛ばされる「D機関」とよばれる鬼っ子のような存在。構成員たちがまるっきり人間らしくないあたりがいい。スパイにとって殺人は最悪の選択、というポリシーにもうなる。確かに、そりゃそうだよな。

D機関といえば西村京太郎の「D機関情報」が有名だけど、初期の西村はほんとによかったのにな。「殺しの双曲線」なんてみごとな本格。

柳広司のこの作品も、体裁はともかく内容はおそろしく本格ミステリなのである。“魔王”結城という首謀者が公安九課の荒巻課長とダブってダブって(笑)。

まもなく続編が刊行されるとか。長くなれば長くなるほどよくなるシリーズのような気がする。もう書店に出てるのかな?

ダブル・ジョーカー」につづく!

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「ハリー・ポッターと謎のプリンス」(2009 ワーナー)Harry Potter and the Half-Blood Prince

2009-08-20 | 洋画

Harry_potter_and_the_half_blood_pri  そろそろエンディングも近いようなので「ハリー・ポッター」シリーズをふり返ってみよう。

ストーリーの核となるのは“選ばれし者”である、文字どおり貴種であるハリーが、ヴォルデモートなる闇の帝王との対決に(回り道をしながら)次第次第に近づいていく過程。

 そのなかで、登場人物たちの複雑な関係性が明らかになっていく……はずなんだけど、今回の「謎のプリンス」は、そんなメインプロットはどこへやら。ハリー、ハーマイオニー、ロンの恋愛事情に多くの時間が割かれている。夕暮れ以降のホグワーツ魔法学校では、暗がりで生徒たちが平気でディープなキスをかましていたりする。生徒指導のマクゴナガル先生(マギー・スミス)もヤキがまわったか?

 原作を読んでいないからか、よくわからない点もあるし文句もある。

・“謎のプリンス”である「あの人」の凄みがいまいち伝わらない。当然次回はどんでん返しがあるだろうと読めるが、それにしたってなあ……

・ロンとハーマイオニーの恋愛はいいとして、ハリーよ、お前が選ぶ女はあの娘でいいのか。本気か。

・ヴォルデモートの少年時代を描くのがこの作品の眼目のはずだが、だからといってレイフ・ファインズを一度も登場させないのはいかがなものか。

・やっと分霊箱争奪戦になって面白くなってきた、と思ったらエンディング。そりゃ、ないだろや。

……まあ今回の話はなかったことにしてやろう(無理だけど)。すっかりオトナになったハリーたち(特にドラコ・マルフォイのあいつは完全に大人だ)の成長を、まるで親の視点で楽しむことができるわけだし、最終章二部作もつきあうことにしよう。ようやくあいつらも“学校”を飛び出してくれるようだし。

今回、なにが哀しかったと言って、それはこのシリーズを初めて独りで見たこと。自分の子どもたちも、すっかり成長してしまっているのでした。ちぇ。

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明細書を見ろ!09年8月号~年金のお知らせ

2009-08-20 | 明細書を見ろ!(事務だより)

09年7月号「通勤の謎PART3」はこちら

 さて、今号も××小(離島)と○○中合同の事務だよりにします。別に楽をしようと思っているわけでは(あまり)なくて、両校の職員に共通のお知らせがあるからです。

○○中の場合、以下の人に「公務員共済年金のお知らせ」なる封筒を給料といっしょにお届けしました(でかいので給料袋に入らない)。

・今年の3月31日に公立学校共済組合員だった(つまり今年の新採者はなし)

・来年の3月31日に57才以下である

これはなぜかというと、今回のお知らせは、あくまで公務員の期間について説明する建前になっているからです。他の部分(厚生年金とか国民年金とか)は社会保険庁が発行する「ねんきん定期便」がメイン。

 では、なぜ58才以上の人には配布されないか。

 その人たちには目前にひかえた年金請求のために、懇切丁寧な説明会が行われる(行われた)からです(本当は、まもなく提示される実際の年金額と差が生ずるのが嫌だからかも)。

 わたしも商売が商売なので毎年のように年金説明会には参加しますが、退職が近い人たちの顔には例外なくこう書いてあります。

「しちめんどくさい理屈はいい。結局いくらもらえるんだっ!

で、分厚い資料など無視して自分の年金額の試算表を熟読する……いつものことです。

 しかし逆に言うと、その人たちの多くは『その時点まで自分の年金額を知らない』のです。老後の生活設計の基礎となる年金がいくらなのかを知らなければ、ライフプランなど立てようもありません。

 同じことが若い世代にも言える。だから、今年から「退職したらこれだけもらえると思います」という数字を明らかにすることにしたのです。年金にもっと意識的になれ、ってわけ。

 さあ見てみましょう。あなたの年金見込額が書いてありますよ。

“Ⅲ 将来受給することとなる退職共済年金の見込額”……ここがまず重要。

なにより、実は①の年齢が人によって違います。公務員に支払われる退職共済年金(ほんとはこれ、正確な名前ではないんだけどすっ飛ばします)は、生年月日によって支給が開始される年齢が違うのです。

~昭和28年4月1日までに生まれた人 → 60才

~昭和30年4月1日までに生まれた人 → 61才

~昭和32年4月1日までに生まれた人 → 62才

~昭和34年4月1日までに生まれた人 → 63才

~昭和36年4月1日までに生まれた人 → 64才

 昭和36年4月2日以降に生まれた人 → 65才

……昭和28年4月2日以降に生まれた人は、“退職してから年金を受給するまでに空白期間がある”ことをおぼえておきましょう。

その下の“Ⅳ 老齢基礎年金の見込額”の欄には、例外なく『65歳』と印字されています。ですから、ものすごくおおざっぱに言えば、

65歳になったらⅢの額とⅣの額が合算されて支給されるのです。

つまり、今年の3月に退職したと仮定するとⅢとⅣの真ん中の額の合計。60歳まで勤務した(掛金を納入した)と仮定した場合は下の段の合計があなたの年金見込額です。え?オレのには下の段には***********ってしか印字されてない?

 それはですね、あなたが50才以下だからです。どうして50才以下だと見込額が提示されないか。それは『あまりにも不確定要素が多すぎて将来の年金額を示せない』からでしょう。ふ、不安。

 その不安を払拭するかのように、年金財政について解説した「財政再計算の結果について」も配布しています。なんか、これだけ「だいじょうぶです」「不安はありません」と連呼されるとかえって……。

09年9月号「山○銀行VSゆうちょ銀行」はこちら

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「HACHI 約束の犬」(2009 松竹=フジテレビ)

2009-08-20 | 洋画

Hachi あの「ハチ公物語」のリメイク。つってもわたしは仲代達矢が主演したあの大ヒット映画を観ていない。なんか、絶対に泣かされそうじゃないですか。誰もが知っている渋谷のハチ公の物語。飼い主が亡くなっても、それまでどおり雨の日も風の日も駅まで迎えに行く忠犬……うわーなんかしんどそう。

今回のリチャード・ギア版も、予想外のことは何も起こらない。ムクムクの秋田犬が、哀しげな顔で雪の上にちょこんと座る、それだけでウルウル。

 それにしてもこの企画、よく通ったものだと思う。「Shall We Dance?」につづいてギアにとっては二本目の日本映画のリメイク。監督は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」(厳しい、すばらしい映画だった)でスウェーデンからハリウッドに招かれたラッセ・ハルストレムというギャグのような布陣。奥さんのレナ・オリンも出演させてほしかったなあ。まあ、ギアの夫人を演じたジョーン・アレン(「ボーン・アルティメイタム」)も好みなのでけっこうですが。

 映画館を出たら、偶然叔母も来ており、んもう涙ボロボロである。

「これは……泣けるわよねえ」

「うん。卑怯だよなあ(笑)」

と、冷静ぶっているようだが、老犬となったハチが静かに目を閉じ、そこへ昔のように主人がやってきて「待たせたな、ハチ」……

うわー泣けた。泣けた泣けた。

少なくともペットを飼っている人にはたまらん映画だろう。
しかーしっ!ここで配給の松竹はとんでもないおせっかいを。おそらくは興行上の理由なのだろうが、観客がしっとりとハチに思いをはせるラストで(日本語吹替版だけであることを祈るが)青山テルマのチャラついたテーマを流したのは万死に値するっ!

ふざけんじゃねーっ!昔はこんなおせっかいが有効だった時代もあったろう。でもさあ、このご時世に客を怒らすようなマネをするなよー。違った意味で泣けてしょうがないラストなのでした。ハルストレムとギアが日本語版を見ていないことも祈る。

ついでに、ギアの吹替が“白い犬の人”なのはわからないでもないが、ここは津嘉山正種(クロスオーバーイレブン)でいってほしかった……

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「坂の上の雲」と日本人 関川夏央著 文藝春秋刊

2009-08-18 | 本と雑誌

413sqs6af7l 司馬遼太郎が「坂の上の雲」を連載したのは右翼新聞であるサンケイであり、その時期も60年代末から70年代初頭にかけて。

日露戦争をあつかい、登場人物は東郷平八郎、児玉源太郎、明治天皇、山県有朋……そりゃ、“反動”だと思われたはずだ。

関川夏央は時代の気分であるサヨクの暴走を戒める、というスタンスの人だから、司馬の著作の背景を冷静に語ると同時に、ゆきすぎた(と関川が感じる)乃木希典無能論の方も検証していく。それら両方向からのアプローチが、日露戦争と明治、そして戦後の日本が(日露にしろ、太平洋戦争にしろ)なぜ弛緩していったかを有効に語っている。

少なからず牽強付会ではないかと思う部分ももちろんあるけれど(それがなかったら関川じゃない)、時代を鳥瞰した司馬の、なお上から語れるライターはそうはいない。たとえ後出しジャンケンだとしても、これはかなりの仕事ではないか。

NHKの「坂の上の雲」がどんな切り口を見せるか、楽しみに思える一冊でもある。

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「百万円と苦虫女」(2008 日活)

2009-08-18 | 邦画

1000000yengirlp 監督、脚本:タナダユキ 出演:蒼井優 森山未來 ピエール瀧 佐々木すみ江

「自分をさがすために」ではなくて「自分をさがさないために」100万円を貯めると見知らぬ場所へ移り住む21才の女性。これは説得力ある。

 ほんの小さなことで前科者となった彼女は、自分では否定するもののやはり逃避行のなかにいる。どんな場所でも善意の人物と出会っているのに、彼女はもう一歩踏み出して人間関係を構築することができない。

 大ヒットしたのが納得できる。誰もが、こんな生活を夢見て、そしてこんな生活がしんどいことに気づいている。

 蒼井優が、もう絶対に彼女でなければやれない役をみごとに演じている。過去を告白した途端、いたたまれずに(いつもだけど)眉間にしわを寄せて早足で歩く彼女はほんとうに美しい。

 印象深いのは二つ目のエピソード。主人公の鈴子は桃の収穫を手伝って百万円をめざす。うっすらと紅い桃が主人公の傷つきやすさを象徴している。実直な農家の長男を演じたピエール瀧が笑わせてくれます。いるよねこういう人。

ちょっとネタバレだけど、ラストで鈴子を追いかける森山未來がつぶやくセリフがすばらしい。

「こんな簡単に間違えちゃダメだよな」

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「青豆とうふ」安西水丸+和田誠 講談社

2009-08-17 | 本と雑誌

2120021 タイトルは村上春樹命名。ということは「1Q84」の何年も前から村上の頭には青豆なるフレーズが刻み込まれていたわけだ。

そら恐ろしくなるほどの才能の作品を生み続けながら、和田誠のありようは本当に普通。偉大なる常識人って感じ。まあ、それだけだと平野レミとの結婚生活はそうそう続けられるものではないでしょうが。

息子であるトライセラトップスの和田唱に名前をつけるときの困惑など、オトナになった唱を知っているだけに笑える。最初に候補にあがった名前はなんだったのだろう。いつものエッセイよりも少し長く、ネタのしりとりを安西水丸とやるというコンセプトなので、普通なら出てこないようなネタまで出てきてお得な一冊でした。

先日の「おくりびと」上映会のときに、スタッフのひとりが「最初に吸ったタバコって、ハイライトだったなあ……だってデザインが最高だったじゃない?」専売公社は最高のデザイナーを起用したわけだ。和田誠謹製のあのデザインは、本当にみごとだと思う。わたしの最初に吸ったタバコはセブンスターだったけれど。

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「おくりびと」上映会その2~二日目

2009-08-16 | 港座

Minatoza05 初日の様子はこちら

二日目は、最終回の和島香太郎監督「第三の肌」にたくさんのお客さんが来てくれたし、高額な「おくりびと」の上映料金も払えそうだ。よかったよかった。

っていうか、上映会スタッフのくせしてわたしはまだ「第三の肌」観てないのよね。なんとかしよう。

映画監督と直接に話をするなんて初めてだから、前から気になってたことをきいてみた。

「エンドロールの最後に監督の名前が出るじゃない?」

「はい。」

「あれを、文字通りスルーする人と、バーンってとめるタイプがいるじゃないですか。『オレの映画だぞ』って。和島さんはどっちのタイプなの?」

「あれはですねー、ぼくはスルーの方が好みなんですけど、実はロールの長さと音楽の長さのからみがあってですね(笑)、だから『第三の肌』はとめてます」

なるほど、実際にきいてみなければわからないものだ。「劔岳」のように、名前だけズラッと並べられるのも(気持ちはわかるけれども)、どうかなぁと思っていたので。

彼(くどいけどものすごいイケメンです)はいま、某有名脚本家のところで脚本修行をしているそうだ。偶然とはいえ、その某有名脚本家のホンで、港座と同じビル内で殺人が起るドラマが今日撮影中なのである。そちらの話は庄内映画事情でいずれお送りします。

次回の上映会は9月25日(金)、26日(土)です。よろしく。

港座オフィシャルブログはこちら↓

http://minatoza.exblog.jp/

風と共に去りぬ」特集につづく。

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「おくりびと」上映会その1~初日

2009-08-15 | 港座

Minatoza04 「っていうか、あたしたち『おくりびと』もう観てるし」

「秋田まで帰んなきゃいけないから時間ないし」

観光にやって来た二人のヤンキー娘は、あくまで港座の見学に来たのであって「おくりびと」をまたしても観るつもりはないみたい。ここから客引きやってたわたしのセールストーク炸裂。

「でもさ、その映画をロケ現場で観るのってもう絶対経験できないと思わね?」

「う。」

あのシーンがその現場で観れるんだぜ」

「そ、それはちょっと“粋”かも。」

はい2名様ご案内!

見終った彼女たちに「どうだった?粋だった?」

「すげー粋だった!」

……初日はたーくさんのお客さんが入ってくれてよかったよかった。1回目の打ち込みで、すでに前回の入場者数をクリアしてるっつんだから(* ̄▽ ̄*)/。かなり高いハードルだからしんどいと思っていた採算分岐点もなんとか。

さあ2日目だ。まだ来てない人は絶対来てね。イケメン映画監督である和島香太郎さんのトークイベントには、彼の同級生やセンセイたちも来てくれて、和島さんもうれしそうだった。

18:00からの上映はその和島さんの「第三の肌」と「おくりびと」という豪華二本立。おとくですよ。

港座オフィシャルブログはこちら↓

http://minatoza.exblog.jp/

二日目のようすはこちら

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お盆2009

2009-08-13 | 日記・エッセイ・コラム

2009_2  恒例(つってもまだ2回目だけど)、お盆の作品披露。

去年の牛と馬はコスモスとニンジンを使用しましたが、今年はカボチャのツルをしっぽに使ってみました。でもこの写真じゃよくわかんないか

いや、今年はそれどころではないのでした。

明日とあさってはいよいよ港座で「おくりびと」の上映会

わたしは入口前で客引きをやっていることと思います。身長181㎝、体重87㎏の大男がアンジェラ・アキ的なメガネをかけてる不気味ぶりなんですぐわかるでしょう。ひやかしに来てください。

上映スケジュールをおさらい。

8月14日(金)

12:00 おくりびと

15:00 おくりびと

18:00 おくりびと & 「第三の肌」
(トークイベントあり)

8月15日(土)

12:00 おくりびと

15:00 おくりびと

18:00 おくりびと & 「第三の肌」
(トークイベントあり)

スクリーンのなかの「おくりびと」と、実際の港座がシンクロします。ぜひ。

港座オフィシャルブログはこちら↓

http://minatoza.exblog.jp/

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